古文書返却の旅: 戦後史学史の一齣 (中公新書 1503)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121015037

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  • 網野氏の歴史観がどのように形成されていったかが分かる一冊。

    戦後すぐに始まった古文書の資料館を作るという事業が始まり、全国から古文書の収集が始まった。

    やがて事業は破綻し、全国から集まった古文書を少しずつ整理・返還していくという作業に網野氏は携わることになる。

    返還や調査の過程で、対馬に行き、日本が孤立していないことを深く感じた網野氏は、海と列島の中世という本を上梓することになる。

    また、網野氏は能登の時国家の古文書を調査する過程で、百姓=農民ではなく、商業や海運業に従事する百姓がいるなど、百姓の多様性を確信することになる。

    このように、古文書の調査・返還を軸として、網野氏の歴史観が形作られていった過程を垣間見せてくれる内容になっている。

  • 2009.1.14~21読了

  • 旅の随筆

著者プロフィール

1928年、山梨県生まれ。1950年、東京大学文学部史学科卒業。日本常民文化研究所研究員、東京都立北園高校教諭、名古屋大学助教授、神奈川大学短期大学部教授を経て、神奈川大学経済学部特任教授。専攻、日本中世史、日本海民史。2004年、死去。主な著書:『中世荘園の様相』(塙書房、1966)、『蒙古襲来』(小学館、1974)、『無縁・公界・楽』(平凡社、1978)、『中世東寺と東寺領荘園』(東京大学出版会、1978)、『日本中世の民衆像』(岩波新書、1980)、『東と西の語る日本の歴史』(そしえて、1982)、『日本中世の非農業民と天皇』(岩波書店、1984)、『中世再考』(日本エディタースクール出版部、1986)、『異形の王権』(平凡社、1986)、『日本論の視座』(小学館、1990)、『日本中世土地制度史の研究』(塙書房、1991)、『日本社会再考』(小学館、1994)、『中世の非人と遊女』(明石書店、1994)。

「2013年 『悪党と海賊 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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