物語 スペインの歴史―海洋帝国の黄金時代 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016355

作品紹介・あらすじ

キリスト教国の雄スペインは、カスティーリャ、アラゴン両王国の婚姻により成立した。八世紀以来イベリア半島を支配したイスラム勢力を逐い、一四九二年、レコンキスタを完了。余勢を駆って海外へ雄飛し、広大な領土を得て「太陽の没することなき帝国」の名をほしいままにする-。国土回復戦争の時代から、オスマン・トルコとの死闘を制して絶頂をきわめ、宿敵イギリスに敗れて斜陽の途をたどるまでを流麗な筆致で描く。

感想・レビュー・書評

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  • スペイン史のハイライトをかいつまんである本。
    彼の国がどのように成り立ち、どんな性格を持つのかわかりやすく構成されていて面白い。
    章立ては以下の通り
    1. スペインイスラムの誕生
    2. 国土回復運動
    3. レパント海戦
    4. 捕虜となったセルバンテス
    5. スペイン無敵艦隊
    6. 現代のスペイン

    発行が2002年 2013年に10版を数えているので最終章には追記があるとよいかもしれない。

  • レパントとアルマダの2大海戦を中心としつつ、ムスリムのジブラルタル上陸からETAによるテロまでのスペイン史を物語的に描いた歴史本。

    レパントの海戦が1571年、アルマダの海戦が1588年、その間が黄金時代だとすると(一般的にはもうちょっと広く言われるが・・・)、あまりにも短く、そして華々しい歴史だったと思わざるを得ない。

    結果として主に中米以南に大きな影響力を残し、ハプスブルグの栄光に預かりながらも大きな汚名を着せられることにもなった、世界でも指折りの数奇な歴史であることは間違いない。

    後書きにあるように、元より網羅性を追求したスペイン史ではないが、その歴史が持つ魅力は十分伝えられているのではないかと思う。完成度というか、歴史本としてきっちり完結していて、読みやすさもあり、なかなかオススメできる本だと思った。

  • 史実から逸脱しすぎない程度に物語化されたスペイン黄金時代の本。しっかりとした歴史を求めるには足らない部分もあるが、把握さえできれば、という場合にはオススメ。言葉選びもよく、読みやすいと感じた。

  • スペインの歴史の中でもイスラム、レコンキスタ、レパント海戦、無敵艦隊、スペイン内戦という主要な事件に限って語った本書。他の読んだことのある物語シリーズと比較して、物語色の極めて強い本であろう。歴史を網羅的に描こうというよりも、特徴的な事柄をまるでそこにいるかのような臨場感で描いている。読み終わった今、まだイギリスを追われて失意のままにスペインに戻る無敵艦隊の1兵士であるかのような錯覚に嵌っている。歴史書として評価は人それぞれだろうが、個人的にはとても面白い文学作品であった。出てくる漢字や熟語が少し難しいのも人を選ぶかもしれない。

  • イスラム朝の隆盛から、キリスト教の発展そしてレコンキスタ。太陽の沈まぬスペイン帝国の誕生、イギリスとの争いや無敵艦隊の敗北。そしてサラッとではあるが、現代の内戦や独裁政権についてと中世以後の一通りのスペイン史を読みやすく通読できる良本。

    スペインを代表する人物とはいえ、セルバンテスの左手がどうなったかについて一章割いていたのはよくわからないが、スペイン史に興味を持って最初に手に取るのにおすすめ。

  • あとがきにて著者言及の通り、網羅的な歴史解説ではない。

    イスラム支配時代〜レコンキスタ完了までの知識補給によい。後半はセルバンデス周辺のもろもろとなるので、大航海時代などは他の情報源を参照されたし。

  • 『物語○○の歴史』はイタリアを読んだことがあって、とても面白かったのです。
    著者がいくつかの出来事を取り上げて物語るという形です。
    岩根圀和さんは文学畑を耕しているかたなので、そういう特徴がでています。

    ジブラルタルをこえたターリックの軍。
    スペイン・イスラムの誕生です。

    それに対する国土回復運動、
    レパント海戦、
    イギリスに敗れた無敵艦隊。

    最後の『現代のスペイン』ではアフリカから不法入国して強制送還される人々のこと。
    同じようにジブラルタルを渡った、8世紀のイスラム教徒と対照的。
    そしてアルジェから、スペインに帰って来ることができたセルバンテスも。
    三通りのスペイン上陸。

    ドン・キホーテ作者のセルバンテスは、レパント海戦で活躍し九死に一生を得、その後海賊に捕まりアルジェで奴隷となり、四度も逃亡しようとしますが失敗し、五年間の捕虜生活のあと身請けでやっと帰国します。
    彼はイギリスとの海戦のときは、小麦やオリーブ油の調達の仕事をしました。
    その戦いに参加したのは詩人ローペ・デ・ベガ。
    彼もなんとか生き延びます。セルバンテスの調達のおかげでもあります。
    その後あまり仲良くなかったらしいけど。

    その二人と対照的なのがガルシア・ロルカ。
    セルバンテスに次いで知られるスペインの作家。
    彼を殺したのはスペイン市民戦争だったのです。

    同じく現代ではバスクの問題が。
    バレエのパ・ド・バスクは優雅なステップなのに。

  • スペインの歴史の中でも、イスラームが支配した時代から国土回復に至るまで、レパント海戦から無敵艦隊の敗北まで、そして時代が進んでスペイン市民戦争、さらに飛んで現代(といっても2000年頃)の情勢、バスクのテロ組織ETAの問題といったテーマに絞って叙述される。

    レパント海戦に兵士として参加したセルバンテスがトルコの捕虜となったエピソードに丸々一章割かれているが、セルバンテスが祖国に帰るため、本人やその周囲が苦心する様が印象的。

    タイトルに「物語」とあるように、単に歴史の流れを述べるにとどまらず、スペイン情緒を感じさせてくれる一冊。

  • 歴史を時系列に並べるのではなく、イスラムとの関係、ドン・キホ-テ作者セルバンテスと無敵艦隊というスペインにとって重要な事柄を写真や図と共に物語る。終章の現代スペインも含め、戦記物のような1冊。

  • スペインは好きだ。現代もいいがやはり動乱の中世がとても面白い。薄く広くではなく狭目に深目に描いてあるところが良い。

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著者プロフィール

いわね・くにかず Kunikazu iwane
1945年、兵庫県生まれ。神戸市外国語大学修士課程修了、
神奈川大学名誉教授。
著書に、
『贋作ドン・キホーテ  ラ・マンチャの男の偽者騒動 中公新書』
(中央公論社、1997年)、
『物語 スペインの歴史 海洋帝国の黄金時代 中公新書』
(中央公論新社、2002年)、
『物語 スペインの歴史 人物篇  エル・シドからガウディまで
 中公新書』(中央公論新社、2004年)、
『スペイン無敵艦隊の悲劇  イングランド遠征の果てに』
(彩流社、2015年)があり、
訳書等に、
『名誉の医師』(カルデロン・デ・ラ・バルカ 著、訳註、
 大学書林、 1982年)、
『サラメアの村長』(カルデロン・デ・ラ・バルカ 著、訳注、
 大学書林、1982年)、
『人生は夢』(カルデロン・デ・ラ・バルカ 著、訳注、
 大学書林、1985年)、
『セビーリャの色事師と石の招客』(ティルソ・デ・モリーナ 著、
 訳注、大学書林、1986年)、
『復讐なき罰』(ローペ・デ・ベガ 著、訳注、大学書林、1986年)、
『シドの青春時代』(ギリェン・デ・カストロ 著、訳注、
 大学書林、1987年)、
『疑わしき真実』(フアン・ルイス・デ・アラルコン 著、訳注、
 大学書林、1988年)、
『ヌマンシア』(ミゲル・デ・セルバンテス・サアベドラ 著、
 訳注、大学書林、1990年)、
『赤い紙』(ミゲル・デリーベス 著、彩流社、1994年)、
『バロック演劇名作集  スペイン中世・黄金世紀文学7』
(牛島信明責任編集、共訳、国書刊行会、1994年)、
『贋作ドン・キホーテ〈上・下〉 ちくま文庫』
(アベリャネーダ 著、筑摩書房、1999年)、
『異端者』(ミゲル・デリーベス 著、彩流社、2002年)、
『マリオとの五時間』
(ミゲル・デリーベス 著、彩流社、2004年)、
『La lengua de las mariposas 中級読み物 蝶の舌 詳細注釈付』
(共著、朝日出版社、2008年)、
『糸杉の影は長い』(ミゲル・デリーベス 著、彩流社、2010年)、
『落ちた王子さま』(ミゲル・デリーベス 著、彩流社、2011年)、
『新訳 ドン・キホーテ 【前編・後編】』
(セルバンテス 著、彩流社、2012年)、
『ラ・セレスティーナ  カリストとメリベアの悲喜劇』
(フェルナンド・デ・ロハス 著、アルファベータブックス、2015年)、
『アマディス・デ・ガウラ(上・下)』
(ガルシ・ロドリゲス・デ・モンタルボ 著、彩流社、2019年)、
『エスプランディアンの武勲  続 アマディス・デ・ガウラ』
(ガルシ・ロドリゲス・デ・モンタルボ 著、彩流社、2020年)、
等がある。

「2020年 『ドン・キホーテのスペイン社会史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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