人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学 (中公新書)

  • 中央公論新社
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感想 : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016461

作品紹介・あらすじ

二〇〇六年、日本の人口は減少に転じる。急速に進む少子高齢化で、医療や年金など、私たちの生活にさまざまな影響があるのは避けられない。だが、人口の減少とは本当に憂慮すべき問題なのだろうか。本書では、むしろ居住空間や余暇など質的に充実した社会を確立する好機であることを指摘した上で、すでに人口が減少に転じているヨーロッパの例を参考にしつつ、私たちが直面する課題とその先にある未来像を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 2002年に書かれた本だが、恐ろしいほどこの10年の社会動向が正確に予見されている。マクロトレンドの大部分は人口動態だけで説明がつくような気さえする。
    ただその処方箋に関しては、本当にそれでいいのかな?と思うものもある。ここまで少子化が進むと多少の出生率の増加では焼け石に水であり、人口減少を前提とした社会構造への変革が必須だということは理解できた。一方で最も大きな課題である医療費の増加を食い止めるために、公的保険で受けられる医療技術の上限を定めて、”貧乏人は金がなくなった時点で死を受け入れよ”という政策の導入が提言されているが、それが社会不安を起こさずに実現可能なのかどうか。もう一つ薬価の引き下げ等による供給サイドの費用削減は、医薬品メーカーの収入減につながって継続的な新薬開発が進まなくなることはないのか?
    とは言え、いろいろ考えさせてくれる良書ではある。

  • 人口減少は厳然たる未来、そこでどうするか
    要は人々がその変化にいかに速やかに順応できるかの問題である。
    本書の目的は人々が幸福を感じられる経済と社会、キーワードは消費、国際分業、地域社会、新しい都市設計、そして医療制度である。
    ここでは幸福とは「労働時間あたりの所得が多いこと」とする。
    幸福の度合いを他国と比較するには、所得によって買うことができるモノの量としなければならない。
    先進国で過半数の人が働いている国は日本の他にない。

    日本が幸福にならなかった原因は、経済の効率の悪さ、賃金の低さ、物価の高さから来ている。
    他の誰からも独立しており、他の誰にも支配されないことが、人間にとって真の幸福である。

    終身雇用、年功序列が定着したのは、1939年の賃金統制令と、翌年40年の従業者移動防止令である。
    目的は、戦争遂行のためには賃金水準の上昇はマイナスであり、その原因は高い賃金を求めて労働者が企業間を移動することにあたると考えた。

    賃金統制令は初任給を年齢別に公定した上で賃金をする一方、年一回従業員を昇給させる場合例外として認めるというものであった。
    つまりそれまでは広凡に行われていた能力給を禁止し、年功賃金、定期昇給を法令で定めたのである。
    生産増加のための設備投資を大幅に急拡大する必要があった。その場合、企業が支払う賃金の総額が大きくなることは、設備投資の原資となるべき企業様利益を縮小させる。だから、賃金総額を抑制する必要があったが、そのためには終身雇用、年功序列はまことに好都合の制度であった。

  • 90円購入2011-10-04

  • これから、人口減少するといわれている日本の社会のデザインをどうしていくべきか?という問いに答えようとしている本。人口減少となっても全員が幸せになるためには、賃上げも必要だし、消費も大事。内需を拡大を基本に描いている。一方、グローバル社会の中での対応にもふれてもいる。地方都市の今後についても考察している。

  • 右肩下がり経済の分析と日本の将来像・処方箋につき、物理学(閉鎖空間内の使用可能エネルギーは有限で、右肩下がりは通常の過程とみる思考)の発想から、マクロ経済的に分析したもの。2002年刊行だが、十分に面白い。もちろん、マクロ分析に特化しているため、著者想定の条件をミクロ的には成就できない時について、やや楽観視しすぎの観がある。けだし、合成の誤謬が生じない保証はないからだ。また、既得権を政治的に解体することの困難さもやや甘く見積っていると思う。が、発想の転換ができた本書が個人的に有益であったことは確かだ。

  • 少し難しいが、考えさせてくれる本。

  • マクロ経済的な視点に立って理論を展開させている。著者の主張は「人口減少社会は人々を不幸にするものではなく、悲観する必要はない」で一貫しているがあまりに美しい展開にその主張を盲信する事はきけんであると感じる。これは一主張であり、自然の流れに任せて幸福な社会を実現できない場合でも持続可能になせる方法を構築する必要がある。
    ただし、新しい発見が多い本であり、世の中を見る視点を増やすことができる。

  • ん~。期待はずれでした。

    人口が減ることについて、3つほど問題があるかなーと僕は思います。
    1、需要の減少による企業活動の縮小
    2、社会保障システムの機能不全
    3、国の財政規律の復帰が難しくなる

    この本は、1に関してはよく説明していました。日本型の、「売上主義」から脱却し、「収益主義」になることで、人口減社会のなかでも対応することができるというのは納得しました。

    ただ、2について。保険については述べられていました(でも、保険料の国民の自己負担が増えざるを得ないという結論でお茶を濁したようにしか思えない)。ただ、その他の年金の部分、つまり僕らが一番気になる部分については全く触れられておらず、非常に不満です。

    3についてはまったく述べられていないです。

    よって、「人口減社会は悪くない」みたいな主張をするにあたって、少し見当が不足しているのでは?と思いました。

    それに加えて、「幸せは余暇時間と給料のバランス」(一理あるけど。)とか、数字の根拠の危うさとか、気になるところがいっぱいありました。

    一理あるなぁと思ったところもありました。例えば、国際の自由競争に任せつつも国家として戦略を持って何かの産業を育てないといけない、という発想や金融業界をもっと育てないといけないという主張。その通りだと思います。

    あと、とにかく人口減社会である日本は、GDPの減少も、これからはある程度目をつぶらないといけなくて、それが景気後退によるものなのか如何をこれからは見極めていかないといけないんだなあとも、思いました。

    しかしまあ、これを読んで、結局少子高齢化への不安が20パーセントぐらいしか解消されなかったので、早く結婚して子供産んで、子ども手当をもらいながら日本の人口増に貢献したいなぁと思います!笑

  • 人口減少を食い止めようとするのでなく、それを前提条件として新たな社会設計を考える。

    人口減少とは、すなわち経済規模の縮小。
    だから経済成長は止まる。
    本書は、まず幸せとは何かというところが導入部だ。
    働いた分の賃金でどれだけ物が買えるのか、という観点から、経済成長によって日本人は幸せになったのか、と問う。
    答えはノーだ。
    そのため、経済成長を無理に目指す必要はないと結論付ける。
    よって、現在の社会は右肩上がりの経済成長を前提として設計されているから、それを改めるべき、というのが基本的な主張。

    では具体的にどのような社会にすべきかということを、経済や街づくり、医療等の幅広い分野にわたって述べている。

    経済に関しては、言うまでもなく高付加価値産業。
    これは目新しさはない。
    売り上げ重視から利益率重視へ。
    これも驚きはなく、素直に頷ける。
    設備投資しすぎると、維持コストの増大によって逆に経済は停滞する。
    これは私は「あっそうか」と思ったけれど、経済学的には常識なのかな?
    そして、他産業の競争力低下により、今後は小売業が重要視されるなど。
    これはインターネット販売があるから、個人的には疑問。

    街づくりに関しては、欧米を見習い、老人が街路に溢れるようにベンチを設置するなど。
    これに関しては、割と感覚的な視点から書いているように思った。
    実際のニーズだとか、根拠があまり見えず。

    医療に関しては、市場原理の導入による医療負担削減など。
    なぜなら、医療費は人口減少がなくとも医療技術進歩によって必ず高くなる。
    よって所得による医療格差は必ず広がる。
    加えて高齢化だ。
    この医療に関する部分は、非常に論理的に書かれていて納得できた。
    元々知識のないこともあり、勉強になったと思う。


    文章や内容がかたくてとっつきにくい本ではある。
    しかし、それを乗り越えて一読する価値はあるように思った。

  • [ 内容 ]
    二〇〇六年、日本の人口は減少に転じる。
    急速に進む少子高齢化で、医療や年金など、私たちの生活にさまざまな影響があるのは避けられない。
    だが、人口の減少とは本当に憂慮すべき問題なのだろうか。
    本書では、むしろ居住空間や余暇など質的に充実した社会を確立する好機であることを指摘した上で、すでに人口が減少に転じているヨーロッパの例を参考にしつつ、私たちが直面する課題とその先にある未来像を提示する。

    [ 目次 ]
    第1章 人口減少社会がくる
    第2章 人口増加は何をもたらしたか(人々は幸福になったか 日本経済の問題点)
    第3章 経済・社会の将来像(経済の変質 社会の変化 医療制度の将来)
    第4章 人口減少社会にどう対処するか(日本経済の新しい道 成熟した社会を求めて)

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著者プロフィール

政策研究大学院大学名誉教授

「2015年 『東京劣化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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