イギリスのいい子日本のいい子: 自己主張とがまんの教育学 (中公新書 1578)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121015785

感想・レビュー・書評

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  • イギリスの子どもは自己主張すべき場では主張し自己抑制すべき場では抑制するが、日本の子どもは自己主張すべき場でも自己抑制すべき場でも抑制するという考え方を裏付けるデータや、イギリスと日本の教育の仕方の違いから持論を展開している。

  • [ 内容 ]
    優しい子に育ってほしいけれど、自分の意見を言えないようでは困る。
    自分の意志を持ってほしいけれど、わがままなのはだめ。
    子どもが育つとき、自己主張と自己抑制が共にできることが大切なのはわかっていてもそのバランスは難しい。
    両者を等しく重視するイギリスと、自己抑制を尊重しがちな日本を比較教育学を用いて比べながら、子どもたちはどうやってこれらを身につけていくのか、親はそのためにどうすべきかを探る。

    [ 目次 ]
    第1章 自己主張と自己抑制
    第2章 イギリスとアメリカと日本
    第3章 幼児のしつけと教育の日英比較
    第4章 日本とイギリスの子どもたち
    第5章 日本人の対人関係と子どもの自己の発達
    第6章 新しい幼児教育の方向性

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    [ 参考となる書評 ]

  • 自己主張と自己抑制のバランスを見直さないと、いまの経済社会で日本人は不利益を被る。
    が、日本国内にいる限り、世界の他文化に比べて日本社会が特異な存在であることに気づかない。
    本書を読むと、そうした点に気づくことができる。
    なお、日本社会では子育て中の主婦等に冷たい人が多いという話は、日本人は内には配慮するが、外には無関心という「内と外」で説明すべきだと思う。

  • 書店で見つけたときは、単にイギリス人と日本人の価値観の違いがわかるのかな?という程度で手にとりましたが、子育て面にウェイトが置かれているとはいえ、かなり奥の深い本だと感じました。
    読んでいて特に感心したのは分析の切り口です。単に言葉で延々と説明するのではなく、分析を例えば2軸で行い(例:日本人の特性をオモテ・ウラの軸とウチ・ソトの軸に切り分析する)、図示しながら説明しているなど、コンサルティング・ファームがやりそうな方法で説明していることです。
    その意味で日本が抱える問題点はかなりクリアーに説明されていると感じました。

  •  自己主張が苦手で,まわりの雰囲気を見てガマンをする日本人。そんな日本人の性格が,どのようにして,いつ頃から形成されるのかを,イギリスと比べながら,幼児や母親を対象にした質問の回答をまとめて,明らかにしたものが本書の内容。比較教育学という手法らしい。
     本書を一読しての〈目からウロコ〉は,自己主張と自己抑制は,相反する性質(この考え方を著者は「一元的尺度」と呼んでいる)ではないということを知ったことだ。日本人だけ見ていると,自己抑制するから自己主張できないように見えるが,イギリスでは,自己抑制もするけど自己主張もできる人間が多いらしい。ということは,これらの両方とも育てることができるということだ。
     そこで,筆者は,どのようにしたらこの両方を身につけていくことができるのかを提出しようというわけだ。「円滑な対人関係がとれ,その中で自己の要求を実現できるたくましい社会性」を育むことができれば,仲間からも受容され,自己有用感も高まる生活ができる子どもになるだろう。
     固定された集団の中で上手く生きていくことだけを重要視してきた日本社会のしきたりは,グローバルな流れの中で時代遅れになりかけている。やはり,ここぞというときには,わがままに見えない形で自分の意志を出せる人であってほしい。そう考えたときに,それができているイギリスの子育てが参考になると著者はいう。

     幼児期の自己主張を育むには,まず何よりも大人たちが自己主張を捉え直し,かつ伝統的な自己抑制も見失うことなく,自己主張と自己抑制のバランスをうまくとる生き方を構築する必要がある。それが基本にあってこそ大人が子どもの自己主張を受容することが可能になる。自己主張しても大丈夫だというメッセージを環境から読み取ることができたとき,子どもは自己主張を始める。(本誌,p.179)

     集団の中でガマンしたあげくに,キレル若者も多い。自分を集団の中で上手く活かしてあげるためにも,もっともっと自己主張のしかたを学ばねばなるまい。そのためには,まずは大人が学んで手本を示す必要があるというわけだ。

  • 読了日は大体。


    面白かった。

    個人的には、「日本のいい子」よりは「イギリスのいい子」の方が好きです。

  • 興味深い内容だった。

著者プロフィール

一般社団法人日本IR協議会専務理事
慶應義塾大学経済学部卒業。日本経済新聞社に入社後、1993年に日本IR協議会に出向。2003年から同協議会首席研究員、07年から事務局長、15年から現職。講演や執筆活動などを通じてIRや情報開示の普及・向上に努めている。
公認会計士監査審査会委員、東京証券取引所・上場制度整備懇談会委員などを歴任。日本証券アナリスト協会理事、同協会検定会員。
著書に『IR戦略の実際』『IRの成功戦略』(以上、日本経済新聞出版社)ほか。

「2019年 『IRベーシックブック 2019-20年版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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