韓国現代史―大統領たちの栄光と蹉跌 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019592

作品紹介・あらすじ

一九四八年、日本の植民地から米国の占領を経て、建国した大韓民国。六〇年の間に、独裁国家から民主国家、途上国から先進国へと大きく変貌した。本書は、歴代大統領の「眼」と「体験」を通し、激変した韓国を描くものである。「建国の父」李承晩、軍事クーデタで政権を奪った朴正煕、民主化に大きな役割を果たした金泳三、金大中、そして「ポスト民主化」時代の盧武鉉、李明博。大統領たちの証言で織りなす現代史の意欲作。

感想・レビュー・書評

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  • ドラマチックでとてもわかりやすい人物史。多様な出自の大統領を切り口にして政治史を語ることで社会にも一定の目配せをするという筆者の思惑は成功してると思う。経済・文化・国際性という視点は弱いがある程度仕方ない。積まれた新書を消化するキャンペーン⑧。

  •  最近韓国政治が騒がしいので再読。一般人は、首脳以外の他国の政治家には詳しくないのが普通だろう。しかし、どんな首脳にもそこに至るまでの政治キャリアがある。本書では、1945年以降の各時期を、時の又は後の大統領がその時何をしていたかという視点から取り上げている。
     崔圭夏・盧泰愚・全斗煥は省かれているし、存在感があった金鍾泌も、大統領になれなかった以上単なる脇役扱いである。しかし、一つの時期を様々な人物の立場から見るという、通史にも人物史にもない不思議な感覚に襲われる。たとえば朴正煕による1961年の5.16軍事クーデタの頃、尹潽善は当初協力、後に決別。金泳三・金大中は野党政治家として一定期間政治活動を禁止された後に解禁。1980年以降の第五共和国時代、盧武鉉は民主化運動を契機に人権派弁護士へ。李明博は現代建設社長として政権に圧迫される。金大中は光州事件後に亡命せざるを得なくなり、金泳三は国内での民主化運動。
     軍事政権対民主化運動、という対立軸はもちろん正しいだろうが、実際には朴正煕時代、特に維新クーデタ前には野党側にもそれなりに政治活動の空間はあった。また民主化後も、金泳三は盧泰愚と、金大中は金鍾泌と手を組んでもいる。韓国政治はもちろん今後も続いていくが、民主化・制度化された現在では、これほどのドラマにはならないだろう。
     巻末に掲載された政党・憲法の変遷と年表は大変ありがたかった。本文を読み進む中で何度参照したことか。朴槿恵大統領が突如大統領の任期・再選を定める憲法の改正に言及したのも、このような歴史を知ると一層理解できる。

  • 韓国の歴史を大統領の生涯を通じて紹介する形式。かなり濃密にキャラが立ってるけど、韓国は総じてそうなのか、占領下から朝鮮戦争軍政の激動がそうさせたのか。1人に絞ってじっくり書かれた評伝があれば読みたい。

  • 戦後の韓国史をあまり知らない人にとっては、通史がコンパクトにわかり便利。各時代を、7人の大統領それぞれの状況の視点から書かれており、それぞれの階層からみたい時代背景のイメージがつかめる。韓国の戦後は、政党が次々と誕生しては消えていくのだけれど、巻末に変遷図も収録されていて、その複雑さが理解しやすい。物足りないのは、政党政治に主眼が置かれていて、経済や社会の変遷の説明が極めて少ない点。それは他の本で補うしかないだろう。

  • 韓国現代史を大統領の人生から読み解く一冊。
    イ・ミョンバクは成り上がりですごいなーという感じ。金大中とか金泳三とかは完全に政治屋なんだなと初めて知った。

  • 李承晩から李明博まで、彼らがいかにして韓国政治の頂点に登りつめたか、わかりやすく一般向けに書かれています
    韓国現代政治を知る上できっかけの一冊としてよい本です

  • 独立後から現代までの歴史を大統領のエピソードを中心に描く

    李承晩から李明博に至るまで、興国というか、大きな変化を遂げた国の権力者の話はおもしろいなぁ。最近でこそ大きく注目されてるが、ちょっと前まで軍事独裁の国で、大戦前の実力者やその時に青春を過ごした人達が国の中心にいたんだよなぁ。日本だと、大戦前と後で繋がりがわかりづらい、もしくは語られないけど。かの国では大戦の記憶が残っていた、またはいる、んだなと実感。そりゃ親日とかで騒がれるのもわかる。

  • ○この本を一言で表すと?
     韓国歴代大統領の各歴史的ポイントの立場や行動について書かれた本


    ○この本を読んで面白かった点
    ・最初から最後まで様々な人間ドラマが展開されていて面白かったです。

    ・1945年8月15日を各歴代大統領がいろいろな立場(日系企業、亡命政治家、日本軍など)で迎え、その日を境に人生が大きく変わっていったことが、環境変化の人生への影響の大きさを物語っていて面白いなと思いました。建国の父と呼ばれる李承晩がこの時点で70歳と高齢で、オーストリア人と結婚していたのは驚きました。(序章)

    ・終戦後に様々な「自称政府」が乱立したのは面白いなと思いました。独立運動などを経て独立した国であれば、現政府が1つ、反政府が1つというのがほとんどですが、外的要因で突如独立となるとこのような事態になることが興味深かったです。(第1章)

    ・後に軍事政権を築いた朴正煕が師範学校で落第生ながら卒業し、一度先生になりながらも元々憧れていた軍人になったという経歴だったのは面白いなと思いました。(第1章)

    ・金大中が20代の時に日系企業で日本人がみな帰国した中で成り行きのままその経営者となり、さらに独立して手腕を発揮していったというのはすごいなと思いました。(第1章)

    ・朝鮮戦争で韓国自体はほとんど戦えず、「北朝鮮軍にやられまくり⇒アメリカ軍が押し返す⇒中国義勇軍が押し戻す」というプロセスになったことは知っていましたが、その頃の韓国政府の動きなどは初めて知りました(ソウルにいた李承晩がこっそり脱出していたり、その後何度も処刑されかける金大中が処刑場に送られていたり。)。(第2章)

    ・金泳三が自分の部屋に「未来の大統領金泳三」という張り紙を中学の頃にしていたというのは後に実現することになることを考えるとすごい実現力だなと思いました。(第2章)

    ・独裁政治を行っていた李承晩が憲法を改正して直接選挙制に替え、対立候補が相次いで亡くなる暗殺疑惑などの元で四月革命のデモ等に圧されて辞任し、戦前と同じくまた亡命することになり、二度と韓国の地を踏むことがなかったというのは、老子の「功成り身退くは、天の道なり」という言葉を思い出しました。老いて権力にしがみついた人の末路は「晩節を汚す」ことになりやすいのだなと思いました。(第3章)

    ・20世紀後半ずっと競争相手となり続ける金大中と金泳三が、前者は朝鮮戦争の時に母親が餓死寸前となり、後者は母親が北朝鮮のスパイに殺されるなど、相反する点と共通する点があって興味深いなと思いました。(第3章)

    ・朴正煕が軍で不遇な立場の中でクーデターを起こし、単独では成立しえない規模ながら陸軍参謀総長を甘言で利用し、大統領の尹潽善の協力を得て成立し、「政治活動浄化法」で4373名の政治家が活動を禁止されたという流れは非常にスムーズにいったなと思いました。朴正煕がその後の開発独裁でうまく舵を取ったことを考えると、根回しなどの政治工作もかなりうまかったのかなと思いました。(第4章)

    ・現大統領の李明博が日韓国交正常化への反対運動に参加して当時の朴正煕に睨まれ、政治活動に参加しないように現代財閥の会長に面倒を見るように伝えたというエピソードは、その後の流れを考えると面白いなと思いました。李明博が大阪で生まれ、貧乏な中で優秀な兄の李相得を家族全体で支える生活の中で、個人の努力で学費免除などを勝ち取って進学し、高麗大学で学生会長になった、というのはとてつもない努力の人だなと思いました。(第5章)

    ・朴正煕が李承晩政権時に日本に請求した額を10分の1にして日本との国交正常化に踏み切り、外資導入を狙ったというのはすごい政治力だと思いました。(第5章)

    ・この時代に金大中、金泳三、尹潽善がそれぞれ不遇を味わっていたというのは、時代によって明暗が分かれるその一つかなと思いました。(第5章)

    ・朴正煕が自らの基盤が揺らいでいたことから、政権の側から「維新」を起こしたのは面白い手だなと思いました。その中で金泳三がハーバードからの帰国を決意し、ライバルの金大中が暗殺未遂事件で負傷した後東京で亡命しながら政治活動を行うとしたことは対照的だなと思いました。(第6章)

    ・東京で金大中が拉致されて自宅軟禁される事件が起き、その金大中がライバルの金泳三と連携を取るという方策を採ったというのは面白いと思いました。(第7章)

    ・在日朝鮮人が大阪府警の派出所から盗んだ拳銃で朴正煕暗殺を企み、大統領夫人が殺された事件、それをきっかけとした人事異動で車智澈が警護室長となり、この車智澈が失策を繰り返し、その失策を押し付けられた金載圭が朴正煕と車智澈を暗殺するという流れは、人間は完全ではなく感情の生き物なのだなということを改めて考えさせられたような気がします。(第7章)

    ・現代建設の社長になっていた李明博が朴正煕に意に反する進言を強制されて葛藤したときに、前の老人が進言内容を忘れてしまったおかげで発言しなくてよかったというエピソードはまるでドラマのようだなと思いました。(第7章)

    ・盧武鉉が李明博と同様に貧乏な家庭に生まれ、また優秀な兄を支える生活の中で努力した人で、李明博とは違って兄が挫折して自身が家族を支えないといけないという状況で、徴兵などで勉強できない状況になったりしながらも努力を続けて弁護士になったというのはすごいなと思いました。(第8章)

    ・朴正煕の死で民主化への期待が大きくあり、金泳三・金大中・金錘泌の三金時代到来となるなかで、「十二・十二事件」で軍の実権を握った全斗煥がクーデターを起こし、金大中や李明博などを一斉に逮捕し、また軍部が実権を握った流れは軍国主義からの脱出が困難なことを思わせるなと感じました。(第8章)

    ・金大中がまた死刑判決を受け、減刑嘆願書を書かされ、また亡命される流れは、この人物が艱難辛苦に見舞われまくっているなと思いました。(第8章)

    ・金泳三が断食をして海外メディアの注目を集めたり、登山を名目に仲間を集めて会合したりする手法は、かなりこの人物が柔軟な思考を持っていたのだなと感心しました。(第8章)

    ・金泳三が政敵の盧泰愚と組んで与党のナンバー2となる「ウルトラC」により、その後大統領となったこと、通貨危機による経済低迷のせいで韓国人が最も低い評価を与える大統領となったこと、一度政治からの引退を宣言した金大中が復帰し、大統領となること、この流れは苦労人が勝ち、小細工を弄した方が負けるという勧善懲悪的な話ではなく、まさに「時の運」というものだなと思いました。(第9章)

    ・李明博がソウル市長選のために国会議員を辞任したこと、盧武鉉がその補欠戦で国会議員になれたこと、李明博が選挙法違反で訴えられて5年間の選挙権を失うこと、盧武鉉が無謀な挑戦による落選により逆に支持者を増やすことなど、直近の2名についてもいろいろなドラマがあるなと思いました。(第9章)

    ・地域主義を打開しようとしたせいで強い支持基盤を築くことができなかった盧武鉉が政策の実行で躓いて急速に支持率を低下させたこと、李明博が選挙権が復帰していない中でソウルの「清渓川復元構想」を発表し、選挙戦の主導権を握ってソウル市長に当選し、さらに「韓半島大運河計画」「七四七政策」「非核・開放三〇〇〇構想」などを打ち出して大統領選にも勝利したこと、は第9章のエピソードと真逆の展開でこれまたドラマだなと思いました。(終章)

  • 第二次世界大戦以後の韓国政治史を
    「大統領に登りつめる人びとの視点を通じて」描いた書。
    計7人の伝記を凝縮したような内容で、
    展開は早くスリリングですらあり、非常に面白い。
    その反面、韓国の国としてとられた政策や外交については
    ほとんど触れられておらず、特に後半は政治劇に終始している。
    群像劇とも言えるスタイルが秀逸だっただけに、
    もっとボリュームのある内容で読んでみたかった。

    • satsukiさん
      木宮正史「国際政治の中の韓国現代史」をおすすめします!
      木宮正史「国際政治の中の韓国現代史」をおすすめします!
      2012/08/30
  • 【72冊目】最近、自分の中で遅ればせながら韓流ブームが来たので読んでみました。「解放」後の歴代大統領の視点を通じて学ぶ韓国史。

    非常に興味深かった。
    最初は、個々人ごとに章立てするのではなく、年代ごとに章立てして個々の大統領を並行して取り上げていく書き方は分かりづらそうだなって思ったけど、これが結構良かった。大統領の並べ方も前後とつながりのある合理的な並べ方で、この章立ては成功だと思う。

    ただ、なにより、この本が面白かったのは。韓国現代史という観察対象の面白さによるところが大きい。
    「韓国は最近まで政情不安定な国で、今では韓流ブームとか言っているのが信じられない」とはここ最近の韓国しか知らなかった僕に対する母の言葉だけど、本当にそうだった。大統領が暗殺されたり、デモが頻発したり・・・。

    単純に読みものとしての面白さがある。たとえば、北朝鮮軍が攻め込んできた時に大統領が国民を置き去りにして逃げ出すシーン。そして、それに続く「釜山政治波動」。ここなんかは、かなりお気に入り。
    それと、現代の韓国は「改革の神話」と「経済成長の神話」にとらわれているっていう分析も興味深い。これなんかは、現代日本はちょっと前に捨て去った神話だけど、結局どこの国も同じようなもんなのね

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