西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
4.06
  • (114)
  • (123)
  • (71)
  • (7)
  • (3)
本棚登録 : 1123
レビュー : 122
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018168

作品紹介・あらすじ

一八世紀後半から二〇世紀前半にいたる西洋音楽史は、芸術音楽と娯楽音楽の分裂のプロセスであった。この時期の音楽が一般に「クラシック音楽」と呼ばれている。本書は、「クラシック音楽」の歴史と、その前史である中世、ルネサンス、バロックで何が用意されたのか、そして、「クラシック後」には何がどう変質したのかを大胆に位置づける試みである。音楽史という大河を一望のもとに眺めわたす。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 岡田暁生さんについては、里中満智子さんの『マンガ名作オペラシリーズ』の解説と、『すごいジャズには理由(ワケ)があるー音楽学者とジャズ・ピアニストの対話』を読んで、大変面白かったので、この西洋音楽の通史を読んでみました。
    今回も、ほんっとに、めっちゃくちゃ、面白かったです!!

    私は昔、月刊誌ふくめ、音楽関係の本を片っ端から読んだ時期がありました。
    面白かったのかしら?覚えていない。
    ただ、どんどん森の中に迷って、けっきょく崖から落ちてしまった感じなのです。

    当時読んでいた本の執筆者は、音大教授とか演奏家とかピアノ教師とか。
    それにたいして岡田暁生さんは、大阪大で博士号をとって神戸大助教授を経て現在京都大学の教授の文学博士。
    面白い理由(ワケ)のひとつはそれだと思う。
    「音楽を広い視野で見る」というところ。

    もうひとつの理由は、私自身、高校の世界史は「勉強している皆の邪魔をしない」ことだけが評価されて単位はもらったものの、授業の内容まったく覚えていない。
    試験を受けた記憶もない。(これ、ひどくない?)
    でもここ数年西洋史や西洋美術史の本をたっくさん読んで初めて、いろいろなことを知ったから、この本の内容がすっごくよくわかりました。

    岡田暁生さんの他の本も図書館に予約したし、もっともっといろんなクラシック音楽を聴いてみたいと思いました。
    そして、「ドイツに行ってみなければ」と…「行きたい」じゃなくて「行かねば。他を犠牲にしても」みたいな。
    なんか、ストイックな、変にまじめな。それ、ドイツ的!

    あとがきにあった、「対象が何であれ『通史』というのは、40歳になる前か、60歳になった後でしか書けませんからね」という友人のことば。
    つまり「怖いもの知らず」か「怖いものなし」かということです。
    でもこの本を書かれた当時の岡田暁生さんは40代です。
    友人のことばを否定していいです!

  • 西洋音楽を西洋社会の移り変わりと併せて解説した名著。
    グレゴリオ聖歌~近代音楽までをコンパクトにおもしろく纏めてくれてる。
    特にバッハの歴史的に微妙な立ち位置やモーツァルトやベートーベンのどこが大天才といわれるのかなどを分かりやすく解説してくれている。
    聴衆の変化(教会音楽→貴族の音楽→大衆の音楽)とそれに伴う流行の変化。特に「乙女の祈り」辺りの音楽の世俗化は記憶に残っている。
    時代と共に音楽や聴衆の意識は変化しているため現代の私たちは当時の聴衆と同じ音楽(感覚的な意味で)を聞くことが出来ないというのは目からうろこの感覚があった。

  •  中世音楽に始まり、ルネサンス、バロック、古典派、ロマン派、そして世紀末と戦争の時代を経て現代の音楽につながる西洋音楽の歴史を一望する本です。

     本書を読めば、西洋音楽の歴史は宗教のための音楽から、貴族の音楽、ブルジョアの音楽、大衆の音楽へと変化・多様化する過程でもあることがよく分かります。

     いわゆるクラシック音楽とは西洋音楽のうちバロック後期から20世紀初頭までの200年間に作られた音楽をいう、そして、芸術音楽とは芸術として意図され、紙の上で楽譜という設計図を組み立てて作られた音楽である、といった著者の整理は分かりやすいです。

     この本は読者に対して、西洋音楽の成り立ちと奥行きを明快に示し、そのことによって、西洋音楽 ── 中でも特にクラシック音楽 ── を聴く楽しみを深めてくれると思います。

  • 内容が専門的すぎて西洋音楽史の概要を容易に把握できない既刊本へのアンチテーゼとして、クラシック音楽の初心者向けに書かれた本だが、厳密にいえば初心者向けではないと思う。

    正直なところ、この本の情報をすべて理解するのは初心者には難しい。文中に挿入される「あの作曲家のあの作品が……」という情報が、初心者にはピンと来ないからだ。私自身、全くの門外漢というわけではないが、それでも知らない情報がたくさんあった。

    それでも、この本は初心者でも読む価値がある。細かいところを読み飛ばせば、西洋音楽の流れが十分理解できるからだ。

    だから、内容を100%理解しようとせずに、大ざっぱに歴史の流れをつかむつもりで読むといい。

  • 映画ボヘミアンラプソディの中にオペラをイメージした曲の話が出てきたところから、クラシック音楽の個性に興味が出たので、クラシックに詳しい友達に勧められて読み始めた。
    クラシック音楽として現代で演奏されるものは20世紀の頭頃までの音楽とされているようだが、その始まりから興味深いものがあった。
    西洋というワードから、キリスト教の存在は切り離せないと思っていたが、始まりは教会音楽であった。音符も楽譜もないところから、音の記録をつけ、それをベースにアレンジする流れは、納得するしかなかった。
    バッハやショパンなどなど名だたる名前の音楽家の記述もあるが、ヨーロッパの時代の動きとも密接に結びつく音のブームも興味深かった。
    芸術家は時代の小さな変化や動きにも機敏に反応することが書かれており、第一次世界大戦への不穏な空気を推し量っていたかのように、音楽シーンが静まったことが、歴史を少しかじった身としては印象に残った。

  • 音楽史の一冊目として有用
    全体の流れをつかめた

  • 音楽書の中には、内容や着眼点は面白いのに文章が下手で読む気をなくすものが多々ある。この本は違う。著者の方の文章が、旨い。

  • イギリスに行ってPROMSに何度か行く中で、改めてクラシックを通史で知りたいな~。と思って読んだ本。評判がいいだけあってとてもよい本だった。

  •  謎めいた中世音楽。かつて音楽は、感覚を超越したところに成立する数学的秩序であった。単旋律のグレゴリオ聖歌に対旋律が加えられたとき音楽は組み立てられることを知った。組み立てられ構成される芸術音楽の源流である。音楽はやがて数学から独立していく。ひとたび構成されると、対旋律が自己主張を始め、音は互いに上下反対方向さらに装飾的に動き始めた。

  • ”「事実」に「意味」を与えるのは、結局のところ「私」の主観以外ではありえない。”というコンセプトで書かれた西洋クラシック音楽の歴史は、ある程度クラシック音楽の歴史を知っている人にも、新たな発見をもたらしてくれる。
    音楽のことだけでなく、その音楽の生まれた社会的な背景や、建築・美術・文学との関わりにも言及されていて、筆者の幅広い教養の深さが伺われる。名著である。

全122件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

京都大学人文科学研究所教授。大阪大学文学部博士課程修了。近代西洋音楽史。『オペラの運命』(中公新書)、『西洋音楽史』(中公新書)、ほか。

「2019年 『われわれはどんな「世界」を生きているのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)のその他の作品

岡田暁生の作品

西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする