「超」文章法 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 1363
感想 : 117
  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016621

作品紹介・あらすじ

企画書、評論、論文など論述文の目的は、伝えたいメッセージを確実に伝え、読み手を説得することだ。論述文の成功は、メッセージが「ためになり、面白い」かどうかで決まる。それをどう見つけるか。論点をどう提示するか。説得力を強めるために比喩や引用をどう用いるか。わかりやすい文章にするためのコツは。そして、読み手に興味を持ってもらうには。これまでの文章読本が扱ってこなかった問題への答がここにある。

感想・レビュー・書評

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  • この本は、『「超」文章法』ですが、この本こそ著者の「文章法」そのもので執筆されたものです。

    論文では、まず初めに結論を述べるのがよいと書かれていますが、この「文章法」はすでにプロローグにどの章(7つの章からなっています)が1番重要であり、どれが、それほど重要でないか、結論が述べられています。

    確かに重要とされる章(メッツセージこそ重要だの章。骨組みを作るの章)が読んでいて引き込まれ、重要でないとされる章(文章の化粧の章)は英単語の暗記でもするような退屈をかんじました。
    時間がない読者は重要とされる章だけ、まず読んでみるのもよいのではないかと思います。

    2002年刊行の新書ですので、7章ではパソコンで書くことの有用性についても述べられています。確かにパソコンのない時代は「文章法」は全く別物でさぞかし難儀だったでしょう。今の時代は便利になったものです。

    この「文章法」は、時代の過渡期においてはかなり重要な位置をしめたものだったことがうかがわれます。
    けだし、現在においても十分通用しうる内容でしょう。

  • 「超」文章法 (中公新書) 新書 – 2002/10/1

    文章は書き始めることが重要
    2011年9月5日記述

    2002年に出された文章に関する本。
    パソコンによる編集しつつ文章作成することが画期的であると最終で述べている。
    何度も推敲しながら書くことは紙で書いていた時代では考えられなかったと。
    このことは超発想法や超勉強法にもほぼ同じ内容が語られていて、本書で言う所の「メッセージ」なのだろうと思った次第です。
    前書2冊を読むとより本書の内容を吸収できると感じた。
    '1.メッセージ(一言で他人に説明できるもの)がなければ駄目であること。

    '2.文章を書く際にはPCでとにかく書き始めること。

    この2点に注意し他の文章に関する書籍を参照することで文章力をアップさせれるように感じる。

    印象に残った点

    適切なメッセージが見つかれば、「どうしても書きたい。突き動かされるように書きたい。書きたくてたまらない」と考えるようになる(なお、こうしたメッセージは、必ず「ひとことで言える」)。

     …メッセージを見つけるには、「考え抜く」しかない。すると、あるとき啓示がある。後ろを見ると、天使が立って微笑んでいるのだ。「あなたはどうやって万有引力の法則を発見したか?」という問いに対するニュートンの答えは、有名だ。彼は、「ひたすら考え続けることによって」と答えたのである。まったくその通りだ。これ以外のどんな答えがありえよう?

     …机を離れ、散歩するほうがずっとよい。アシモフがいうように、「考え抜く」しか方法はないのである。できることは、「考え抜くための環境」を準備することだ。邪魔になるものは、排除しなければならない。一日100通のメールに返事を書かねばならぬ人が考え抜く時間を確保できたら、奇跡としか言いようがない。

     多くの物語には、共通の骨組みがある。…その典型は、冒険物語に見られる。…「指輪物語」や「ハリーポッター」、映画では「オズの魔法使い」、「ストーカー」などが、以下に述べるストーリー展開になっている。しかも、これはヨーロッパの物語だけのことではない。「桃太郎」や「西遊記」などの東洋の物語も、ストーリー展開の構造はまったく同じなのだ。

     1故郷を離れ旅に出る
     2仲間が加わる
     3敵が現れる
     4最終戦争が勃発する
     5故郷へ帰還する

     このように、物語の基本的な骨組みは、「登場人物」と、彼らが行動する「場」という2つの要素で作られている。同様の要素を、論述文の場合にも考えることができる。…桃太郎は、成敗した鬼を部下に従え、鬼が島を開発して王様として暮らせばよいのに、なぜ、あまりぱっとしない故郷に戻るのだろう?…もう1つ不思議なのは、悪役の行動である。彼らは、なぜ主人公の邪魔をするのか?そのインセンティブがはっきりしない場合が多い。

     …洗濯と芝刈りだけでは、「朝起きて歯を磨いて…」と同じことで、冒険もロマンもない。…これでは面白くないし、ためにもならない。旅とは、日常生活からの決別だ。日常生活から離れてこそ、面白い冒険物語を展開できる。じつは、論文でも同じである。

     主人公はなぜ故郷に戻るのか?…なぜなら、物語が「ためになる」には、旅の経験を現実生活で応用できる必要があるからだ。日常生活に戻った上で、冒険の経験を振り返ってみる必要がある。

     「悪役の行動は不自然なこともある」と前節で指摘した。…これは、「対立概念」または「反対概念」なのだ。

     経済的社会階級として通常用いられるのは、「資本家階級と労働者階級」だ。ところが、ケインズは、「資産家と実業者」という区別を考えた。前者は、貴族や大地主のように、多額の資産を保有する階級である。後者は、経営者と労働者からなる。…「資産家」は、資産を保有して運用するだけであり、実際の生産活動にかかわることはない。彼らにとっての最大の目的は、利子所得などの資産収益の最大化だ。ケインズは、資産化階級のこのような欲求が経済活動を停滞させる基本的原因になると考えた。日本でケインズ経済学というと、「公共事業を増やせば経済が活性化する」という有効需要政策のことだと考えられることが多い。しかし、彼の考えの根底にあったのは、こうした経済構造の把握である。これこそが、ケインズ経済学のエッセンスである。

     「純文学」と呼ばれる分野では、竜頭文は敬遠される。しかし、どれもがそうというわけでもない。例えば、カフカの「変身」がよい例だ。「ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な毒虫に変わっているのを発見した」と始まる。この文章を読んでつぎに読み進まない人がいるとしたら、そういう人には、どんな書き出しをしたところで、無駄である。

     自分史の書き出し方には、つぎの3つのタイプがある。
    1私は、1930年の1月1日に生まれた。
    2破綻の日(事業が行き詰って破産した日など)
    3大願成就の日(入学試験に合格した日など)
    …3の場合は、「自慢話か」ととられ、反撥される恐れがある。人間というのは、嫉妬深いものなのである。これに対して。2の場合には、「大変だな」と同情するとともに、「いったいどうやって逆境を克服したのだろう」という興味もわく。

     ケインズは株価の決定は美人投票のようなものだといった。この比喩は、非常に複雑な現象をわかりやすく説明している。…アダムスミスは「国富論」の冒頭で、「分業の利益」という概念をピンの生産で示している。リカードは「比較優位の原則」をイギリスとポルトガルにおけるワインと羊毛の生産で説明している。同じ概念の説明に、サミュエルソンは、「経済学」という教科書で弁護士とタイピストの例を用いている。…アダムスミスは分業の利益を数字で示した。1人の労働者が作れば一日一本のピンを作ることもおぼつかないが、作業を分割して10人の労働者で分業すれば、1日1人あたり4800本のピンを作ることができるというのである。
     
     権威主義者は、ジャーナリストにも多い。…会って5分も話せば、さらに明白になる。権威には無条件に服従するが、そうでない人には高圧的になる。新聞社の政治部で有力政治家の番記者になると、こうなってしまう人が多い。こういう考えの人から読む価値のある文章が出てくるはずがない。事大主義と権威主義こそ、文章の最大の敵である。

     一般的なエッセイや講話などでは、聖書、シェイクスピア、ゲーテは、「3大引用元」である。すべての真理は、ここに書かれてしまったのではないかと思えるほどだ。日常会話のすべてをシェイクスピアの引用だけで言う人もいる。日本の古典文学では、「徒然草」である。これを引用すれば、「西洋かぶれしていない」という評判を勝ち取ることができる。…経済学者では、ケインズの右に出る人はいない。普通とは違った見方が示されているので、面白い。

     意味の思い違いは、とくに外来語においてはなはなしい。
    デッドロック。…「こわれた鍵」なので、「デッドロックに乗り上げる」は誤り。
    ホッチキス。英語では「ステイプラ」という。
    ダッシュ。「-」のこと。日本人が普通「ダッシュ」といっている記号「´」は、「プライム」と呼ぶ。A´はエイ・プライムである。
    ハンドル。鞄などの持ち手のこと。…自動車の操縦装置は、steering wheelという。
    ガソリンスタンド。アメリカでは、gas stationという。なお、ガソリンは、アメリカではgas、イギリスでは、petrol。
    サボる。sabotageは「破壊工作」という意味であり、「怠業」という意味はない。

     電車に乗ったら、運転席のすぐ後ろに立って運転ぶりを見てみよう。モーターを動かしているのは、出発後のわずかな時間だけだ。あとは電流を切って惰性走行している。ニュートンの運動第一法則(力の働かない物体は等速運動をする)が正しいことを実感する。どんなことについても、イナーシャ(惰性)の克服こそが重要なのである。

     「現役効果」と呼ぼう。仕事を開始し、その仕事に関して「現役」になっていれば、外界からの刺激に反応する度合いが強くなるのである。…逆にいえば、仕事を離れてしまうと、「自動進行効果」は得られない。

     イナーシャ突破のために、ノートパソコンは格別便利だ。私は食卓にノートパソコンを置いてある。食後、仕事再開のために書斎にゆくこと自体に、ある種の「バリア」がある。パソコンでさえ、「あらたまった気持ち」で仕事にとりかかるのでなく、「食後になんとなく」といったことが必要なのだ。

     ベッドに入って寝入りばなにアイディアを思いついたら、必ず紙に書き付けておこう。人間の記憶能力はまったく信用できず、アイディアの逃げ足は非常に速いからである。…ベッドサイドには必ずメモ用紙を置こう。

  • 教養として、とっかかりとして付き合って行こうと思う。
    ただ、ちょっと論調が怖い。おっさんの説教じみた感じが否めない。センスがあるかといえば−1☆。

  • 著者は、『「超」〇〇法』のネーミングで、シリーズとなる本を書かれているが、この文章表現について書かれたものについては、残念ながらいくつかの文章表現本と比べても目新しい内容のものはなく、ごくオーソドックスな文章表現法についてのマニュアル本という印象である。

  • 文章作成の参考書。

  • 会社から指定され、読んだ一冊。個人的にはこの手の本を読むよりも、実際の「文章」を読み、そこから表現を味わいたいため、そこまで深く入り込めなかったが、重要な内容を含んだ一冊であった。
    例えば、第一章が「メッセージこそ重要だ」と題されていることがまず面白い。小手先のテクニックではなく、そもそも文章にメッセージがなければどれだけ華美な表現を施したところで、それは読むに耐えないものとなる。そして本章内に含まれる「適切なメッセージは発展性がある」「(メッセージを発見するためには)考え抜くしかない」という主張も味わい深い。メッセージこそが文章の骨格である。
    また、特に印象に残った箇所は以下に記載しておく。これは自身が論文を書く中でも体感したことと近く、今後も意識していきたいことである。

    「適切な事例が私の前に現れたのは、偶然だ。しかし、適切な事例を求めていたからこそ、私はそれを見つけた。適切な表現を求めていたからこそ、本の一箇所に反応したのである。同じ文章を見ている人は大勢いるのだが、彼らはただ流し読みにしただけだろう」(p.232)

  • 読者を説得し自分の主張を広める文章を書くためのマニュアル。
    先日仕事で作成した提案書の反省・振り返りとして、とても良いタイミングで読了。
    繰り返し学びたい。

  • 著者自身がどのような点に配慮して、わかりやすい文章を書いているかがしっかりと解説してある。巻末にオススメの順序で参考文献が並べてあったので、ぜひ参考にしたい。

  • 文150字、パラグラフ1500字、短文1500字、長文1万5000字、本15万字。つまり、
    10ツイートでパラグラフ。10まとめで短文。10短文で長文。10長文で本1冊。

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著者プロフィール

野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)
1940年、東京生まれ。1963年、東京大学工学部卒業。1964年、大蔵省入省。1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。
著書に『情報の経済理論』(日経経済図書文化賞)、『1940年体制―さらば戦時経済』、『財政危機の構造』(サントリー学芸賞)(以上、東洋経済新報社)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、吉野作造賞)、『「超」整理法』(中公新書)、『仮想通貨革命』(ダイヤモンド社)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞出版社:大川出版賞)など。近著に『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社)、『経験なき経済危機』(ダイヤモンド社)、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ逆転勝ちの経済学』(文春新書)、『「超」英語独学法』(NHK出版)などがある。

「2021年 『入門 米中経済戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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