父親力: 母子密着型子育てからの脱出 (中公新書 1630)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016300

作品紹介・あらすじ

子どもが成長し、社会に出て自分というものを表現できるようになるには、どういう経験が必要なのだろうか。自分たちの頃と比べ、「子ども」が変わったと途方に暮れる親も多い。けれどもちろん、そう嘆く親自身も変わっているのだ。本書では、現在の子育てに欠けているものを明らかにし、特に、子どもが他者、ひいては社会と向き合う際の、父親の役割に注目する。父だけが子にできることを、見直してみる。

感想・レビュー・書評

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  • 我が家には、ママ父とパパ母がいる…この本で示される『父親』はいない感じだ。なんとかしなければ!!

  • この本を読んで学んだこと
    ・母性=安心してくつろげる居場所を提供
    ・父性=その居場所から外へ連れ出すこと
    ・父親は、学校行事に参加しているだけではダメ。「もう一人の母親になっていないか?」

    1.読もうと思った理由
    ・1児の父(5歳・男)の父として、どう向き合えば良いか、考えていたから
    ・妻から「子どもと仲良いのは良いんだけど…」「ナメられているというか、一番怖いのは父親という風に認識させて欲しい」と言われたことがあるから
    ↑と言っても、子どもと仲良くならないと妻の負担が増え、僕への八つ当たりが増えるので、僕としては当然の自己防衛でもある(2.の1点目にも繋がる視点)

    2.学んだこと
    ・子育て環境の変化。核家族化が進み、父親は母親のフォローに回るようになった。(本書では、「もう一人の母親」「やせほそる父性」と紹介されている)
    ・学校行事に参加しているだけだったり、休みの日に一緒にゲームをしているだけだったり、では「『父親として』子どもと話している」とは言えない。休みの日にどこか連れ出し「父親の視点から」子どもの本音を引き出すことが大切
    ・子どもに、ストレスを感じること、失敗することもあることを教え、後押し・フォローすることが求められている。ストレスへの耐性がないと、少年犯罪等へ発展することもある

    3.どう活かすか
    ・子どもに仕事の話をする
    ・子どもに自分の失敗談、どう乗り越えたかを話す
    ・子どもが嫌がること(字の練習、箸の練習)に付き合う。練習の必要性についても根気よく伝える

  • まあなんもしなかった。

  • 個々の議論や論証は、それなりにおもしろく読めました。ただ、サブタイトルにもなっている「母子密着型子育てからの脱出」という、中心になる主張にまで、論証のステップがとどいていないという印象を受けてしまいました。

    自然人類学の研究から人間の文化や社会の起源にせまろうとする試みは、この飛躍をどのように架橋するのかというところに、その成果を左右するもっとも重要な鍵があるように感じます。

  • (「BOOK」データベースより)amazon
    子どもが成長し、社会に出て自分というものを表現できるようになるには、どういう経験が必要なのだろうか。自分たちの頃と比べ、「子ども」が変わったと途方に暮れる親も多い。けれどもちろん、そう嘆く親自身も変わっているのだ。本書では、現在の子育てに欠けているものを明らかにし、特に、子どもが他者、ひいては社会と向き合う際の、父親の役割に注目する。父だけが子にできることを、見直してみる。

  • 今度長女が産まれて父親になるので読んでみた。動物学的な知見や社会学的な見解と、様々な調査結果をもとに父親の役割を説明しており、とても説得力があった。子供が産まれてくる前の良い準備となった。

  • 幼年期に命の危険を感じることがなくなり、死を看ることもなくなり、闇や野生からも遠ざかった現代。かわいがり危険を回避する母性だけでなく、ストレスや挫折も経験させつつ見守る父性が求められる。

    タイトル、サブタイトルともキャッチーなのだけれど、ノウハウというよりはエッセイかな。編集者がつけたんだったら、すごい力量だ。引用豊富で気持ちよく読んでいると、唐突な結論で終わるって感じ。

  • 何とも魅力あるタイトルではないですか。好きな著者でもあったので広告を見てすぐ書店に行き、手にしました。読みすすむと第4章で「もう1人の母親」になっていないか、というテーマに行き当たり、ドキッとしました。うちには2人の母親がいる、そう言われてみれば確かにそういう気がしてきます。父親としての役割(これは必ずしも男親ということではなく、父性という意味で)はなんなのでしょうか。著者は言います。幼い子供は母親の元、安全地帯にいます。しかし、そこにとどまっていたのでは外の楽しい世界を見ることはできません。外に出ていけば危険なことにも出くわします。それでもあえて、外にはもっと魅力的なものがあるのだと、背中を押してやるのが父親の仕事だと。さあ、はたして私にそんなことができていたのか。確かにいろんなところに連れて行っていろんなものを見せてはいます。でも子供にとっては父親(もう1人の母親)の元、安全地帯にいることには変わりなかったのではないか。今春、幼稚園に通い始めた長男は、初めて外の世界に出て行き、とまどっています。素晴らしい出会いがそこに待っていることを伝えていきたいと思います。さて、著者自身がまえがきで断っているように、本書の前半は父親力と関係のなさそうな、古い記憶の話がずっと続いていきます。しかし、私にとってはこの前半の方が知的な興奮を味わうことができました。記憶というのが幼い心にどのようにできあがっていくのか。私自身の最も古い記憶は、幼稚園のとき水槽にはまってびしょぬれになったというおぞましいものです。でも古くは、肉親の死や病が強烈な記憶となって残ることが多かったようです。著者は、自伝的な作品を紹介しながら、記憶がどのように形成されていくのかを語っています。紹介された本をすべて読んでみたいと思いました。このように、1冊の本から読書の連鎖が広がっていくというのが読書のおもしろさでもあります。

  • ◾︎2015/09/05読了。
    ◾︎父性について、実例とデータを使って研究した内容。子供の成長には、母性とともに父性が必要との結論。
    ◾︎思った以上に骨太な内容。根拠がしっかりとしていて読み応えがあった。

  • 父親はこうあるべきという主観めいた論説が続くと予想していたが、しっかりとした科学的医学的?根拠に基づいて父性とは一体どういうものかを論じたもの。そのときそのときで納得させられる部分もあったが、ではこの本を要約せよ、父親力とは一体何か、と問われたら、パッと答えが浮かんでこないようなモヤモヤとした感じは否めない。論が終始一貫し、父親力とは何かについての答えを論じているならまだしも、様々な寄り道を経ているため、何が言いたいのかよくわからない。小説ではオッケーだが、論文ではダメでしょって感じ。

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著者プロフィール

1954年大阪生まれ。専門は、ヒトを含めた霊長類のコミュニケーションの研究。
1983年 大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了
現 在 京都大学霊長類研究所教授

[主著]
ケータイを持ったサル 中央公論新社 2003年
音楽を愛でるサル 中央公論新社 2014年
自閉症の世界(共訳) 講談社 2017年

「2019年 『ニューロダイバーシティと発達障害』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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