選別主義を超えて―「個の時代」への組織革命 (中公新書)

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  • 中央公論新社
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017130

作品紹介・あらすじ

会社はあなたを正しく評価できるだろうか。成果主義や能力給など、社員を選別して処遇に差をつける選別主義が広がり、学校でも飛び級や中高一貫教育の導入が叫ばれている。しかし、組織は万能ではない。組織が個人を選別すればするほど、不満は高まり活力は削がれてゆく。いま必要なのは、組織は個人を支援することに徹し、社会が個人を直接評価する仕組みを作り上げることである。個人と組織と社会の新しい形を提言する。

感想・レビュー・書評

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  • 105円購入2012-02-14

  • 能力主義にしても成果主義にしても、既存の大枠の中の配分や動機づけにすぎず、きわめて人為的・技術的色彩の濃い制度
    →選別と序列づけの一つの方法にすぎなくなっている
    「閉ざされた能力主義」

    いったん選別のシステムが出来上がると、選別する側はそれを手放そうとしない。そればかりか、「どんな人物を選抜するか」より「どんな選抜手段をとりいれるか」に議論が集中する。結果として技巧を凝らした精緻な制度となり現実とかけ離れる。

    選別基準にたとえばボランティアの活動歴を盛り込みシステムを肥大化させるのはまさに本末転倒。

    努力を評価する問題点−評価者の目を意識したファサード【見せかけ】行動
    ゼロサム型の競争が繰り広げられている場合、無意味な行動は本人のみならず広く関係者に及ぶ
    →意欲や態度は本人にとっては重要な要素だが、社会的な価値はない

    仕事の割り当てや配属も組織主導‐会社と個人の意思が食い違った場合、会社の都合が優先される。
    組織内部の最適化を追求するほど、外の世界や個人の意志から乖離してしまう。そして閉鎖的なシステムは破綻する。

    生理的欲求(安全・安定の欲求)経済人
    社会的欲求(所属と愛の欲求)社会人
    承認の欲求(尊敬・自尊の欲求)自己実現人
    └従来マイナスのイメージも付随していたが、今後はこうした外的基準を必要とすることが多い。

    ●組織のタイプ
    ・細かいルールや命令・服従を特徴とする
    -機械的組織・官僚的組織
    ・全体と部分が密接に結びつき豊富なコミュニケーションや相互作用によって運営
    -有機的組織

    ・OS/プラットフォームのように個人が活動する場を提供する役割
    -インフラ型組織へ
    一般の組織におけるインフラとは?

    ●「世間」の役割
    「世間」は多元的であるが、権力者や政策によって直接統制できないという点では、市場と同様、中立的

    裏を返せば、理性や正義といった市民社会の価値が軽んじられる可能性もある。
    └世間を全面的に信頼するのは危険であり、理性や正義を注入するための啓発活動や強制介入が必要な場合もある。世間の成熟によりわが国特有の社会的装置になりうる。

  • 再読です。興味深い新書でした。著者は、経営学専攻の滋賀大学の先生です。テーマは、選別主義です。世間では、選別主義が流行しています。著者は、選別主義は行き詰るだろうと指摘している。選別するには、客観的に納得のいく指標が必要です。それは、「学歴」、「営業成績」等の能力を示すものであるが、その人の能力の一部を示すものでしかない。また、客観的には証明できないが、会社にとって必要な能力もあります。これらの能力は、選別には使えません。もし、使用すれば、不公平という不満をもたれます。また、組織に対する忠誠心が強い時代ならば、選別されなかった側も、会社に忠誠心を示すでしょう。現代のように、組織に対する忠誠心が弱い時代では、選別されなかった側は、会社に忠誠心を示すことはないでしょう。「選別主義」は、時代認識を読み間違えた経営戦略だと指摘している。僕も、同感です。著者の本を読んでみようかな。

  • 選別主義,能力主義についての問題が指摘されている.ただ,自分としては比較的簡単に評価を決めるこれらの手法のメリットも大きいと思う.
    自立した人間,自活した人間,それぞれへの移行がうまく進んでいく世の中になれば,選別重視の問題もなくなるのであろう.

  • [ 内容 ]
    会社はあなたを正しく評価できるだろうか。
    成果主義や能力給など、社員を選別して処遇に差をつける選別主義が広がり、学校でも飛び級や中高一貫教育の導入が叫ばれている。
    しかし、組織は万能ではない。
    組織が個人を選別すればするほど、不満は高まり活力は削がれてゆく。
    いま必要なのは、組織は個人を支援することに徹し、社会が個人を直接評価する仕組みを作り上げることである。
    個人と組織と社会の新しい形を提言する。

    [ 目次 ]
    第1章 席捲する選別主義
    第2章 選別主義の限界
    第3章 「組織の論理」からの脱却を
    第4章 適応主義の時代へ
    第5章 二一世紀の組織像
    終章 日本型システムをみつめ直す

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    [ 参考となる書評 ]

  • 201102/
    会社はあなたを正しく評価できるだろうか。成果主義や能力給など、社員を選別して処遇に差をつける選別主義が広がり、学校でも飛び級や中高一貫教育の導入が叫ばれている。しかし、組織は万能ではない。組織が個人を選別すればするほど、不満は高まり活力は削がれてゆく。いま必要なのは、組織は個人を支援することに徹し、社会が個人を直接評価する仕組みを作り上げることである。個人と組織と社会の新しい形を提言する。

  • (S)
     脱工業化社会における人材像、組織像を主張し続けてきている太田先生の本。
     成果主義や能力給といった施策に代表されるような、個々人を評価して選別するやり方を「選別主義」と筆者は呼ぶ。
     IT化が進み、単調な作業が自動化されたことで人々の仕事は、単一的な内容ではなくバラバラなものとなった。そのような業務内容において、個々人を正しく評価できなくなっていることから、選別主義の限界を示唆する。
     年功序列に代表される序列主義から選別主義を経て、世の中は適応主義に変わっていくべきだと筆者は主張する。

     時代に伴う組織の変遷をメインフレームに書かれているため、内容は読みやすくなっている。しかし、企業以外のことが論じられたり、具体的な方法論が語られていなかったりと、やや内容に物足りなさを感じる。
     選別主義という名前やそれが持つ問題は列挙されているので、そこからどう変えていくべきかを自分たちでディスカッションするときの土台として使うと良い。

  • 2007/8/8図書館で借りる。

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著者プロフィール

1954年兵庫県生まれ。同志社大学政策学部教授。神戸大学大学院経営学研究科修了。京都大学経済学博士。専門は個人を尊重する組織の研究。おもな著書に『公務員革命』『ホンネで動かす組織論』『ムダな仕事が多い職場』(以上、ちくま新書)、『がんばると迷惑な人』『個人を幸福にしない日本の組織』(ともに新潮新書)、『個人尊重の組織論』(中公新書)などがある。

「2018年 『「ネコ型」人間の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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