快楽の本棚: 言葉から自由になるための読書案内 (中公新書 1678)

  • 中央公論新社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016782

作品紹介・あらすじ

言葉から自由になりたい。物事の本質をつかまえるために、自分という生命を喜ぶために。『孝女白菊の歌』から『チャタレー夫人の恋人』、そしてフォークナーの世界へ。海流のように、竜巻のように渦巻き、再生しつづける物語の世界。言葉と人間、人間と物語、そのつながりには、希望を失わずに生きつづけようとする、ひとりひとりの人間たちの息吹がある。美しく静かな言葉で、著者は物語の意味を問い直す旅に出かける。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の子供時代からの読書遍歴を辿る、性をテーマにした文学作品案内。
    怖いもの見たさに『怪談』や『雨月物語』に夢中になった幼い頃の好奇心は、年を重ねるにつれ、背徳的な世界を描いた作品へと向かいます。
    思春期は性への好奇心が芽生えるころですが、モーパッサンの『ベラミ』や西鶴の『好色一代男』などを実際に読んでしまうのだからすごいです。
    私が同世代の頃は、興味はあっても恥ずかしくて、読むことなど考えたこともなかった…。

    「エッチな本を読みたい!」…という動機から始まった読書体験は、やがて人間の営みを考える土台となっていったようです。
    太宰治を父にもつ著者だからこそ、幼い頃から「女性であること」を本能的に、より強く感じていたような気がしました。

  • たまたま読んでみた本が面白かった
         ↓     
    同じ作者の他の本も読んでみる
         ↓
    解説者がすすめた本も面白そうだ
         ↓
    巻末の出版社が載せるリストにある本も面白そうだ

    こういう流れで好きな本を探すことが多い私には、
    いわゆるブックレビュー本が結構参考になって、
    レビューしている人と感性が近いかもと思うと、
    レビューされてる本をいろいろ読んでみるし、
    あわないなと思ってもとりあえず試しに読んでみて、
    やっぱり合わないなって確認したりもする。

    この作者についてはやっぱりお父さんのことが気になって、
    ついつい買ってしまった。そういう読まれ方、彼女は不本意なのかな。
    でも、どうしてもついて回る、偉大な影だよね。
    お父さんの本は好きです。この人の文章も肌にあった。
    読書体験記、追体験したら、女学生気分も味わえるかな。

  • p.2009/6/19

  • 著者の大事な本を、読んだ時期やテーマと合わせて紹介。読書案内ではないと断っている通り、著者にとっての作品の意味や解釈、テーマが語られており、情報ではなく、これ自体が作品として楽しい。
    社会的なタブーとされる作品群についても、社会的な意味ではなく、著者にとっての想いや解釈がかかれているので、心地よく読むことができる。
    文芸作品は社会と切り離せないものであるが、読み手個人との関係も多分にあることを感じた。

  • 本の本

  • 2016年度今月の1冊 
    2月18日、70歳で惜しまれつつこの世を去った津島さん。
    太宰治の娘としても有名ですが、この本の副題でもある「言葉から自由になる」ことを一生見つめ続けた女性だと思います。

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  •  読書の遍歴というのはそのままその人個人の遍歴なのだ。
     どうしても人が読むというレビューの都合上、下世話な方が面白いのでこういう紹介の仕方になってしまうのをご勘弁願いたいが、キーは、「少女の性欲」である。関係各所から怒られそうだが、そういう読書案内だ、と書いておくとすごくとっつきやすでねぇだろうか(素が出る)。

     発端は思春期初頭からの「いやらしいものへの好奇心」である。モーパッサンの『ベラミ』であり『女の一生』でありを読み、女子中学生が西鶴の『好色一代男』を読み、作者はここから『源氏物語』を読もうってなったときに、「色好み」の「色」の多義性に気づく。最前書いたとおり、読書が読み手の遍歴だというのならば、エロエロなものを好奇心の赴くままに読んでいって、狭義のエロから、もっと広義の背徳感や、モラルに対するインモラルみたいな広いところに出て行くのも、これまた読書遍歴の醍醐味なわけで、ゆくゆくは一般社会の持つ「うそ」を暴く手段としての文学、というところまで登りつめることが出来る(かもしれない)。

     どういう本かというとなぁ。
     発端はすごく個人的な欲求で読み始めていっても、本と本をリンクさせて読んでいくうちに、だんだんと普遍性の高い方に意識が向かうようになる、ということを示した本、とでも云えばいいのかなぁ。

     ただこれを「魂が高いレベルに登っていった」とか「人間的な成長とともに世界的な規模で物を考えられるようになった」とかァ断じて書きたくないンです。人間の陶冶のために本なんぞ読むもんじゃない。
     「自分自身が世界の何に興味を持っているのか」が鮮明になってくる、というのが読書かなぁ、と、まぁだいたいそんな感じです。
     言葉足らず、うまく言い表せている気がしませんが。

  • うーん。まぁまぁ。

    ブックガイドかと思って読み始めたら、著者の読書体験記やった。自伝風のエッセイ。この著者(小説家らしい)に興味のある人なら面白いやろうけど。

    でも紹介してる本の中には面白そうなのもあったので、これを機会に読んでみる。

  • 読む本を選ぶ動機が「ええーそんな!」「またかい!」というつっこみどころ満載でおもしろかった。こういう女性スキです。

  • [ 内容 ]
    言葉から自由になりたい。
    物事の本質をつかまえるために、自分という生命を喜ぶために。
    『孝女白菊の歌』から『チャタレー夫人の恋人』、そしてフォークナーの世界へ。
    海流のように、竜巻のように渦巻き、再生しつづける物語の世界。
    言葉と人間、人間と物語、そのつながりには、希望を失わずに生きつづけようとする、ひとりひとりの人間たちの息吹がある。
    美しく静かな言葉で、著者は物語の意味を問い直す旅に出かける。

    [ 目次 ]
    魔法の世界―幼年時代
    おばけの話―小学時代(1)
    言葉を遊ぶ―小学時代(2)
    アガペとエロス―中学時代
    「危険な」小説―『ベラミ』
    性の修行者―『好色一代男』
    神々から人間へ―『源氏物語』
    猥褻か、芸術か―『チャタレー夫人の恋人』
    同性愛―サッポーとワイルド
    タブーとは?―『悪魔の詩』と『細雪』
    神々の時間の「発見」―フォークナー、そして辺境の文学
    もうひとつの世界―『ギルガメシュ叙事詩』からどこへ

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    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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著者プロフィール

津島 佑子(つしま・ゆうこ) 1947年、東京都生まれ。白百合女子大学卒業。78年「寵児」で第17回女流文学賞、83年「黙市」で第10回川端康成文学賞、87年『夜の光に追われて』で第38回読売文学賞、98年『火の山―山猿記』で第34回谷崎潤一郎賞、第51回野間文芸賞、2005年『ナラ・レポート』で第55回芸術選奨文部科学大臣賞、第15回紫式部文学賞、12年『黄金の夢の歌』で第53回毎日芸術賞を受賞。2016年2月18日、逝去。

「2018年 『笑いオオカミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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