イワシはどこへ消えたのか: 魚の危機とレジーム・シフト (中公新書 1991)
- 中央公論新社 (2009年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121019912
作品紹介・あらすじ
イワシが獲れなくなった。全国水揚げ量はピーク時の一六〇分の一となり、すでに私たちにとって身近な魚とは言えなくなりつつある。一方で、サンマは豊漁が続いている。なぜこのようなことが起こるのか。本書は、一九九〇年代以降、定説となった「レジーム・シフト」による魚種交代という考え方をわかりやすく説明し、水産行政や地元産業への影響を通して、人類の共有財産である水産資源をどう守っていくかを考える。
感想・レビュー・書評
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663-H
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●レジーム・シフトという言葉を初めて聞いた。イワシの不漁が続く中、一方でサンマは豊漁が続く。その理由を「レジーム・シフト」という考え方で説明ができるという。
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暮らし
サイエンス -
S663.6-チユ-1991 300022043
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資料ID:C0029468
配架場所:本館2F新書書架 -
あるときは大量に獲れた魚がある時期からいなくなったりすることは間々ある。こういう魚の増減がどうやって起こされるのかを、地球規模の環境変動や漁業政策をテコにして語る一冊。イワシの記述は多いが、イワシに代表される大衆魚をネタに漁業やそれをとりまく環境(地球・経済・政治的な意味で)を語る本。
「魚ってほんとデリケートなんだな」というのが正直な感想。
海面水温が数℃変化するだけで、その幼魚の生存率は大きく変わるらしく。人間が出てくるまでも魚はそんな温度変動の影響を受け続け、増減を繰り返しながらしぶとく生き延びてきた。そこに人間の無計画な漁獲が入ると、魚的には増加局面にあっても人に親魚を獲られるせいで増えたくても増えられない、そんな状況がイワシだけでなく他の大衆魚にも訪れているらしい。
状況を語るだけで、なにか抜本的な解決法を語る本でもない。なのでスカッとした読了感は得られない。しかし「漁業」の見方が大きく揺さぶられる一冊。
「船を操り、魚の群れを一網打尽」的な”人間目線”での漁業の裏で魚たちがどう生きているのか、そんな”魚目線”で漁業を見られるようになる「魚眼レンズ的漁業本」です。良著。 -
第5週 2/8(水)~2/14(火)
テーマ 「食」
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https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00171830 -
最近そういえばイワシを食べていない。
一方サンマはスーパーでよく並んでるなぁ。
(先日も節分なのにイワシでなくサンマを食べた。)
イワシはどこへ行ったのか。
考察しながら日本の漁業の抱える問題を取り上げていく。
日頃知らないことほど興味深いものだ。 -
乱獲とレジームシフトの双方から、漁業資源の保存管理を考える。
結構いろいろな水産学者の意見が分かって面白いのと、水産庁の政策に関して章を割いてるのがありがたいかな。
以下は本論とはあまり関係ないけど。
政治や業界団体の圧力に対する批判はわかる。
でもそういうのも込みで「民主主義」なんだから(民主主義の問題点ともいうべきところかもしれないが)、「漁業管理は科学と民主主義の問題だから」といってそういうものを排除しようというのもなんか…民主主義的じゃない気がしてしまうのですけど。
ところで本当に「焼き魚は嫌いな子供たちも、寿司は大好き」なのかな?