オールコックの江戸 初代英国公使が見た幕末日本 (中公新書 1710)
- 中央公論新社 (2003年8月25日発売)
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感想 : 9件
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784121017109
感想・レビュー・書評
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初代駐日公使として1859年から1862年まで日本に滞在した
オールコックを紹介する一書。
作者のオールコックに対する思い入れが伺え、
時に行きすぎでは、想像しすぎではと感じる場面もあるが
全体的に読みやすく、内容をすっと読み込める。
オールコックの果たした役割を分かりやすくまとめており
日本に対して実際に国際社会に関わりを持たせる、
自覚を得させることで、日本国内における
政治的駆け引きとしての「外交」から解き放ったという説明は、
なるほど読んでいて合点がいくものであった。 -
筆者の研究対象への愛情がありありと分かる作品だ。これは明らかに歴史小説である。ただし、歴史学の手続きを踏んでいるので、信憑性は高い。高いがあくまでこれは研究者が小説家となって書いた作品と言える。
オールコックが幕末の日本に来てどのような役割を果たしたのかについては同じ史料を前にしても全く異なる解釈がうまれるだろう。大英帝国の野望を持つものが未開の日本を傘下に組み込むための手段を考えないはずはない。ただ本書によれば幕府の不可解な制作決定機構に翻弄され、それでも日本文化に深い理解を示し、日本代表団をパリ万博に誘導して、国際社会へデビューさせた人物として描かれている。それは事実かもしれないが、本当の目的が日本をイギリスの影響下におくための画策であったと言えないことはない。
薩英戦争にオールコックが関与しなかったこと、日本領事退役後のあり方など、歴史の空白とも言える部分の説明が少々不足しているのではないか。
その上で本書は緻密な研究を積み重ねた筆者が歴史小説家のように一人の人物の姿を描ききったところに良さがある。案外歴史とはこういうものかもしれない。 -
[評価]
★★★★★ 星5つ
[感想]
オールコックは以前に読んだ「大君の通貨」という書籍の中で開港地や為替レートの問題で幕府と激しくやりあった人物だったのだが、この本を読んだことで印象が大きく変わった。
この本でのオールコックは駐日総領事になる前は中国で長く領事を努めていたベテランで中国での実績を認められての初代駐日総領事に任命されたこと。また、短期的な利益よりも長期的な利益を考慮し、英国と日本の良好な関係を構築することが両国にとっても良い結果になるという信念を持って行動していることがよく分かる内容だった。
また、日本国内を旅行し、日本の文化や風俗をつぶさに観察し、西洋人の視点から記録を残し、かなり良い印象を残していることは以外な事実だった。
さらには遣欧使節団の派遣に合わせて日本の万博への参加を促し、国際社会への第一歩を踏み出させてたという点で日本にとっては大きな一歩になったと思う。
最後に本書の中心的な内容ではないが通商条約できめられた神奈川の開港を横浜に交易に有利な都市を新たに構築することで既成事実とする手法は一般的な通説とは異なる老獪な幕府は印象に残っている。 -
初代イギリス総領事オールコックの書簡などから彼が幕末激動の日本で総領事として どう幕府と交渉したのか、どう庶民と接したのか、どう長崎/江戸/横浜で過ごしたのか、日本人をどう思ったのか、がわかって面白い。
やっぱり攘夷での襲撃にはかなり不安だった様子。通行の自由は欲しいものの、襲撃から保護するためにも居留地区に押し込めようとする幕府への反発。権利にはリスクも伴う という現実的な例。 -
初代英国公使、ラザフォード・オールコックの江戸在勤時の暮らしぶりや、彼の仕事、その上での喜びや苦悩が小説調で綴られる。
西欧人にとっては「未開の地」に等しかった日本。
そこで過ごす彼の目線から見た、幕末日本の様子が新鮮。 -
オールコックという人は,パークス+サトウらに較べ,日本に赴任していた時期がちょうど大政奉還直前ということと,「大君の都」という著書の所為か,外交官としてよりもアマチュアの教養人というイメージが強かったのだが,本書ではこの短い赴任期間を中心にオールコックが携わった数々の外交活動を紹介する事で,多くの蒙を啓いてくれる.
英国政府がオールコックに下した命令書もいくつか訳されて紹介されているが,やはり侵略主義的な意向は持っていなかったことを再確認した.
著者プロフィール
佐野真由子の作品
