物語メキシコの歴史: 太陽の国の英傑たち (中公新書 1935)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019356

作品紹介・あらすじ

「太陽の国メキシコ」と言えば、わたしたちは陽気なマリアッチや古代文明を思い起こす。だが重層的な民族構成や文化をもつメキシコは、「仮面をかぶった国」と言われ、なかなか素顔を見せない。この複雑なメキシコの歴史を、マヤやアステカにはじまり、植民地時代、レフォルマ戦争、メキシコ革命などをへて現代まで概説するとともに、イダルゴやサパタなど、それぞれの時代を特徴づける神がかり的な英雄たちを紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 古代メキシコ文明を深堀りする読書の4冊目。
    コルテス征服以降のメキシコを辿りながら、現在への影響を見てみる。本書曰く、その後のメキシコはスペインからの解放や自由主義などのイデオロギー主体の闘争に見えて、実態とその後の行動は、誰が権力を掌握するか、が、中心に見える。
    古代文明、スペイン統治、独立戦争、革命、アメリカの影響、、、連続というより多層化する歴史に加え、スペイン人、現地生まれのスペイン人、先住民、労働力として連れてこられた黒人、それらの混血、という複雑な人種構成。こりゃまとまるのも大変だ。今のメキシコは、数々を乗り越えた姿何やなぁ~。

  • あまり知らなかったメキシコの歴史が概観できます。
    メキシコと言えば、マヤなどの古代文明、陽気なマリアッチ、テキーラ、ソンブレロなどしか思い浮かびませんでした。
    仮面をかぶった国、重層的な民族構成や文化をもつメキシコの素顔が見えます。
    マヤやアステカから、スペインの植民地時代、レフォルマ戦争、メキシコ革命から現代までを概説し、同時にそれぞれの時代の英雄たちも紹介しています。

  • OK3a

  • 【書誌情報+内容紹介】
    『物語 メキシコの歴史――太陽の国の英傑たち』(大垣貴志郎 中公新書 2008)
    著者:大垣 貴志郎[おおがき・きしろう](1943-) ラテンアメリカ近現代史。
    初版刊行日 2008/2/25
    判型 新書判
    頁数 288ページ
    定価 本体840円(税別)
    ISBN 978-4-12-101935-6

    「太陽の国メキシコ」と言えば、わたしたちは陽気なマリアッチや古代文明を思い起こす。だが重層的な民族構成や文化をもつメキシコは、「仮面をかぶった国」と言われ、なかなか素顔を見せない。この複雑なメキシコの歴史を、マヤやアステカにはじまり、植民地時代、レフォルマ戦争、メキシコ革命などをへて現代まで概説するとともに、イダルゴやサパタなど、それぞれの時代を特徴づける神がかり的な英雄たちを紹介する。
    http://www.chuko.co.jp/shinsho/2008/02/101935.html

    【簡易目次】
    第1章 文明の出合い 001
    第2章 搾取と布教の時代 037
    第3章 独立記念日 067
    第4章 憎き星条旗 097
    第5章 先住民の勇ましさ 117
    第6章 白昼夢をみた皇帝 143
    第7章 族長の功罪 177
    第8章 革命精神は死んだのか 195
    第9章 現代メキシコ 223

    【目次】
    まえがき [i-v]
    目次 [vi-xi]
    地図 [xii-xiii]

    第一章 文明の出合い 001
    新大陸の「発見」 001
      コロンブスの「発見」
      スペイン人との衝突

    新大陸の古代文明 005
      メキシコの自然
      時代の認識
      人類の到来
      メソアメリカ文明圏
      マヤとメキシコ高原地域
      新大陸の贈り物
      羽毛の生えた蛇神
      マヤ絵文字と曆数
      キチェー・マヤの聖なる書『ポポル・ヴフ』
      アステカ帝国の循環史観
      コルテスのメキシコ征服

    第ニ章 搾取と布教の時代 037
    植民地のしくみ 037
      大航海時代
      副王領先住民人口の減少
      統治体制の変化
      エンコミエンダ制
      先住民保護運動
      ラス・カサス神父
      “黒い伝説”
      新興国の攻勢
      副王領の拡大

    聖領の時代 053
      精神面の征服
      イエズス会の追放
      植民地の経済
      独占交易体制
      一七世紀のメキシコ

    植民地の危機 062
      植民地の一八世紀
      カルロス三世の改革
      独立前夜のメキシコ

    第三章 独立記念日 067
    独立戦争の鐘 067
      一八〇年九月一六日
      離脱と独立との違い
      炎の男イダルゴ
      副王のクーデター
      グアダルーペの聖母と群衆
      十字架の山の敗北
      もう一人のムハンマド
      模範的メキシコ人

    イグアラの変 087
      イトゥルビデのつぶやき
      メキシコ独立
      迷える皇帝
      迷走する独立国

    第四章 憎き星条旗 097
    サンタ・アナの時代 097
      世界一邪悪な男
      擬人化された歴史
      教会の重圧

    米墨戦争 106
      テキサス分離
      グアダルーペ・イダルゴ条約
      国歌の曲想
      疲弊する国家

    第五章 先住民の勇ましさ 117
    ベニート・フアレス 117
      オアハカの魅力
      先住民の本能
      フアレスの生い立ち
      先住民の州知事

    メルチョール・オカンポ 125
      オカンポの境遇
      パリのオカンポ
      宗教論争

    レフォルマ戦争 132
      レフォルマ戦争の勃発
      戦争第一幕――保守派の優勢
      第二幕―――自由主義派の巻き返し
      第三幕――外国の干渉
      第四幕――戦闘の終結
      第五幕――改革のピッケル

    第六章 白昼夢をみた皇帝 143
    ナポレオン三世の野心 143
      青い目の大公
      フランス軍の進駐
      フランス干渉戦争
      ミラマル条約
      「メキシコ人のための皇帝」
      フアレスの抗戦

    行きづまる帝国 153
      落日の皇帝
      「さようなら、カルロッタ」
      絶望した賢婦
      マクシミリアンの最期

    建国の父フアレス 164
      フアレスの勝利
      民主的独裁者
      ディアスの蜂起
      フアレス急死
      国家の覚醒

    第七章 族長の功罪 177
    ディアス登場 177
      メスティソの躍進
      ミシュテカ人の軍人
      飛脚役の交代

    ディアスの長期政権 184
      メキシコのベルエポック
      新聞の論説
      教会との和解
      ディアスの独裁政治

    第八章 革命精神は死んだのか 195
    ディアスの退場 195
      独立戦争一〇〇周年
      社会の不満
      革命のきざし
      象を殺した細菌
      民主主義の使徒

    メキシコ革命 206
      悲劇週間
      メキシコ革命の流れ
      第一期
      第二期
      革命の英雄――ビージャとサパタ
      行進曲サカテカス
      メキシコ文化革命

    第九章 現代メキシコ 223
    ゆれうごくメキシコ 223
      歴史的冒険
      ビージャとオブレゴンの会見
      メキシコ革命第二期――カージェスの一〇年
      制度的革命党(PRI)の誕生

    革命五〇周年と経済外交の推進 229
      社会主義的政策の推進
      第二次世界大戦
      都市の空気
      ポピュリズム

    低迷する経済 241
      ハイパーインフレーション
      石油危機
      政治改革の潮流
      政権の交代

    あとがき [251-253]
    参考文献 [254-256]
    事項索引 [258-265]
    人名索引 [266-270]

  • ●メキシコの歴史については、教科書などにはほとんど記述されていないので、新鮮であった。

  • 新書文庫

  • 新大陸の発見から、近代まで、怒涛のメキシコの歴史を一望することができる。メキシコ人の微笑みの仮面を一枚ずつめくることで、複雑で痛みの多い歴史が少しわかった。

  • 様々な英傑たちの生涯とともに、メキシコの独自の文化と歴史の成り立ちがわかりやすく説明されている本。長短関わらず、メキシコに行く機会がある人は必読。

  • マヤ、アステカに知られる先住民の時代からスペインの支配、アメリカの干渉など他国に翻弄されながらも「混血」としてのアイデンティティを築いてきたことが現在のメキシコの根本にある。あまりの革命の多さに驚いたが、民族性に拠る所があるのだろうか。

  •  メソアメリカ文明圏のはじまりからスペイン人に征服された時代、独立革命、レフォルマ戦争、ベニート・フアレスの時代、ポルフィリオ・ディアスの時代、を経てメキシコ革命、さらに2000年、一党独裁を続けてきた制度的革命党PRIが、国民行動党PANに敗北するまでを、他の歴史家の観点も参考にしながら概観したもの。
     メキシコに旅行に行き、テオティワカンやツェツェンイツァ、ウシュマルなどの遺跡を見てきたので、興味を持って読んでみたが、古代文明の部分は1章だけだった。あとはスペイン人がやってきてから植民地時代の話も興味深く、ラス・カサス神父の『インディアスの破壊についての簡潔な報告』も、岩波文庫でたまたま見つけて買ってみた。あとの1810年以降の政治史が9章中の7章を占めているが、ぱっと読んだだけでは分かりにくい。けど要するに、保守派と自由派の間で内乱が続き、貧富の差が激しく資本主義も成熟せず、アメリカやフランスから干渉され、そんな中で、本書の副題である「太陽の国の英傑たち」がかわりばんこに出てくる、という物語であることが分かった。ヨーロッパの歴史にも随分関係ある部分があり、ヨーロッパの政治史に興味がある人も面白く読めると思うが、そうでもなければあまりピンとこない。(10/10)

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