マグダラのマリア―エロスとアガペーの聖女 (中公新書)

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  • 中央公論新社
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レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017819

感想・レビュー・書評

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  • 井出洋一郎さんの『聖書の名画はなぜこんなに面白いのか』で「マグダラのマリアに関してはこの本を」と強力にすすめていたので読んでみた。
    豊富な情報量に圧倒される。

    最初の章で、マグダラのマリアが聖書でどのように記されているか、福音書ごとに違いをまとめたものが面白い。
    さらに、娼婦のマリア、エジプトのマリア、ベタニアのマリアと混じり合っていくプロセスもよくわかる。

    欲を言えば、たくさん紹介されている絵画のほとんどが白黒だったのでもう少しカラーの絵があればさらに楽しく読めたと思う。

    マグダラのマリア研究の成果をこれだけくわしく新書で読めるのは本当にありがたい。
    著者の岡田先生と、知るきっかけを作ってくださった井出先生に感謝。

  • 【自分のための読書メモ】
     マグダラのマリア。聖書にはいっぱいマリアさんが登場し、こんがらがっちゃうんだけれども、お母さんの方ではなくて、娼婦でキリストの復活に立ち会った方のマリアさんについて扱っている。
     「聖女であり娼婦」というちょっとドキッとしちゃうのがこの人が負っているイメージ。本書では、そのアイデンティティがどのように形作られてきたのか、そしてそのアイデンティティがどのように利用されてきたかが、時代を追って丁寧に書いてあります。
     著者、岡田温司の名前で手にとって見たところ、彼の新書の初作品とのこと。正確さを優先させたためか、すこし論立て、記述に硬さがあるような感じがし、もう少しアッと読者を驚かせてくれるプレゼントがあったらなと思い、☆ふたつ。

  • 授業でやった時は何が何だかさっぱり分からなくなりましたが、この本できれいさっぱり解決しました。でも、処女懐胎の方が面白かったかな?個人的には。

  • マグダラのマリアさんって
    実は元娼婦じゃないかもって話と
    マグダラ像はいろいろな時代で変化し、
    その時代でしたしみやすいマグダラさんの設定になってるんだぜって話。
    マリア様みたいに神聖だけでなく
    エロティックでもあるマグダラさん身近で親しみやすくていいんよね!って本

  • 絵画や彫刻の面からみた、マグダラのマリア論。男性優位のキリスト教会において、マグダラが不当に貶められてきたことは疑いもないことですが、聖女として扱われたり娼婦として扱われたりしてきたなかにおいても、マグダラは美しい女性として繰り返し描かれてきたのですね。
    「改悛のマグダラ」はあちこちで見て知っていたのですが、マグダラがサント・ボームの洞窟に引きこもって瞑想と苦行に余生を捧げたことは知りませんでした。

  • [ 内容 ]
    聖母マリアやエヴァと並んで、マグダラのマリアは、西洋世界で最もポピュラーな女性である。
    娼婦であった彼女は、悔悛して、キリストの磔刑、埋葬、復活に立ち会い、「使徒のなかの使徒」と呼ばれた。
    両極端ともいえる体験をもつため、その後の芸術表現において、多様な解釈や表象を与えられてきた。
    貞節にして淫ら、美しくてしかも神聖な、“娼婦=聖女”が辿った数奇な運命を芸術作品から読み解く。
    図像資料多数収載。

    [ 目次 ]
    第1章 揺らぐアイデンティティ(福音書のなかのマグダラのマリア;外典のなかのマグダラのマリア;「罪深い女」=マルタの姉妹ベタニアのマリア=マグダラのマリア;隠修士としてのマグダラ;『黄金伝説』のなかのマグダラ)
    第2章 マグダラに倣って(イミタティオ・マグダレナエ)(フランチェスコ修道会;ドミニコ修道会;信者会(コンフラッテルニタ)とマグダラ 聖女たちの規範としてのマグダラ サヴォナローナとマグダラ)
    第3章 娼婦たちのアイドル(一四世紀のナポリ;一五世紀のフィレンツェ;16世紀のローマ;17世紀のローマ)
    第4章 襤褸をまとったヴィーナス(「この上なく美しいが、またできるだけ涙にくれている」;「何と美しいことか、見なければよかったほどだ」;「たとえ深く傷ついた人でも、なおも美しいということはありうるだろう」;エヴァと聖母マリアのあいだ;ジョヴァンニ・バッティスタ・マリーノの詩)

    [ POP ]


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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • マグダラのマリアの動画講座を見て、まとめと感想を書きました。

    http://rimaroom.jugem.jp/?cid=69

  • いつものように豊富な文献・図像をもちいた、わかりやすい「マグダラのマリア」論。この一冊で、西洋社会においてマグダラのマリアという存在がどのようにして生まれ、どのように消費されていったのかが説明されている。とくに面白かったのはバロックにおける多様性・多義性の議論。過去の著作物の中でも何度か言及されていたような気がするけれど、あらためて著者のバロック論というものをまとめてくれたらいいのに、などと勝手なことを思った。

  • 『マグダラのマリア―エロスとアガペーの聖女』(岡田温司、2005年、中公新書)

    新約聖書の福音書に登場する、娼婦でもあり聖女でもある「マグダラのマリア」。本書は、この女性は一体どのような人物なのかということ、この女性が中世においてどのように人々に―あるいは芸術作品として―とらえられてきたのかについて解説している。

    僕はキリスト教が専門ではないので、非専門外の人がこれを一回の通読で理解するのは不可能だったのですが、イエスの使徒の使徒とも称されるマグダラのマリアについての若干の、表面上の知識にはなったかなとは思います。

    (2010年10月28日 大学院生)

  • 聖母マリアの純潔とエヴァの原罪の間に配置されたマグダラのマリアは、解釈によって都合よく利用/消費された。
    15世紀までの教会によって規制・教化された図像に為政者である教会・修道会の権力性を、16世紀以降のバロック・ルネサンス期の図像に受容者の欲望を考えさせられる。

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著者プロフィール

1954年広島県生まれ。1978年京都大学文学部卒業、1985年同大学大学院博士課程修了、岡山大学助教授を経て、現在京都大学大学院人間・環境学研究科教授。西洋美術史・思想史専攻。『モランディとその時代』で吉田秀和賞『フロイトのイタリア』で読売文学賞受賞。『処女懐胎』『マグダラのマリア』『キリストの身体』『アダムとイブ』『グランドツアー』『デスマスク』ほか著作多数。

「2018年 『映画と芸術と生と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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