戦う動物園―旭山動物園と到津の森公園の物語 (中公新書)

制作 : 島 泰三 
  • 中央公論新社
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  • 本棚登録 :89
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018557

作品紹介・あらすじ

旭川市の旭山動物園は、いきいきと活動する動物の姿を強烈に印象づける「行動展示」で注目を集めている。一方、北九州市・到津の森公園は、一度は閉園したにもかかわらず、愛着を持つ地域住民の活動により、市民が支える動物園として劇的な再生を遂げた。ふたつの動物園の園長は、苦難の時代にあって使命を忘れず、わずかなチャンスを形あるものに変えた。両動物園の園長が語る、人と動物と社会のおりなすドラマ。

感想・レビュー・書評

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  •  閉園の危機に瀕した2つの動物園は、方向は違っても復活を果たしました。ある動物園は”動物園人”の不屈の精神によって。ある動物園は市民の大合唱によって。

     この本の中で、動物園は子供たちのための場所だと言われています。つまり、ゾウやキリンなどの動物たちは本の中だけに存在するのではなく、いま実際に生きているものたちなのだということ……それを実感することで、驚きや感動を得る場所が動物園なのだということです。そしてそれは、子供だけでなく大人にとっても新鮮で、大切なものなのでしょう。

     ちなみに個人的に面白いと思ったのは到津遊園の事例です。市民の要望を聞いて行政が民間企業から動物園を譲ってもらうという、(当時の)民営化の流れに逆らう物語が面白いと思いました。

     本書は、動物園の再生劇であると同時に、到津の森公園のケースは、民間企業が出来なかったことを、行政と市民が実現していった物語でもあります。面白く読める一冊だと思います。

  • いいタイトルだ、と思って読みはじめると、その密度の濃さに驚く。動物園と行政との、政治との、時代との、戦いが描かれている。旭山動物園と到津の森公園に近い諸賢は必ず来訪すべし。

  • 旭山動物園と到津動物園の園長たちの回想が綴られている。
    良く経営学で取り上げられる題材だけれども、関係者との実際の生々しい駆け引きややり取りが記されている。この人達がしたことって一言で言えば本質を伝える工夫をしたってことだろうか。何が本質でどうすれば本質を見せることができるだろう?

  • 動物園で動物を見せる意義
    チンパンジータワーでの事故
    K大のMに批判的

    手術が上手い小菅園長

  • <閲覧スタッフより>
    行動展示の旭山動物園。市民の動物園、到津の森公園。北と南に位置する、2つの動物園の“復活”までの軌跡。苦難にたたされた園長2人の話から、動物園の実態や取り組み、そこで働く職員の姿を垣間見ることができます。何を思い、どんな動物園を目指してきたのか。
    その足取りを追います。
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    所在記号:新書||480.7||シマ
    資料番号:20083532
    --------------------------------------

  •  旭山動物園の元園長さんと到津の森公園の園長さんが何回か対談したものを、到津の森公園の実兄でサルの専門家である人が、雑感も交えて編集したもの。性格の異なる二人の園長の、動物園人としての思いが、2つの動物園の歴史と併せて語られる。
     旭山動物園の方は6年前に1度行ったことがあって、その後に本も2冊読んだので、ドラマチックなその歴史についてはそれなりに知っていたが、もう1つの到津の森の方は、この本の中盤に差し掛かっても、読み方なんだっけ?という感じで、聞いたこともない動物園の話だった。正直、知っている分だけ旭山動物園の方の話の方が面白いと思ってしまうが、到津の森の園長さんの人柄がまた面白そうだなと思った。
     「戦う動物園」の「戦う」とは、「あるべき動物園の姿」に向けての戦いということで、「人間が管理するのに都合のよい特性をもち合わせていない」(p.32)野生動物と、もともと野生の環境を実現できないという性質を内在している動物園がどう折り合いをつけていくかという、野生動物と飼育員との戦いがある。動物園とは「野生生物を人間とともに生かしつづけるための戦場である」(同)。そして、動物園の経営をめぐる行政との対立という意味での戦いがあったり、エキノコックスを悪意を持って報道したり、あるいは「立つレッサーパンダ」や「アシカショー」など、見せ物でありショーとして動物を利用しようとするメディアや一般大衆との戦いがあったりする。そんな数々の戦いを交えて来た2人から、「本物になるためには『これほどつらいものか』と思うほどの試練がある。人は自分の好きなことを実現するためには、針の目をくぐる努力をしなくてはならない。」(p.96)という「思いもよらない不運に立ち向かう覚悟」(同)について、「勝負をかけたら、負けてはいけない」(p.124)という「負けない」戦をする必要について教えられる。
     動物園そのものよりも、二人の職業人としての姿勢が勉強になる本。(16/05/08)

  • さすがは『安田講堂』の島先生。感情を揺さぶる熱い文章である。

  • 進路支援図書「はたらく人びと」
    2009/6/10更新 004号 紹介図書
    http://www.nvlu.ac.jp/library/workers/workers-004.html/

  • 動物園のあり方――自然の動物のリアル(猛威)に触れる、あるいは学ぶ、という――を、徹底的に磨き、追い求めていく。そしてそれを、市民を味方にしながら(あるいは大組織や役所とドンパチしながら)、推し進めていく姿は、あらゆる仕事人にとって良き参考として映るだろう。

    そんな中で「こういう仕事は役所(役人)にはできない」とか「役所はこういう提案は(来ても)受け流すだけ」とかいった記述がときどき出てくるのには、ありがちな役所嫌いな性格(いっしょに何かしようという姿勢の欠如)が見え隠れして、微妙な気分にはなるのだが。

  • 両動物園の素晴らしさを一生懸命に伝えようとする作品。どちらの動物園にも行ったことがない僕としては、動物園の内容・全体像がいまいちつかめず、もどかしい気持ちにもなったが、新書のテーマ上、開業から挫折、復興に至る過程に着目して話を進めていくしかなかっただろうと思う。たとえば、到津の森公園が地元にいかに愛されているかということが強調されているが、なぜそうなったかはよくわからなかったり・・・。また、著者と園長の関係上、仕方のないことかもしれないが、やや身内自慢のような雰囲気を感じてしまったことも残念だった。

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