- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121019479
作品紹介・あらすじ
ブルゴーニュ地方の山中に源を発し、ル・アーヴル近くで英仏海峡に注ぐ。全長七七六キロに及ぶ堂々たる大河、セーヌ川。パリ市の紋章には、「たゆたえども沈まず」とあり、パリとこの川の浅からぬ縁を証言している。昔日のガイドブック、文学作品などの歴史的証言の数々を繙いて、この都市の錯綜したイメージを読み解いてゆこう。著者とともに、河岸を散策し、船に乗り、橋に佇めば、見知らぬパリの相貌に出会えるだろう。
感想・レビュー・書評
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プロローグ
パリの風景。首都を連想させる絵や写真がたくさんあった。
川を通過する
セーヌ川に限らず、ロワール川、ローヌ川、ガロンヌ川など、フランス国内を流れる大河は、歴史的に見ていずれも交通・運輸の主要な動脈を形成していた。
上セーヌ川で首都にもたらされるのが、穀物、小麦、ブルゴーニュ地方やシャンパーニュ地方のワイン、干し草、羊毛、リンゴ酒、バター、亜麻、松脂、タール、食料品、薬品、布製品、植民地産の食料などであることが知らされた。
船の旅は、鉄道や馬車と比べて、乗り物の中でより広い空間を提供し、したがって、そこでの旅行家たちの移動や接触を容易にする。
運河に生きる
パリの運河はフランス全土に広がる運河網の一部であり、経済・産業活動の重要な拠点であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
パリはのろわれている街であるとゾラは書いた。
川よりも海がはるかに深い。しかし海の深みが海洋生物によって繰り広げられる幻想的な風景を起草させることはあるにしても、川の深みにはない。川の深みは常に暗い闇に沈んでいるだけなのだ。
パリでは川に流れる死体も見世物だったのだ。 -
【08.7.27/図書館】
小倉さん著作本だから、私の知りたいところど真ん中だろうとは思ってたけど、ど真ん中だった。
面白かった。
も1回読みたかったけどとりあえず返却した。買おうっと。 -
文明が川とともにあるように、都市には必ず川がある。すべての都市は水利が必要なのだから当然なのだ。
その上でパリという極めて魅力的な街を川から描くという素敵な思いつきが今までなかったことにこの本を読んだ今となっては驚く。実際、パリに行って、セーヌ川を橋の上や歩道からぼーっと眺めたことのない人はいないだろう。
面白いのはこの本の章立て。同じ主題が何度も出てしまう歴史順ではないのだけれど、さりげなく時代を今に向かわせつつ、より人生に密着した内容に持ち込んでいる。これは見事だと思う。
多分、著者は今、あーあそこもうちょっと変えておきたかったなーと色々な部分を反省しているんだと思う。しかし、充分に深みに達しつつ、これは新書として成立している。