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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784121016386
感想・レビュー・書評
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予防医学に詳しい方に紹介してもらいました。環境問題とりわけ化学物質問題に関して、わたしたちは次世代に対する責任と義務があると感じた一冊です。本著は15年以上前の本ですが、胎児が化学物質に汚染されて生まれてくることや、化学物質がヒトの体の中に入ってくる経路は食べ物や飲み物からと皮膚からと呼吸からの三種類あることなど、今知っても遅くない内容ばかりです。特に子どもを産む前の人は読んでほしいです。本日、予防医学セミナーに参加し、化学物質についての意識が高まりました。まずはシャンプーなどの日用品を見直そうと思います。
p10
医学の分野には予防医学という領域があり、健康増進活動を中心とする第一次予防、早期発見を中心とした第二次予防、再発防止やリハビリテーションを中心とした第三次予防という三つのレベルがある。さらに、個人の努力だけではできない、環境問題対策を含めた予防のことをゼロ次予防という。
p14
汚染物質の量が多く長期間にわたれば、汚染地域は国境を越え、場合によっては地球的な汚染を起こしうる。たとえば、インドで使用された揮発性の有機塩素系の農薬は、赤道付近の上昇気流に乗って一気に中緯度地域に運ばれ、気温の降下とともにその地域に降り注ぐ。このように、一部の国を除いては使用されていないはずの残留性の化学物質による汚染が、地球の隅々でみられるということがある。
p20
環境汚染物質のうち、とくに残留性の高い人工化学物質は、食物連鎖による生物濃縮を経て、ヒトの体内に入る。生物濃縮とは、食物連鎖の下位では化学物質の体内濃度が低くても、生態系の上位にいくに従って徐々に体内で化学物質が濃縮されていくことである。水に溶ける物質であれば、尿とともに体外に排出されやすい。しかし、脂肪に溶けやすい化学物質は体外に排出されにくく、脂肪中に貯蓄されるのだ生物濃縮を起こしやすいのである。
p35
環境ホルモン(内分泌かく乱物質)としては、DDTなどの農薬、PCB類などの工業化学物質、ダイオキシンなどの非意図的生成物、また、合成女性ホルモンなどの医薬品や植物エストロゲンがリストアップされている。
p44
環境ホルモン(内分泌かく乱物質)とは、動物の生体内に取り込まれた場合に、本来その生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を与える外因性の物質。
p48
環境ホルモン(内分泌かく乱物質)がレセプター(ホルモンなどの生理活性物質に対する受容体)に結合して生じる反応には二通りある。本来ならば時期特異的に制御されているべき遺伝子が活性化される場合と、その逆に本来のホルモン作用が阻害される場合とである。
p63
それぞれの化学物質の貯蓄濃度は低くても、多くの化学物質の複合汚染による相加効果で悪影響が起こりうることは十分に考えられる。
p66
鳥類は比較的長距離を移動するものも多いので、生態系の上位に位置する大型の鳥類は、さまざまな農薬を複合的に貯蓄している可能性がある。
p68
海洋におけるプラスチック汚染の広がりが、「海鳥類のプラスチック粒子の取り込み」という整体影響としてあらわれてきている。
p70
熱帯地域における有機塩素化合物の利用の増大が地球規模の汚染を拡大し、海洋への負担を増大した
海は有害物質の掃き溜めとして機能している
とくに高緯度海域は有機塩素化合物のシンクとして働き、海洋生態系の生物濃縮に影響を及ぼしていると考えられている
p107
ここで注目したいのは、胎生期(とくに妊娠初期の器官形成期)は薬剤や感染などに対して感受性が高く、その時期に薬剤や有害物質に曝露されると、生まれてくる子に先天異常や生殖異常などが誘発されやすいことである。このことは、受精してから出生するまでの約一〇ヵ月(約二八〇日)の妊娠期間が出生以後の一生、生まれてから死ぬまでの期間に匹敵するほどの重要性を持っていることを示している。つまり、ヒトの体の成り立ちの半分は胎生期で決定づけられるわけで、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)などの化学物質汚染が恐れられるゆえんである。
p110
医療や科学の領域では、ヒトを含めた動物に対して、明確な疾病や異常が起きる前に生体が示す反応を、その疾病や異常を予知するためのバイオマーカー(生物指標)として判断などに用いている。身近なところでは、肝臓の状態を調べる際、血液の生化学的検査を行い、血清アミノトランスフェラーゼ、GOT、GPTなどが高値になっていると、精密検査にまわされるが、このGOT、GPTなどが肝疾患のバイオマーカーである。
p120
とくに妊娠初期は細胞分裂が盛んに行なわれ、ほとんどの臓器や器官は、受精後第八週の「胚子(胎芽)期」と呼ばれる時期に形成される。そのため、この時期に障害を与える要因が作用すると、重篤な奇形が生じやすい。
p142
これまでの研究・調査結果からでは、環境ホルモンによって、ヒトに健康被害などの悪影響が現在起こっているとは断言できない。しかし、野生動物が環境ホルモンにより生殖障害や発育障害を受けているという報告があるのに加え、実験動物では環境ホルモンによる悪影響が報告されている。また、日本では、ダイオキシンを含めた環境ホルモンのヒト胎児・乳児への移行および貯蓄が現実に起こっていることも判明している。一方、現在までのところ、環境ホルモンの影響が調べられているのは、生殖への影響など限られた分野だけであり、神経系や免疫系などにおける細かい影響などは見逃されている可能性も高い。したがって、ダイオキシンや環境ホルモンによるヒトへの影響はたしかに不明ではあるが、「不明なのだから影響があるとはいえない」とするよりも、「不明だということは、影響がある可能性がある」という考え方で、今後の調査・研究を行なうことが望まれる。
p147
(1)環境中に放出された合成化学物質の大半は、天然物質同様、ヒトをはじめとする動物の内分泌系をかく乱する作用がある。(2)化学物質(内分泌かく乱物質=環境ホルモン)の影響は、多くの野生生物の個体群に及んでいる。(3)影響のパターンは、生物種により、それぞれの合成化学物質によって千差万別であるが、子供・胎児へよ影響が問題という共通点がある。(4)野生生物にみられる性発達異常は、動物実験によっても確認されている。(5)ヒトも内分泌かく乱物質の影響を受けている。
p155
環境ホルモン物質によるヒトへの影響には、胎児期や乳幼児期など、とくに感受性が高い「高感受期」が存在することや、化学物質に曝露されてからその影響が実際にあらわれるまでに長期間を要すること、これまで考えられなかったくらいの微量でも影響が出ること、複合曝露による影響も未知数であること、さらには母体に蓄積した化学物質による影響が次世代に出る可能性がある
p168
先天異常の発生率を下げるには、妊娠する可能性のある女性や、将来子供をつくる可能性の高い若い男女が、普段から化学物質を避けるよう生活に注意することが重要なのである。
p160
われわれの体はさまざまなタンパク質によって日々の恒常性が維持されている。このタンパク質をつくる情報を担っているのが遺伝子である。遺伝子には、タンパク質を、いつ、どこで、どのくらいつくるかの設計図が書かれている。ゲノム・プロジェクトの成果はヒトの体にあるすべてのタンパク質の設計図を解読したことである。
p182
現在の化学物質の安全基準は、成人が対象になっている。しかし、成人はヒトの発達が一通り終了して安定した時期に達し、いわばリスクに対してもっとも強いグループである。それではより弱いグループは守れない。ヒトの中でもっとも弱い、物言わぬ胎児を化学物質使用に際しての基準対象にすることで、結局は成人にとっても健康へのリスクを減らすことができるのである。
p183
この問題で健康への影響が本当にあらわれるのは、今生きているわれわれではなく、次の世代やその次の世代と考えられており、子孫に負の遺産を残さないためにも、価値観の転換とそれを伝え実行していく教育体制の整備が必要と考えられる。
臍帯(へその緒)から数多くの化学物質がほぼ例外なく検出されており、胎児は複合的に化学物質に汚染されている。つまり負の遺産を背負わされて生まれてくることになる。
化学物質がヒトの体の中に入ってくる経路は①食べたり飲んだりして入る(経口曝露)②皮膚を通して入る(経皮曝露)③呼吸とともに入る(経気道曝露)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学校の課題で読んだもの。
意外と面白かった。
し、分かりやすかった。
こういうのを映画化・ドラマ化・漫画化して、もっと広めるたらいいんじゃないかなと思う。
誰にでも理解出来るように、注釈・説明も多いので、読んでみてくださいな☆
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