シリコン・ヴァレー物語: 受けつがれる起業家精神 (中公新書 1509)

著者 :
  • 中央公論新社
3.57
  • (5)
  • (4)
  • (10)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 65
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121015099

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【シリコン・ヴァレー物語 受け継がれる起業家精神】
    枝川公一著、中央公論新社、1999年

    ちょうど20年前に書かれた本だ。

    アメリカの西海岸にあるシリコンバレーは、19世紀末のゴールドラッシュに食料品店主から身を起こし、大陸横断鉄道の建設で一財を築き、その後も州知事、上院議員を務めた富豪が16歳で亡くなった息子の想い出として寄贈した大学から始まる。

    今では世界一と言われるスタンフォード大学がそれだが、世界大恐慌前には無名の大学の一つだった。
    そこにいた若い教授ターマンが、アマチュア無線局に出入りする優秀な二人の学生に、大企業への就職ではなく、ベンチャー企業を始めたらいいとそそのかした。二人の名前は、デイビット・パッカードとウィリアム・ヒューレット。であり、彼らが1939年に創立したのが「hp (ヒューレット・パッカード)」だ。

    その後もインテルやアップルが誕生する経緯がコンパクトだが体温をもって語られていて、読みやすく感動する。
    何気なく使っていたり知っていたりすることも、その発端はさまざまな偶発的な「出会い」から生まれている。

    著者は、本書を通じて、シリコンバレーを生成して発展を支えてきた「精神」を明らかにすることを目指した、とあとがきで説明している。
    ーー
    それは、夢と冒険に賭け、在来のシステムへの反抗心を心に刻んで、虚栄心や支配欲を混ぜ込みながら、これまでとは異質のビジネスと文化を作り出した人々の軌跡でもある。
    ーー

    最終章で著者は、実は1972年に当地を取材して歩いたことを告白している。インテルができた直後でアップルができる直前だ。
    アメリカを放浪しながらカウンターカルチャーの現場を取材して回っていた時に、バークレーとクパティーノ(今はアップル本社があることで有名)に「オープン・スクール」「オープン・スペース・スクール」という子供達の「自主性」に主眼をおいた教育システムに興味を持って学校をいくつも訪ねて回ったのだという。

    この時にはピンとこなかったことが、後年、シリコンバレーの勃興を知るに連れ重なって見えてきたと語る。

    オープンスクールについて書かれたページは少ないが、新陽高校が目指していることと何も変わらないように読めた。時代はいつもぐるぐるしていて、そして偏狭な人たちから始まっているのだと思い知らされる。

    #優読書

  • シリコン・ヴァレーの物語は、すなわちコンピュータの発展の物語なのでして。こういう天才(オタク)たちがいたから、今のIT社会があるんだなぁとしみじみ。

枝川公一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
デールカーネギ...
ウォルター・アイ...
マーク・ピーター...
ウォルター・アイ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×