- Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121018038
作品紹介・あらすじ
庄内藩酒井家の所領である酒田は、蝦夷地や京・大坂を結ぶ海運の要地。大小さまざまな船の出入りで賑わい、豪商たちの蔵が建ち並ぶこの町の平穏は、本書の主人公、足軽目付たちによって守られていた。彼らが書き残した厖大な記録『御用帳』から、その活躍ぶりをうかがい知ることができる。本書は、盗難や殺人、詐欺、汚職から見世物興行まで、興味深い記事を選りすぐって紹介。近世湊町の雰囲気をいきいきと今に蘇らせる。
感想・レビュー・書評
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実存する『亀ヶ崎足軽目付御用帖』なる庄内藩の犯罪記録を元に、当時の人間像や社会の有り様を語り直してくれる本。著者は歴史学者ではなく歴史作家で、この資料を「ネタ本」と呼ぶ。実際、犯罪を犯す側にも、取り締まる側にも、様々な人間味があってドラマチックだ。侍といっても、泰平の世はお役人で、「前例」とか「事なかれ」「うちうちに済ませる」といった現代のお役所にも通じる感覚が散見されて興味深い。
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テーマとしては悪くないと思うんだけど、とにかく読みにくい。
単なるエピソードの羅列だし、そのエピソードはたいして面白くないし、エピソードとエピソードの切れ目がよくわかんないところもある。
もうちょっと書きぶりにやり方があったと思うんだけどなあ。 -
北前船で栄えた山形・酒田において、江戸時代を通じて置かれた足軽目付が記録した街の風俗や事件。当時の様子が生き生きと伝わってきて面白い。こそ泥が度々出て追放処分にする話、出奔した武家の娘が自殺して見つかったあとの対応など。足軽目付の引き継ぎのような意味を込めた帳面だからこそ、感想など、正式な記録ではない内容が書かれており、面白い。町奉行に対する批判や嫌味など、似た部署同士によくあるやっかみのようなものも記録されている。
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庄内藩酒田の足軽目付達が書き残した『御用帳』から当時の酒田湊の様子を鮮やかに伝える。読む限り、足軽目付は地方警察と役所を兼ねた組織だったようで、この頃からお役所はやはり書類主義なのだなと妙なところで感心もしたり。
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江戸時代の庄内藩酒田湊(山形県酒田市)の話である。
犯科帳なので、当時の犯罪の話が出てくるのだが、その盗品は莫大な金品ではなく、「古着1枚」「米1升」「古鍋」など、非常につましいものばかりだ。酒田湊は付近でも栄えた場所にしてこれだから、当時の日本人全体がいかに貧しかったかが思い知らされる。
あと驚くのは行政側の人数の少なさだ。江戸時代全般に言えることだが、所謂現業に従事する人数が驚くほど少ない。これでやっていけるモンなんだなぁと感嘆せざるを得ない。
犯科帳を通じて、当時の日本人の暮らしぶりが実感できる良書だと思う。