社会変動の中の福祉国家 家族の失敗と国家の新しい機能 (中公新書 1600)
- 中央公論新社 (2001年8月25日発売)
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感想 : 7件
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784121016003
感想・レビュー・書評
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定義からはじまる社会学
前著の『社会学講義』もさうだが、とにかく新書を超えた専門的な社会学の入門的内容。
すばらしい。語釈を踏まへて、用語の定義から始める学者は信用できる。工業社会と産業社会の違ひから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
手軽な新書感覚では読めません。ある程度の予備知識は必要だと思います。反対にこの本を読んでから、気になるところを調べなおすのも1つの手かもしれません。エスピンーアンデルセンの福祉国家レジームに属さない日本の特徴から、日本の方向性を示しているところがポイント。市場で福祉がうまくいかない点もよく理解できました。
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著者は、社会の近代化による家族の機能喪失と解体傾向を指摘し、福祉国家の形成に向けての努力が喫緊の課題となっていると主張します。その上で、欧米や日本の福祉政策を理論的に分類し、福祉国家の多様性を明らかにするとともに、新自由主義の台頭によって理論的にも実際的にも福祉政策について考えなおす必要があると論じています。
著者は、日本の福祉政策の歴史を概観し、そこには明白な理論的背景が欠けていたことを指摘します。しかし、高度経済成長の時代が過去のものとなり、日本の近代化の局面がウルリヒ・ベックの言う「再帰的近代」に入っていったことを受けて、従来の福祉国家のマイナス面を取り除きながら制度を改善されたものにしていく必要があると論じています。
ベックの「再帰的近代」に関する議論は、鈴木謙介の著作などを通して触れていましたが、本書は福祉国家論というテーマに沿う仕方で「再帰的近代」を解釈しているような印象があります。そのために、本書の議論は非常に手堅く見通しのよいものになっているように思いますが、ややもの足りないような気がしてしまいます。 -
論立ての参考として読んでみる。理論的前提を踏まえ、家族と国家、福祉国家の形成などについて論じる。
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福祉国家化というのを行政分野の拡大と筆者は定義。
その上で福祉国家の拡大を肯定的に評価する。
福祉国家を理論的に説明。 -
まだ読んでません。
中公新書編集者O氏オススメの1冊。薦められて買ってから5年も経ってしまいました。
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