- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121015150
作品紹介・あらすじ
反った屋根を「てり屋根」、ふくれた屋根を「むくり屋根」と呼ぶ。「てり」と「むくり」が連続し、凸凹の滑らかな反転曲面をもつのが「てりむくり屋根」だ。神社仏閣の軒先にかかる唐破風がその典型である。この形は建築だけでなく日用品に使用され、さらには神輿や墳墓に採用されるなど日本人の死生観とも深くかかわってきた。日本独自の表面はどのように誕生し受け継がれてきたのか。日本文化の深層を「てりむくり」に見立てて読み解く。
感想・レビュー・書評
-
建築評論家が、日本や世界の屋根を縦横無尽に語る本。
豊富な図版が雄弁で飽きなかった。
軒先の唇のような形の「てりむくり」をキーコンセプトに、日本の精神性、柔軟性、独自性を紹介し、「てりむくり」の意図10箇条を挙げ、具体的なモノに見立てる書きっぷりに惚れ、ドキドキしてしまった。
そう、山の稜線も芭蕉の傘も、母親も、神輿も瓢箪も霊柩車も、てりむくっているのだ。
面白い切り口の日本文化論でした。
てりむくりはいいぞお。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
てりむくり―日本建築の曲線 (中公新書)
てりむくり
和漢、公武、神仏、、、あらゆる日本にあるデュアルスタンダードを、並存ではなく混在としてとらえることを全ててりむくりに象徴させようとしていくところは、勇み足が過ぎるけども、言いたいことはわかるので、ちょっと落ち着け、って感じ
後半はほとんど読み飛ばす
帝冠様式にはてりむくりがない、ファシズムはてりむくりが(つまりデュアルスタンダードの混在が)嫌いだった、なんて、まぁ、思い切って書かない方が良い
ある程度の年齢になって初めて本を書くと、こうなるんだな、と。
若書きと違って背景が分厚いぶん、、、ね。
でも、てりむくりは面白い
寺院建築の照りと、茅葺の起こりとが混ざった形、照り起こり(てりむくり)。
石材の建築はアーチにならざるを得ない。
キリスト圏、イスラム圏、仏教圏の様式と比較していくのは面白いし、自国文化と他国文化を混ぜることの視覚化されたシンボルとしてみるのも良い。
とはいえ、サインカーブが数学的にある時代の磯崎新の反転曲線をてりむくりとするのは、さすがに固執し過ぎ -
495夜
-
日本の屋根から日本人がわかる?!