ふしぎの植物学: 身近な緑の知恵と仕事 (中公新書 1706)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017062

作品紹介・あらすじ

草花や樹木、野菜たちの生き方は、思いがけない知恵と工夫に満ちている。虹色を見わけるレタスの種子や、活性酸素と闘うカーネーションの花びら、病原菌やカビから身を守るサクラの葉っぱ、時刻を正確に刻んで生まれるシソのつぼみなど、暮らしで出会う植物の意外な生態を紹介する。そして「植物も汗をかくか」「動物に食べられても平気なのはなぜか」など、知っているようで知らない植物のふしぎな姿としくみに迫る。

感想・レビュー・書評

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  •  ①植物への水の供給は、根が水を押し上げて上に運ぼうとする力と葉っぱ(気孔)の蒸散により水を上から引き上げる力。真夏の炎天下、葉がぐったり(水不足)。夕方から夜、命がけの吸水が。②植物は根から吸った水と、空気中から吸収した二酸化炭素を材料に、光を使って葉っぱでデンプンを作っている。自分で自分の食料を。③植物は光合成の副産物として酸素を放出。酸素からオゾンができ、オゾンが紫外線を吸収して陸で生物が暮らせるようになる。④葉っぱは夜の長さをはかっていて、季節の訪れを前もって知ることができる。そして、芽に合図を。

  • 名文だと思う。

  • <目次>
    第1章  何を食べているのか
    第2章  ストレスと闘う
    第3章  からだを守る
    第4章  季節を先取りする
    第5章  生殖に工夫を凝らす

    <内容>
    田中さんの植物シリーズ。ちょっと視点を変えて、植物の生きる知恵をまとめたもの。ヒガンバナのつぼみはあまりできない、とか面白かった。

  • それなりに植物と暮らしている自分でさえ、植物の性質といえば光合成して二酸化炭素吸って酸素出して根っこから水吸って・・・という雑なステロタイプしか持ち合わせていなかったことに気付く。実に様々な特徴や機能を持っていて、読んでいて飽きない。珍奇な植物の紹介ではなく、よく知られている身近な植物たちの知られざる生態であるところがよいのである。

  • 植物のふしぎな姿としくみに迫る『ふしぎの植物学―身近な緑の知恵と仕事』

    ホントに面白かった。
    職業柄、人間の解剖と生理に触れる機会は多いのだけども、植物についても同じように神秘を感じることができた。

    この本で紹介されている植物の生き方は、まさに人間恐れと変わらない。
    植物の生き方にダイナミックで
    植物に対しても、動物と言いたくなるような気さえおこってくる。

    この本では、植物の生き方を見つめ直すために、以下の素朴な疑問をテーマとしている
    第一章:植物たちは何を食べて、すくすく育つのだろうか?
    第二章:自然の中で植物たちはストレスを感じないのだろうか
    第三章:無防備に見える植物たちは、自分たちのからだをどのように守っているいるのだろうか
    第四章:植物たちは、冬の寒さをどのように耐え忍んでいるのだろうか
    第五章:健全な子孫を残すために植物たちはどんなしくみをもつのだろうか

    田中修さんは農学博士で、植物生理専攻。

    一般人にも易しく分かりやすく、そして、興味を持てるように解説されている。
    著書は他にもたくさんあるので、機会があれば他のものも読んでみたいと思った。

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    【内容(amazonより)】
    草花や樹木、野菜たちの生き方は、思いがけない知恵と工夫に満ちている。虹色を見わけるレタスの種子や、活性酸素と闘うカーネーションの花びら、病原菌やカビから身を守るサクラの葉っぱ、時刻を正確に刻んで生まれるシソのつぼみなど、暮らしで出会う植物の意外な生態を紹介する。そして「植物も汗をかくか」「動物に食べられても平気なのはなぜか」など、知っているようで知らない植物のふしぎな姿としくみに迫る。
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    【目次】
    第1章 何を食べているのか
    ・何も食べずにすくすく育つか
    ・科学は一枚の葉っぱに及ばない
    ・葉っぱの好き嫌い
    ・種子も虹を見る
    ・モヤシの正体

    第2章 ストレスと闘う
    ・植物も汗をかく
    ・根のハングリー精神
    ・乾燥に耐える
    ・湿気に敏感
    ・植物は夜に眠るか

    第3章 からだを守る
    ・紫外線対策は万全
    ・「3K」地帯に生きる
    ・食べられてもいいよ
    ・嫌がらせをするのか
    ・からだを駆けめぐるシグナル

    第4章 季節を先取りする
    ・葉っぱの仕事
    ・シグナル伝達のテクニック
    ・夜の長さで容姿が変わる
    ・つぼみはいつできるのか
    ・冬の通過を確かめる

    第5章 生殖に工夫を凝らす
    ・巧みな工夫
    ・近親結婚はしないよ
    ・バイオテクノロジーを支える特性
    ・接ぎ木を甘く見ないで
    ・トンビがタカを生むか
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  • この本を読んで わかりやすく説明しようとする姿勢がよく見えて
    あらためて 植物のふしぎな生き方を知ることができた。

    『葉っぱの機能は 
    1 夜と昼の時間のながさを感知している。
    2 光合成をして ブドウ糖やでんぷんをつくり 栄養補給している
    3 蒸散をして 体温調節をする。』
    という ことを 物語風にして 説明していた。

    植物に 動物と同じように五感があるように工夫して書かれている。
    この本を読みながら インスピレーションが湧いた。

    この本は 植物がじっとして動かないように見えるが
    植物が 地球上に誕生して以来の 歴史的な視点で見ることによって
    植物の 環境に 適応してきた姿が 今ここにあることを
    実感させられる。

    なぜ春に花が咲くのか? 
    というテーマも重要なテーマであり、
    この本が出版された 2003年には 
    フロリゲンはまだ見つかっていなかったが、
    現在では 開花を促進する 遺伝子は見つかって 
    フロリゲンの姿も 徐々に明らかにされつつある。

    科学の進歩は早いが この本は そのたどってきた道をきちんと見るうえでも好著であることは確かである。

    ただ 平易に説明しようとして 少ししたたらずのところもある。
    根の役割を水分を吸収するだけに限定しているところなど。
    また 殺虫成分を含む遺伝子組み換え植物について
    取り上げているが その説明があまりなされていなかったり、
    CO2が増えることによって 植物はどうなるのかについても
    植物は憂えているだろう としているだけである。

    植物を見ながら 植物の立場で説明しようとする手法が
    うまく編集できていないような気もする。
    しかし、読むに値する本であろう。

  • 小学生レベルの理科から高校生物レベルの植物生理学の分野がわかりやすく説明されています。
    ただし、進化論や植物の五感の話は少し恣意的であるかな、と感じました。

    例えば、植物は変化する環境に適応できるように生殖進化した。(自然選択の説明ができていない)
    植物種子を食塩水に浸けると反応するのは味覚があるからだ。(浸透圧では?)

    とも感じましたが、どの話も興味深く読めました。

  • 身近な疑問がとけます

  • ・種は、水と光があっても発芽しない。
     目も耳もつかわずに、もっと的確に、これから生きる環境を見極める。

     ほんとうの
     「万事を尽くして天命をまつ」とはこういうことなのやも。

  • 配置場所:摂枚新書
    請求記号:471||T
    資料ID:95030201

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著者プロフィール

1946年 群馬県生まれ
1976年 九州大学大学院博士課程修了(農業経済)、農学博士
1976年 群馬県勤務、県農業試験場研究員、県農業試験場農業経営課長、
県農林大学校農林学部長、県環境保全課長、県第一課長(企画課)、
県農政課長、県民局長、県理事兼農業局長を経て、2007年3月退職

「2018年 『老農船津伝次平の農法変革論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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