天皇誕生: 日本書紀が描いた王朝交替 (中公新書 1568)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121015686

感想・レビュー・書評

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  • いかに日本書紀が作り話であるかを検証した本。といっても、日本書紀を万世一系の根拠とすることに疑問を呈しているのであって、日本書紀の価値を否定しているわけではない。
    中国の歴史書や書記編纂当時の日本の状況などを引き比べながら、内容をひとつひとつ検証していておもしろかった。

  • 日本書紀入門書として最適ですね☺️
    安康天皇が眉輪王(7歳)に殺害されていたの忘れてた❗️雄略天皇や武烈天皇の下りは明らかに革命思想に基づいて記述されているから、平安の昔から、天皇家の万世一系が自慢だった日本の歴史も今一度検証すべきだと主張されています

  • 新書文庫

  • 古書店にて200円で。万世一系を説きつつ武烈→継体間に王朝交替を匂わせる日本書紀の記述を読み解き、中国(当時は唐)が誇る長大な王朝の歴史に対抗すべく、自国史として天皇の系譜を〈紡いだ〉のだと主張している。その当否は扠措くとしても、特定の天皇を指して実在云々を論うことの不毛さは理解できるし、まるでその生涯における自分の役割を予知するかのような各天皇の和名は、確かにそれら一連の記載が史実ではなかったことの証左になっているのかもしれない。鵜呑みにはできないが示唆には富んでいる。

  • 面白い!良書です。いつかは古事記や日本書紀を読みたいと思っていたので、巻末にある通り入門書として有用だったので嬉しい。そして何よりも面白い。ふとした拍子に重心を失って転倒、箸が陰部に突き刺さり、それが原因で亡くなったヤマトトトヒモモソヒメの墓を「箸墓」と呼ぶ?ひどい。双子の誕生に驚いた天皇が碓に向かって絶叫したので、兄がオオウス(大碓)、弟はオウス(小碓)?いい加減だ。このオウスがヤマトタケルだからまた笑える。あとアマテラスの息子の名前、マサカアカツカチハヤヒアメノオシホミミノミコト。長すぎです!

  • [ 内容 ]
    神武以来、連綿と続く万世一系の皇統の歴史を綴った書物として尊重されてきた『日本書紀』。
    戦後はそれに徹底的な批判が加えられ、王朝交替という、万世一系とは対立する古代史が提唱されるに至った。
    本書は『日本書紀』の神武天皇から武烈天皇までの物語を精細に読み解き、その叙述を貫く主題・構想や歴史認識を鮮やかにあぶり出す。
    律令制国家として新生した日本が描こうとした天皇と国家の歴史とはいかなるものか。

    [ 目次 ]
    序章 万世一系と王朝交替と
    1 律令制国家と天皇―その誕生の物語(イワレヒコの東征―神武天皇;神々のむすめとの蜜月―綏靖天皇~開化天皇(欠史八代)
    ハツクニシラス天皇―崇神天皇・垂仁天皇
    疾風、ヤマトタケル―景行天皇・成務天皇
    皇后、海をわたる―仲哀天皇・神功皇后
    胎中天皇の栄え―応神天皇)
    2 中国的王朝―その興亡の物語(恋する聖天子―仁徳天皇;反乱、また反乱―履中・反正・允恭・安康天皇;大いに悪しき天皇―雄略天皇;繰り返される断絶と再生―清寧・顕宗・仁賢・武烈天皇)
    終章 再び、万世一系と王朝交替と

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    [ 参考となる書評 ]

  • 1071夜

  • おそろしく引力のある題名に抗しがたい何かを感じていたのですが、ようやく読了することができました。……うーん、確かに面白いんですが、神武東征を完全に「空想」だと否定するあたりの論理展開がちょっと……と思ってしまいました。仮に「創作」であるとしても、創作に至るまでの伏線はあってもおかしくない筈なので……。

  •   終章にて著者曰く(241p.)、
     「江戸時代に始まった国学は、『古事記』『日本書紀』や『万葉集』などのうち、とくに『古事記』を読めば(徹底的に読み込めば)、中国の思想や文化の影響をこうむる以前の日本の真の姿が明らかにできるのだと考えた。だが、本書において『日本書紀』の前半部分の叙述を取り上げ、いろいろと検討を加えた結果、国学者には残念ながら、ことに『日本書紀』は、それをいくら読み込んでも、歴史的な事実のかけらや、中国の思想・文化の日本固有の姿を拾い上げることはほとんど不可能であることが明らかになった。むしろ、『日本書紀』という歴史書は、中国の文化・思想の受容と摂取なしには、その骨格すら成り立ちえなかったといわねばならない。」

     松岡正剛が、千夜千冊でこの本を採りあげている(第1071夜。2005.10.31)。

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著者プロフィール

遠山美都男

1957年、東京都生まれ。学習院大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科に進み、博士(史学)を取得。専門は日本古代史。『壬申の乱』『白村江』『天皇誕生』『蘇我氏四代』『大化改新と蘇我氏』ほか著書多数。

「2022年 『新版 大化改新 「乙巳の変」の謎を解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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