江戸人物科学史: 「もう一つの文明開化」を訪ねて (中公新書 1826)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018267

作品紹介・あらすじ

日本に「もう一つの文明開化」があった。鉄砲伝来から日米和親条約に至る時期である。特に江戸時代には、漢学的素地の上に南蛮文化が彩りを添え、蘭学が栄えて、重層的、多面的な学問風土が醸成された。明治以降の近代化は、この長い熟成期があって初めて達成できたものなのである。身分を問わず、旺盛な知的好奇心と飽くなき探求心によって科学的思考を進め、新技術を開発した先人三十六人の事績を、ゆかりの地に訪ねる。

感想・レビュー・書評

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  • 中公新書
    金子務 江戸人物科学史

    江戸時代の近代化に貢献した偉人たちの略伝と史跡を巡る本。

    江戸時代の近代化が、インフラ整備、解体新書の翻訳、儒教と科学の両立、町民学者の活躍により進んだことがわかる。

    印象に残ったのは
    *科学を儒教に取り込もうとした三浦梅園
    *無鬼論、夢の代の山片蟠桃

    インフラ整備
    *角倉了以〜京都、水運開発
    *玉川兄弟〜羽村市、上水道開発
    *河村瑞賢〜奥羽海運

    解体新書、蘭学
    *青木昆陽〜サツマイモの効用
    *前野良沢〜解体新書。中央区
    *大槻玄沢〜蘭学階梯
    *稲村三伯〜江戸ハルマ

    三浦梅園
    *天地に条理あり〜人の話を鵜呑みにするな〜天地を師とせよ
    *乞うから盗みが生まれ、盗みが〜殺しになる。乞わずは現代の警句になる〜足るを知り、恥を知る




  •  本書は、江戸期の「蘭学者」など36人の事跡をまとめたものだが、どのような読者を想定した本なのだろうかと思った。
     それぞれの人物の紹介にしては、結構詳細だが、一人ひとりを詳しく知ろうとするには不足のようにも思える。
     「江戸期の蘭学者全体を俯瞰する本」とも言えるかもしれないが、「中途半端」のようにも感じた。
     本書の「江川坦庵」の項を読んでいて、「みなもと太郎」の歴史コミック「風雲児たち」のギャグキャラの顔を思い浮かべてしまった。
     コミックのイメージ創造力の大きさもすごいものであるが、本書の「江川坦庵」の事跡も興味深い。もっと深くこの人物を知りたくなった。
     そういう意味で本書は、「人物紹介」という位置づけで読むのが良いのかもしれないと思った。

  • “本書は,漢学と洋学,東洋と西洋の教養体験の狭間にあって,多くの先輩知識人たちが,呻吟しつつ,それぞれの分野で活躍した記録でもある”.

    テーマの切り口が私にとってはとても新鮮で,それだけで勉強になりました.どうしても聞きなれない事柄が多いので,読むのに時間がかかってしまいましたが,日本の知識人の歴史を追うことも大事なのでは?と改めて思った次第です.

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著者プロフィール

1933年生まれ、大阪府立大学名誉教授。
『日本の文化と思想への衝撃 (アインシュタイン・ショック)』(河出書房新社 1991年)、『アインシュタイン・ショックⅠ、Ⅱ』(岩波現代文庫 2005年)、『オルデンバーグ─十七世紀科学・情報革命の演出者』(中公叢書 2005年)、編著『エネルギーを考える─学の融合と拡散』(作品社 2013年)、監修『科学と宗教 対立と融和のゆくえ』(中央公論新社 2018年)ほか。

「2019年 『映しと移ろい 文化伝播の器と蝕変の実相』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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