ヒンドゥー教―インドの聖と俗 (中公新書)

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  • 中央公論新社
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本棚登録 : 177
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017079

作品紹介・あらすじ

弁財天信仰、輪廻転生の思想などヒンドゥー教は、直接に、あるいは仏教を通して、意外にも古くからの日本人の暮らし、日常の信仰、思想に少なからぬ影響を与えてきた。本書は、世界四大宗教の一つでありながら、特定の開祖もなく、核となる聖典もない、いわばとらえどころのない宗教の世界観を日常の風景から丹念に追うことによって、インド社会の構造から、ガンディーの「非暴力」の行動原理までも考察する。

感想・レビュー・書評

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  • マハーは「大きな、偉大な」。カーラは「黒い」。したがって大黒天は「マハーカーラ」。大国主命(おおくにぬしのみこと)は大黒と大国の音読みの一致で同一視されてきたが、つまり由来はシヴァ神である。

    「カーラ」には黒のほかに「時間・運命・死」の意味があり、マハーカーラは「大いなる時間」でもある。時・時間ほど恐ろしく、確実な破壊者はいない。しかし新しい生命を約束する自然の自己犠牲であり、破壊神シヴァは同時に恵みの神でもある。このように自然のめぐり、宇宙の法則を哲理とし、ヒンドゥー教は自然宗教である。

    ヒンドゥーの文献はすさまじい探究心、あくなき討議心に満ちているが、論理に一貫性を欠き論述に矛盾が生じることがある。重複や逸脱をいとわず、徹底的に議論を展開する。この執拗さに辟易させられれ、退屈させられる。これはインドの気候条件、猛暑と関係があるのではないか。盛夏や雨季の恐るべき午後の時間を考えると自然な習慣といえる。灼熱の太陽が通り過ぎるまで、窓の板戸を閉め切って寝台で横になりながら、じっと息をひそめて古の賢人・哲人は思索にふけったのではないか。カーマ・スートラの訳者の指摘する「無味乾燥な教科書的な口調」の叙述のくどくどしさはこのためではないか。




    【目次】
    プロローグ ヒンドゥー教と日本人
    ? ヒンドゥー教とはどんな宗教か
    ? ヒンドゥー教はいつ始まり、どのように発展したか
    ? ヒンドゥー教の支持基盤 ―-カースト制度
    ? ヒンドゥー教のエートス
    ? ヒンドゥーの人生と生き方
    ? 解脱に向かって
    エピローグ シュリー・ラーマクリシュナの生涯と福音

  • 2017年11月に再読する

  • 解脱と云う考えは、全く非現実的であり、夫れ程人の心を惹くものではない。事実、夫れに就ては冗舌な議論がなされてきた事からも分かるように、夫れは学者達の単なる論題に過ぎない。解脱は決してヒンドウーの宗教儀式や礼拝の目的ではない。ヒンドウーの儀式や礼拝の中心目的は、現世的な繁栄である。そして、此の現実世界への専心の為に、この世に再び生まれ変わると云う輪廻転生の教義が、死後の生命に就てヒンドウーが提唱した全ての概念の中で、最も説得力の有る確固たる信仰になっているのである。彼らは此の世界を余りにも深く愛して居り、その為に幾度も生まれ変わった后ですら、永久に此の世を離れると云う可能性を、出来るだけ遠い先の、起こり得ない事にしたのである。
    p.337

  • ヒンドゥー教はなんでもあり!

  • ヒンドゥー教は、別に宗祖がいるわけでもなく、いろいろな神様を信仰するインド全体の世界観・文化・生活習慣なのだと理解。ヨガはそもそも心身を鍛え気の通りを良くして神に近付くための修練であり、その昔は川に浸かって内臓を取り出したり、濡れた布を鼻や胃に通すような修行も行われていたとか。現代のインド人科学者でさえも輪廻転生を信じている、とか。私の持っている価値観など、文化の中で培われたものであり、絶対的なものではないのだなと。異文化を知ることで日本を知ることができた本。そんなインドをみる筆者のコメントも、いきいきと好奇心旺盛でありながら、ヒンドゥを信仰する人々に対するリスペクトに溢れており、すばらしい読後感でした。インドに行ってみたいな。

  • 出版社による内容紹介
    “弁財天信仰、輪廻転生の思想などヒンドゥー教は、直接に、あるいは仏教を通して、意外にも古くからの日本人の暮らし、日常の信仰、思想に少なからぬ影響を与えてきた。本書は、世界四大宗教の一つでありながら、特定の開祖もなく、核となる聖典もない、いわばとらえどころのない宗教の世界観を日常の風景から丹念に追うことによって、インド社会の構造から、ガンディーの「非暴力」の行動原理までも考察する。”


    【目次】
    プロローグ ヒンドゥー教と日本人 003
    第1章 ヒンドゥー教とはどんな宗教か 023
    第2章 ヒンドゥー教はいつ始まり、どのように発展したか 063
    第3章 ヒンドゥー教の支持基盤-カースト制度 119
    第4章 ヒンドゥー教のエートス 153
    第5章 ヒンドゥーの人生と生き方 183
    第6章 解脱に向かって 251
    エピローグ シュリー・ラーマクリシュナの生涯と福音 363
    あとがき 379
    参考文献 386
    索  引 400

  • ヒンドゥー教のライフスタイルが見えてくる気がする

  • ヒンドゥー教について筆者の膨大なフィールドワークや
    研究の成果をもとに、初心者にも分かりやすく、
    その現実と理想を説明する一冊。
    馴染みの薄いヒンドゥー教を、
    本書を読み終わる頃には親しみと畏れをもって
    見つめることができるようになる。
    語り口の柔らかさもあって、
    穏やかにヒンドゥーの世界を知れる良書。

  • 宗教書ですが、インドの旅行書として有用です。日本文化底流にあるヒンドゥー 例えば輪廻転生、業(カルマ)や浄・不浄感などが理解できるし、ヨガやベジタリアンについてりかいが深まります。そのほかインドの偉人、カンジー・Rタゴール・ロマンローラン(仏)・スリーオーロビンド・シュリー・ラーマクリシュナについて記述もあります。

  • ヒンドゥー教の過去から現在に至る有り様が、うまく整理されている。様々な引用も読者の理解を助ける。新書としてはけっこう分厚いが、文章は読みやすいし、著者のインドでの研究・滞在経験が紹介されることが多く、最後まで興味深く、さほどの忍耐も必要なく読むことができた。著者の滞在経験は40年程前のものだが、今読んでも問題は感じない。

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著者プロフィール

森本達雄(もりもと・たつお) 1928~2016。和歌山市生まれ。同志社大学神学部卒業。インド国立ヴィシュヴァ・バーラティ大学(通称タゴール国際大学)准教授を経て、帰国後、名城大学教授等を歴任。名城大学名誉教授。現代インド思想・文学専攻。著書に『ガンディー』(講談社)、『インド独立史』『ヒンドゥー教──インドの聖と俗』(以上、中公新書)、『ガンディーとタゴール』(第三文明社)など。訳書にガンディー『獄中からの手紙』(岩波文庫)、『原典でよむ タゴール』(岩波書店)、ネルー『忘れえぬ手紙より』(みすず書房)、ガンディー『わが非暴力の闘い』、K・クリパラーニ『タゴールの生涯』、『タゴール著作集』(以上、第三文明社)など、多数。

「2018年 『『ギーター』書簡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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