物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 62
  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019639

作品紹介・あらすじ

一七八九年、市民によるバスチーユ襲撃によって始まったフランス革命は、「自由と平等」という光り輝く理想を掲げ、近代市民社会の出発点となった。しかし、希望とともに始まった革命は、やがて恐怖政治へと突入、ナポレオンを登場させ、彼の皇帝即位をもって幕を下ろす。本書は、ドラマに満ちた革命の有為転変をたどりつつ、当時を生きた人々の息づかいな社会の雰囲気を丁寧に追い、革命の時代を鮮やかに描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 近代社会の出発点となったフランス革命は、1789年7月のバスチーユ陥落に始まり、1804年12月のナポレオンの皇帝戴冠に終わります。
    本書は、15年にわたるフランス革命史を人物中心に描写した概説書。
    ルイ16世、マリー・アントワネット、ダントン、ロベスピエールなど、おなじみの顔ぶれにくわえ、ジャコバン派のマラー、彼を暗殺したシャルロット・コルデー、恐怖政治の下、ギロチンの露と消えたロラン夫人など、革命に関与したさまざまな人を取り上げることで、革命の大きな流れと市民生活に与えた影響を具体的に理解できるしかけになっています。

    革命前史として、国民の大多数を占める農民層の困窮と、対外戦争による国家財政の危機があります。
    ルイ16世は、2つの難題に対応するため、貴族への課税を含む政治改革を志向します。改革には国民全体の支持が必要との判断から、国民各層からなる三部会を招集。このあたり、錠前作りだけに熱中した愚鈍な王様というイメージとはかけ離れた開明的な君主だったことが明らかにされます。
    気の毒だったのは、既得権益層の貴族・教会勢力の抵抗が強力だったこと、対外的に強大化しつつあったイギリス、大陸におけるハプスブルク帝国との争いで、軍事費を削減できなかったこと。(緊張緩和のため、とられたのがハプスブルク家との婚姻政策で、その相手がマリーアントワネットだったのは周知のとおり)

    歴史の逆説ですが、筆者は、ルイが開明的君主だったからこそ第三身分が政治的に覚醒し革命が加速したので、彼がゴリゴリの絶対君主で民衆に弾圧を加えていれば、革命は(勃発不可避だったにせよ)彼の代ではなかったかもしれないと、同情的に筆を進めます。

    開明派の財務大臣ネッケル罷免というニュースに衝撃をうけ、市民が立ち上がったのが、バスチーユ襲撃。この時点で国民の大多数は(ロベスピエールも含め)国王のもとでの改革を支持していました。革命のスローガンが「国民、国王、国法」だったことからもわかります。
    ただ、後の歴史を知る私たちは、フランスがイギリスのように立憲君主制にならなかったことを知っています。それはなぜか?

    筆者は、ルイの絶対君主としての性格に原因を求めます。身分の低い連中が次から次へ、改革(という名の自分の権限を奪う)政策を進めることに我慢ならず、彼は、革命を緩和するため妻の祖国オーストリアの介入を求め脱出を図ります。これが革命の転換点、ヴァレンヌ事件でした。結局、革命政府に国王家族は捕らえられ、(脱出劇にもフェルセンが登場するなどドラマがあります)国民の国王に対する信頼は失墜。より急進的な革命が進行し、いくつかの反動を経て、ナポレオンのクーデターに向かいます。

    フランス革命は、恐怖政治に代表されるように、たくさんの人の血が流れた凄惨な一面は否定できません。一方で、自由平等という理念に燃え、理想の社会を作るというポジティブな面も非常に大きく、全国民を対象とした教育制度やメートル法など、私たちの社会を基礎づける重要な社会インフラが整備された時代でもありました。

    革命の正の側面、負の側面、そのあとの世界に与えた影響など、バランスよく記述されていて、読了後、すっきりした見通しを持つことができました。良書だと思います。


  • 1789年、パリ民衆が国王に愛想を尽かし、バスティーユ監獄を襲撃したことからはじまり、1804年皇帝ナポレオン誕生によって完結したとするフランス革命。その15年をコンパクトにまとめたフランス革命入門書。

    革命側は、主権を持った国民は生まれたときから平等であると主張し、その主張を自国だけではなく、世界中に広めようとした点でフランス革命は画期的だ。加えて、ルイ16世、マリー・アントワネット、ロベスピエール、ナポレオンなどの魅力的なキャラクターが登場。

    しかし、この革命が世界史で注目されるのは、登場する有名なキャラクターのほとんどがギロチンで殺られてしまうってことだろう。

    明治維新もそうだが、多くの人命を犠牲にしてまでも、やり遂げようとするマンパワーの美がそこにある。

  • 新書にしては幾分厚い本で、また、歴史に関するまじめな本なので、読み始めるのに覚悟が要ったが、いざ読んでみれば、フランス革命を彩った人間ドラマを小説のようにすいすいと読め、楽しく勉強できる。
    世間で語られるイメージのある登場人物の生い立ち、素顔などを読んでいくと、そうしたイメージには誤解もあることに気づく。
    なるほど、彼としてはこういう考えがあったのかということへの気づき、とか、理想的革命が現実に直面して揺れ動くダイナミズムなんかが、読んでいて面白く感じた。

  • コテンラジオでフランス革命が取り上げられており、もっといろいろと知りたくなりこの本を手にしました。
    非常にわかりやすかったと思いますし、各演説や名言には気持ちの高揚や熱狂が感じられます。
    時折、革命の主流ではない人物への言及箇所がありますが、作者が後書きで述べているように、登場人物を多くする意図によるものなのでしょう。それも大して気になるものでもありませんでした。

  • #一度読んだら絶対に忘れない世界史 を読んだ中で、一番興味を持った出来事、#フランス革命 。

    「物語」というだけあって、人物に焦点を当て、非常にその時代を生々しく描いているのが素晴らしいと思う。教科書では革命の象徴的に記載されるバスチーユ陥落も、よくよく見たらただのノリしゃねえか!と思ってしまう。そういう意味では、今、SNSでいろいろ盛り上がるのと大差なく、人間も進歩しねえなと思ってしまう。

    この革命の右往左往ぶりは凄まじく、これだけ国内が混乱している中で、旧体制との戦いとしてヨーロッパの周辺国をほぼ敵に回して戦争しているのだから国民はたまったもんではなかっただろう。

    著者の大前提《フランス革命は世界史の新しい時代を切り開いた輝かしい革命であり、フランス革命を抜きにして現代世界を考えることはできない》のはその通りであり、この多大な犠牲の結果、(いろいろあるけど)国民主権の世の中になってきているわけである。

  • わかりやすく,おもしろい。女性の活躍とルイ16世の功績に光が当てられているのが特色で,有名な人物も一人一人ていねいに深掘りされている。フランス革命を新書一冊で網羅するというのは不安があるかもしれませんが,意外と初心者にもある程度知ってる人にもおすすめできる良書だと思います。

  • 世の中は2%の金持ち所有する財産と98%の残りの人が所有する財産が同じで、2%のうち半分が親からの想像らしい。
    革命はどうやったらおこせるのか。知りたかったが、この本では火種には触れていないためわからなかった。
    物語、と付いているだけあって、全ての登場人物が魅力的だった。
    混迷を終結させたのが、戦争に強いナポレオンというのが(ナポレオンは政治にも強かったが)リアルで、民衆の総意として、平等も大事だが飢えないことがもっと大事なんだと伝わった気がした。
    私が理解した内容は以下;
    革命に理解のある王様ルイ16世の御代に、なんらかの背景で革命への要望が高まった(度重なる戦禍による財政難と産業革命?)

    当初は革命派も王様を主軸に革命しようとしていたが、王様が部下の同意を得られず心折れ逃亡を計画

    王様の信認傾き、王様たち処刑される

    革命指導者たちの内部対立が起き、250名以上の粛清が起きる

    クーデターがおき、粛正してた派閥が処刑される

    両方の派閥の粛正により、国力弱く、民衆飢える

    ナポレオン登場、大活躍により国力の回復。混迷が一旦、終結。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    世界史を一度でも学んだことがあれば、全員が聞いたことがある「フランス革命」
    フランス革命が世界史において現代に繋がる重要な出来事だったことはほとんどの人々が理解しているだろうが具体的に何が起きていたのかを知る人は少ないのではないだろうか。
    この本はフランス革命が始まる以前のフランスから始まり、フランス王の処刑を経て、ナポレオンが皇帝になるまでの歴史が書かれている。
    大変に読みやすく、大まかな流れを知るには良いし、フランスにおける王室がどのような感じだったのかが以外で面白かった。

  • とても読みやすく、フランス革命について再勉強するのに最適な本でした。フランス革命は世界中に影響を与え、現在までフランスにおいても重要なターニングポイントであったと再認識しました。

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著者プロフィール

フランス文学者。1944年岩手県盛岡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業、同大学院修士課程修了。フランス政府給費留学生として渡仏、パリ大学等に遊学。執筆活動の傍ら、大学で講師も務めた。著書に『物語 フランス革命』『マリー・アントワネット』など。

「2020年 『サンソン回想録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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