物語中東の歴史: オリエント五〇〇〇年の光芒 (中公新書 1594)
- 中央公論新社 (2001年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121015945
作品紹介・あらすじ
キリストを生みムハンマドを生んだ中東は、歴史上の転換点となった数々の事件の舞台であり、まさに世界の富と知の中心だった。ソロモン王とシバの女王の知恵くらべ。新興イスラーム勢力のペルシア帝国への挑戦と勝利。ムスリム商人による商業の隆盛と都市文化の繁栄。「蛮族」十字軍やモンゴル帝国の侵攻とその撃退。しかし、やがて地中海世界は衰退し、中東は帝国主義の蹂躙する所となる…。ドラマティックな歴史をたどろう。
感想・レビュー・書評
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物語形式なので読みやすかった。
中東ってどんな地域なの?ということを歴史からざっくりと知りたい人にはお勧めです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中東の歴史を概観したいと思って購入したが、叶わなかった。筆者の想いの赴くままに、いくつかのトピックスが語られる。ところどころ、歴史的な意義とは関係なく、なぜか詳細な記述があったり、筆者の興味次第。
もう少し、中東の歴史を学んでからなら面白かったかもしれない。 -
2019.02―読了
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中東におけるエピソードをかいつまんで物語風にまとめた歴史書的な本。カーディシーヤの合戦,中東から見た十字軍,バイバルスとマムルーク朝あたり,本書で重点的に説明されている。
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こちらは先日の「中東イスラーム民族史」と違って、読んで楽しく勉強になった本。
古代から現代までの中東の歴史の中から、主要な人物や出来事をピックアップし、物語風に書いた本。
紀伝体をかみくだいて現在風にアレンジしたものというか。
それでも背景となる知識に疎いため、Googleマップや世界史の歴史地図を参考に読んだのだが、そうさせるだけの面白さを持った本。入門編としてはなかなかの良書です。
古代から現代までといっても、1980年のエジプトのサダト大統領の時代で終わっているので、もうちょっと最近まで書いてくれたらなあと思ってWikiで著者を調べたら、2011年に87歳で亡くなっておられた。残念。 -
タイトルの通り、中東と呼ばれる国々の歴史を学べます。世界史に疎いので並ぶ名詞の数々に混乱しつつも、ざっくりと概要を知れました。
宗教絡みの争いというイメージが強かったんですけど、実はそればかりでなかったんだなと。 -
最近の中東基礎知識勉強シリーズの締めくくり。やっとぼんやり分かってきた。みっちり書いてあってよい。時々私見を述べているが、この本全体が随筆だと思えば、息抜きとして読みやすい。次は千夜一夜を読もう。
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[盛衰の地にて]ペルシャ、イスラーム、オスマン等、数々の文明が栄枯盛衰を繰り返してきた「中東」。5000年に及ぶ長き歴史を、厳選したエピソードを基に解説していく作品です。著者は、朝日新聞の記者として中東特派員などを担当し、中東報道者の会会長も務められた牟田口義郎。
一章ごとにテーマが決められており、そのテーマに沿った形で重要な出来事や人物を説明してくれるため、(次々と現れるカタカナの地名や人名に耐えられれば……)中東に興味のない方でも読み進めることができるかと。特に乳香と没薬のエピソードは興味深く読ませてもらいました。
筆者が意図したことではないと思いますが、「(あくまでその部外者である現代の日本人が)中東やイスラームの歴史にシンパシーを覚えながら世界史を読むとどうなるか」というのも本書を通して大まかに知ることができるかと。言葉の端々に著者の考える歴史的善悪の評価が散りばめられていて、視座の一つとして非常に参考になりました。
~十五、十六世紀において、西ヨーロッパとイスラーム世界の力関係はまず互角だったが、十七世紀以降変調を来たし、西ヨーロッパの絶対的優位の時代が始まる。~
中公新書の物語シリーズは重宝している気がする☆5つ -
中東が激しく動いている今、やや古くなった感はあるが、「物語」と銘打っているだけに劇的な語り口は魅力的。通り一遍の知識本で知ったつもりになっていたイスラームの世界が、全体からするといかに小さな部分であったかがわかる。
どれほど劇的な事件があり、どれほど魅力的な人物がいたのか…。
いやあ、堪能しました。