物語チェコの歴史: 森と高原と古城の国 (中公新書 1838)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018380

作品紹介・あらすじ

九世紀のモラヴィア王国の誕生以来、歴史に名を現わすチェコ。栄華を誇った中世のチェコ王国は、そののち、ハプスブルク家に引き継がれ、さらに豊かな文化を生み出した。二十世紀に至って、近代的な共和国として生まれ変わったのち、第二次世界大戦後の共産化によって沈滞の時代を迎えるが、ビロード革命で再出発した。ロマンティックな景観の背後に刻印された歴史を、各時代を象徴する人物のエピソードを核に叙述する。

感想・レビュー・書評

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  • いつかは行ってみたいチェコ。
    終始思いを馳せながら読むことができた。

    モラヴィア王国からチェコ王国を経てチェコスロバキア解体、そして、現在まで、章ごとに主要人物を軸にして、チェコの歴史を概説している。

    少し疎かったモラヴィア地方のこと、フス戦争についてはより詳しく知ることができた。

    他のレビュワーさんが書いているけれど、本当に、「なぜチェコ人はこんなに窓から人を放り投げるのが好きなのか」と思わせるほど、事件が起きている(まあ、本書では3回だけれど)。

    フス戦争のきっかけとなったのもこの事件である。

    ”Defenestration”
    ”この単語の起源はプラハで起きた2つの事件である。1419年の事件では市議会議員ら7人が市庁舎から投げ出され、フス戦争を引き起こした。”
    (Wikipediaより)



    チェコには偉大な作曲家が多く、
    大変読みやすく、巻末の参考文献も頼りになった。

    スメタナ、ドヴォルザーク、ヤナーチェク、といったチェコの作曲家(あるいは、チェコの音楽)が好きなので、

  • 中公新書の「物語」シリーズ。様々な国の歴史を知ることができて、とても好きなシリーズだが、同じシリーズでも著者によって描き方が多様であることも魅力の1つだと思う。
    『チェコの歴史』では、チェコの特徴ある時代について、その時代を象徴するような人物に焦点を当てている。その人を通して時代を見るという、とても面白い試み。読んでいて、歴史的事実として暗記していた出来事も、その裏ではどんな人々の営みがあったのか、ありありと想像できる感じがした。とても読みやすく、勉強にもなる1冊だった。

  • チェコの成り立ちから神聖ローマ帝国の首都として発展したプラハ、長く続くことになる宗教問題や文化史も書かれていてよかった。
    ヤン・ジシュカにほとんど触れられなかったのは少し残念ですが、限られたページ数ではしょうがないかな。

  • チェコを訪れる前に読んでおこうと思い手に取りました。

    部分読みでパッパッと読み進めていきましたが、非常に勉強になりました。

    世界史を忘れている小生としては、当時の世界情勢を思い出し情景を想像するのに少しばかり戸惑いましたが・・

    とんでもなアホ感想を述べることが許されるのならば、「キリスト教やっぱはんぱねーな」と思いました。まる。

  • [図書館]
    読了:2018/4/15

    初心者向けではないなぁ…というのが読後の率直な感想。
    二月事件、プラハの春などの詳細を知りたかったのだが、1行で済まされており、既知の前提となってしまっている。
    そもそもはしがきに、歴史の重大イベントではなくその狭間にいる人々に焦点を当て語っていく…と書いてあるのでプラハの春などはすっ飛ばされたのかな、と思うが、その割に本文そのものは視点があっちに飛び、こっちに飛び、分かりにくくて仕方がない。中心になってる人物視点で歴史的事柄の有機的つながりを描いてくれるのかと思ったのに…。
    第4章のヤン・フスのあたりが面白かった(前提知識があったので)ぐらいか。

    p. 99 「不名誉な異端として歴史の片隅に追いやられ、ほとんど忘れられようとしていたフスやフス派の名は、19世紀に入って華々しい復活をとげる。自分たちの国には、他のヨーロッパ諸国にひけをとらない、中世以来の輝かしい歴史があると考えたチェコの人々は、カトリック世界全体を相手に一歩も引かずに戦ったフスやフス派の時代こそ、チェコの歴史の頂点であったと解釈したのである。」

    p. 179 「これ(カール6世の国事詔書)は各国の貴族身分にとっても、文書の承認と引き換えに様々な特権的地位を認めさせる格好の機会であったが、ハプスブルク家への忠誠を重んじるチェコの議会では、この文書は1720年に大きな障害もなく承認された。君主との良好な関係こそが、自分たちの地位と平和な生活を守る最も重要な前提であるというのが、彼らの基本的な立場だったのである。」

    亡命者の古書店p. 89 「チェコ人は戦うことを忘れてしまった。私たちが本気で戦ったのは1620年11月8日の白山(ビーラー・ホラ)の戦いが最後です。それからは強い者とは戦わずに生き残りを模索するというのががチェコ人の習性になった」というのがこちらではこういう風に表現されている。

  • コンパクトなチェコ通史。歴史事実の羅列ではなく、各時代を生きた人物にスポットを当てている点が面白い。チェコで英雄となった宗教家フスの記述がわかりやすい。チェコ史の入門にオススメ。

  • 世界史がわかってないので読むのが大変でした。
    なんとなーく読んだ。

  • 各「時代」から人物をピックアップし、その人生と歴史的背景を描くことで歴史を辿るというのは、ある国の歴史を謳った書籍としては珍しい試みではないか?確かにある程度チェコに関するバックグランドがないと分かりづらい所はあるかもしれないが、少なくとも人を通して活き活きと国の歴史が語られているし、チェコや周辺の大国との関係が有機的に描き出されている。

    第9章『博覧会に賭けた人たち』は、特定の一人の人物ではなく、19世紀、近代化しようとする国家の中でどのように博覧会が開催されるかを描いている。ここではドイツ系チェコ人とチェコ人との間の綱引きがテーマとなっており、この後のチェコの独立、ナチス・ドイツ介入の伏線、チェコスロバキアの誕生の伏線となっている。世界史的には地味な史実だが、味わい深い1章。

  • ただ年代を追うだけでなく、様々なエピソードから背後にある歴史や、その当時の人々の考え方や生き方が伝わってきて、面白かった。

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著者プロフィール

1959年東京都生まれ。一橋大学卒。一橋大学大学院博士課程修了。社会学博士。日本学術振興会特別研究員を経て、現在、明治大学教授。
【主要著書】
『王権と貴族──中世チェコにみる中欧の国家』日本エディタースクール出版部、1991年
『プラハの異端者たち──中世チェコのフス派にみる宗教改革』現代書館、1998年
『物語チェコの歴史——森と高原と古城の国』中公新書、2006年
『図説チェコとスロヴァキア』河出書房新社、2006年

「2009年 『チェコとスロヴァキアを知るための56章【第2版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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