ケータイを持ったサル―「人間らしさ」の崩壊 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017123

作品紹介・あらすじ

「ひきこもり」など周囲とのコミュニケーションがうまくとれない若者と、「ケータイ」でいつも他人とつながりたがる若者。両者は正反対に見えるが、じつは成熟した大人になることを拒否する点で共通している。これは「子ども中心主義」の家庭で育った結果といえる。現代日本人は「人間らしさ」を捨て、サルに退化してしまったのか?気鋭のサル学者による、目からウロコの家族論・コミュニケーション論。

感想・レビュー・書評

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  • 37916

  • 時代考証は必要だが人間行動を探る上でのヒントが満載。

  • サルの社会性を通して現代日本の社会を読み解いた本。

    第一章 マザコンの進化史
     サルについての考察と、現在の子育てについての考察
    第二章 子離れしない妻と居場所のない夫
     現在の家庭内の状況。「家のなか主義」
    第三章 メル友を持ったニホンザル
     サルの会話と、メールのやりとり
    第四章 「関係できない症候群」の蔓延
     関係性の脆弱化
    第五章 社会的かしこさは四十歳で衰える
     子育てと生活スタイル。本当は子育てしていたのは母親じゃなく、爺婆。
    第六章 そして子どもをつくらなくなった!
     家族像の激変と、「性差」の発現。現代社会のしくみは、近年つくられたもので、「母親とはかくあるべき」論を信じるのは思考停止。


    学校の図書館に置いてあった本。手に取ってみたら、意外におもしろかった。

  • 「ケータイ」は残ると踏んで題に持ってきたぜ!
    残念!それは「スマホ」だ。もちっと長生きしそうだぜ

    『スマホとにらめっこする猿』そんな感じだぜ!

  • 著者は比較行動学が専門。
    霊長類の観察から人類の文化的進化を解き明かそうとする。現代人に顕著な行動の深層を追及している。
    タイトルに反して?かなり専門的な方法論で現代人の行動を解明している。単なる観察分析だけでなく、たくさんの実験結果を踏まえた分析もユニークで面白い。

  • メル友からの意味のないメッセージに、意味のない返事をするヒトの行為は、存在を知らせるためのサルの鳴き声と何ら変わらない。

    いやまさにその通り。

    だが時代は変わった。
    スマートになったのだ。ヒトではなくケータイが、である。
    ついにヒトはケータイにライフスタイルを支配されるようになった。

  • ≪読書会紹介図書 2016.3.1≫
    テーマ:いちばん衝撃を受けた本

    【所在・貸出状況を見る】
    http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=10301164

  • 自分の家庭や職場に照らして考えると、なるほどと思えてくる。サルの生態から現代の社会の問題を論じるのは大変面白く、妙な説得力がある。

  • 最初はキャッチーで、題名から携帯批判かと思っていましたが、人類学的に現代の日本人の生活習慣を批判しているに留まっています。

  • 著者はもともとサルの研究者だけれども、子どもの成長や老人のことにも興味を持って取り組まれている。どの本を読んでも、よくまあこんな実験するなあ、と思われるようなことを次から次へやっている。今回は、著者が用事でたびたび渋谷の街に訪れるようになったのがきっかけで出来上がった。電車の中でも平気で床に座り込んでいる高校生。夏でもルーズソックスをはいて暑そうな女子高生。電車の中で化粧をしたり、ケータイで大声で話したり、常にメール交換をしている若者。いったいこの人種は何者なのだ。と、そのとき著者は気づいた。自分はサル学者だ。動物の行動を研究するのが自分の仕事ではないのか。こんなおもしろい対象が目の前にあって放っておく手はない。そして出来上がったのが本書である。電車の中で化粧をしたりベタッと床に座ったりするのと、引きこもるのとは同じ現象だと著者は考える。自分の世界に入り込んでしまう。それが外に出るか内にこもるかの違いだけだというのだ。メル友が100人いたからと言ってそれが本当の友人と言えるのだろうか。他人と関係を持つことができない、コミュニケーションがとれない人が増えていると言われている。少し長くなるが実験を紹介しよう。メル友300人以上の女子高生(ケータイ族)とケータイを持っていない女子高生(非ケータイ族)に集まってもらう。そこで2人1組でこういうゲームをする。2人の最初の所持金は5000円ずつ。第1のプレーヤーは第2のプレーヤーに賭けるか賭けないか2つの方法が選べる。第2のプレーヤーも同じ。賭けると自分の5000円を支払うため自分の所持金はなくなるが、相手には新たに10000円が渡される。つまり相手のプレーヤーの所持金は15000円となる。第2のプレーヤーも賭けるか賭けないかを選べる。4つのパターンが考えられるのが分かるだろうか。①2人ともが双方に賭ける。すると、2人の所持金はそれぞれ10000円ずつとなる。②第1のプレーヤーが相手に賭けたにもかかわらず、第2のプレーヤーは賭けない。すると、1人目は手持ちがなくなり、2人目が15000円もらうことになる。つまり抜け駆けということ。③これはあまり起こり得ないが、第1のプレーヤーが自分に賭けてくれなかったのに、第2のプレーヤーはお金を出すという場合。1人目は15000円が手に入り、2人目は手持ちがなくなる。2人目の人はちょっと「おひとよし」ということ。④2人とも賭けない。この場合は2人とも所持金は5000円のまま。どうだろう、自分ならどうしますか。①のパターンが2人の所持金合計を加えれば最も有利ということになる。でも、自分のことだけを考えれば②を選んでしまうことになる。さらに2人ともが双方に関係を持ちたくなければ、④になる可能性が高いだろう。さあこのゲームをケータイ族と非ケータイ族に別れてやってもらう。結果は想像がつくだろうか。詳しくは本書の4章をお読み下さい。非ケータイ族では①のパターンが多いけれども、③になることもあるというからおもしろい。情けは人のためならず。5章にもおもしろい実験がある。その説明はできないけど、ぜひ自分でもやってみてほしい。世の中豊かになり、どんどん便利になっていく。しかしそれが本当の幸せに通じているのだろうか。著者はそんな問いかけを読者にしている。そして今世紀中頃には日本人はもっとサル的(?)になっているのではないかと結んでいる。

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著者プロフィール

大阪生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。米国立衛生研究所、独マックス・プランク精神医学研究所などを経て、現在は京都大学霊長類研究所教授。著書に『コミュ障 動物性を失った人類』(ブルーバックス)『音楽を愛でるサル』(中公新書)など多数。

「2017年 『自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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