犯罪精神医学入門ー人はなぜ人を殺せるのか (中公新書 (1796))

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017963

作品紹介・あらすじ

近年、日本社会が大きく様変わりし、かつては見られなかったタイプの凶悪犯罪が現れてきた。凄惨な殺人事件もしばしば発生している。連続幼女誘拐事件、池袋通り魔事件、全日空機ハイジャック事件、そして幼い八人の命が失われた大阪教育大学附属池田小学校事件-。多くの殺人者たちと向き合い、精神鑑定を手がけてきた著者が、世間に衝撃を与えた重大事件を分析。犯罪研究に関する諸科学の成果を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 普通の人がなかなか実行しない「殺人」というまれな行動を特に大勢の人間を殺傷するような大量殺人とういう稀有な行動をする人の心理を探るにはただ、「統合失調症」とか「人格障害」などという単語診断を付けるだけでなく、生物学的次元、医学心理学的次元、心理社会的次元など、多くの次元の要因を時系列的・歴史亭に考察して、その因果関連を評価する必要がある。(本文89より)多次元診断とはドイツの精神学者クレッチマーの「多次元診断学」や同じ時代のビルンバウムの構造分析」などの考え方を基に著者が作り上げた方法であり、一人の人間の病気の診断、犯罪の原因をだだひとつの「単語」で表現しようとするのではなく、その犯罪や病気によって来たる所をその人の歴史性を縦軸に、生物学的次元、伎楽心理学的次元、心理社会的次元、文化社会的次元などを横軸に配して展開し、その因果関連を総合的に理解しようとする試みである。とあるように、以前から、私自身が疑問に思っていた触法犯罪者における犯罪精神医学について明快な解答とは言えないまでも非常に参考になる内容となっていた。殺意や殺人行動に関与するのは、脳という生物学的次元の問題ではない。虐待・外傷と言った心理学的体験や、多彩で非定型的な精神病理学的現象もまた、殺人行動には深く関与ているように見える。

  • 入門書である。

    氾濫する情報から、コンテンツを作るライター。
    専門家の視座から、視点の違い。
    専門用語の標識という、ダマシ絵。

    症候論と病院論

    • だいさん
      https://www.evernote.com/shard/s37/nl/4075866/ee5722a3-b3db-47cf-aa36-...
      https://www.evernote.com/shard/s37/nl/4075866/ee5722a3-b3db-47cf-aa36-2a577fc0f9bb
      2014/08/14
  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/39267

  • 具体的な事例から精神構造を分析する流れ。T事例がメインだが、その他の著名事例も自分の知らない話が載っていて興味深かった。

  • 実際の犯人をサンプルに、大衆向けに書かれた一冊。
    彼らの生涯と抱える問題を、精神科医として分析しています。
    大量殺人における分析について、従来の学問では推し量れない限界があると著者は言います。
    単一の症状ではなく、複数の症状を抱えた状態が理不尽な殺意の引き金となるのでしょうか。
    これからも探る余地の多い学問であることがわかりました。

  • 連続殺人事件の犯人を題材に精神医学的な観点で論じている。最後に総括があるが、他の作者が書いた著作で書かれている統計と比べると、総括に少ししっくりこないところがあった。
    本書では、
    ・脳に微細な変異がある。
    ・幼児期に虐待や心的外傷がある
    とまとめている。他の本では、殺人でも精神疾患は必ずしも統計量的には逆相関があるとあり、この点についてはしっかりロジックをちゃんと評価すべきではないかと思う。
    まず脳に微細変異の率が通常の脳ドックなどの統計量より多いといっているが、連続殺人とそうでない単発の殺人でも統計量として異なっているので、殺人の場合と大きく括るのは数字の扱いとしては正しくないと思う。1回のケースはどちらかというとむしろ疾患と関係ないところが聞き、連続殺人など統計量としてアノマリーな条件をフィルターかけるとこれまで統計として表にでない疾患のところが出てくるということだと思うが、その評価が雑に感じる。
    これらいくつかの条件を踏まえると脳に微細な変異は精神疾患とイコールでもないということにもなるし、変異がない人が理性を抑えられずに殺人を犯すスイッチが入ってしまうロジックと、連続殺人のようなアノマリーのケースではスイッチが入りっぱなしになるロジックも説明する必要性がある。正常といえないであろうから、何らかしかの病気はあるのだろうけども、色々なもやもやを感じる本である。

  • 近年、日本社会が大きく様変わりし、かつては見られなかったタイプの凶悪犯罪が現れてきた。凄惨な殺人事件もしばしば発生している。連続幼女誘拐事件、池袋通り魔事件、全日空機ハイジャック事件、そして幼い八人の命が失われた大阪教育大学附属池田小学校事件--。多くの殺人者たちと向き合い、精神鑑定を手がけてきた著者が、世間に衝撃を与えた重大事件を分析。犯罪研究に関する諸科学の成果を紹介する。

  • 池田小附属事件、ハイジャック事件、通り魔事件などの背景を丁寧に述べつつ、犯罪者に精神医学的立場からどのようなアプローチができるのかを考察した本。
    多軸診断がつくのはその通りだと思うし、時期によっても異なる。それをどう鑑定して法廷に提出するか、人によって意見が異なるのも当然の帰結のように思える。
    だからこそ、複数の鑑定の意見を鑑みるという方法もあるように思うのだけど、難しいところ。
    基礎的知識がないと読みにくいかな。

  • [ 内容 ]
    近年、日本社会が大きく様変わりし、かつては見られなかったタイプの凶悪犯罪が現れてきた。
    凄惨な殺人事件もしばしば発生している。
    連続幼女誘拐事件、池袋通り魔事件、全日空機ハイジャック事件、そして幼い八人の命が失われた大阪教育大学附属池田小学校事件―。
    多くの殺人者たちと向き合い、精神鑑定を手がけてきた著者が、世間に衝撃を与えた重大事件を分析。
    犯罪研究に関する諸科学の成果を紹介する。

    [ 目次 ]
    1 殺人者の多次元診断(大阪教育大学附属池田小学校事件 生活の歴史 性格か病気か 症状と病気 多次元診断 犯罪者の現存在分析学)
    2 殺人者たちのプロフィル(「連続射殺魔」少年 池袋通り魔事件 全日空機ハイジャック殺人事件 犯罪者の診断とは)
    3 殺人者の起源

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    [ 参考となる書評 ]

  •  近年、日本社会が大きく様変わりし、かつては見られなかったタイプの凶悪犯罪が現れてきた。凄惨な殺人事件もしばしば発生している。連続幼女誘拐事件、池袋通り魔事件、全日空機ハイジャック事件、そして幼い八人の命が失われた大阪教育大学付属池田小学校事件―。
    多くの殺人者たちと向き合い、精神鑑定を手がけてきた著者が、世間に衝撃を与えた重大事件を分析。犯罪研究に関する諸科学の成果を紹介する。

    紹介文より

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