- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121020093
作品紹介・あらすじ
音楽の聴き方は、誰に言われるまでもなく全く自由だ。しかし、誰かからの影響や何らかの傾向なしに聴くこともまた不可能である。それならば、自分はどんな聴き方をしているのかについて自覚的になってみようというのが、本書の狙いである。聴き方の「型」を知り、自分の感じたことを言葉にしてみるだけで、どれほど世界が広がって見えることか。規則なき規則を考えるためにはどうすればよいかの道筋を示す。
感想・レビュー・書評
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音楽は言葉では表現できないと言われることがありますが、そうではないことを本書は示してくれます。
”音楽の少なからぬ部分は語ることができる。語らずして音楽はできない” ということを、指揮者の指示、表現の伝え方を通して説明している様は、とても説得力がありました。
2021,3/11-3/13詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うっすらと感じていたことがとても明瞭に書かれていた。それは、音楽に国境はない、ピース、というあまりに流布しすぎた幻想。
とんでもない。音楽には国境がある。ある文化圏の音楽を理解するためには、外国語を習得するのに匹敵するリテラシーが必要だということ。
じゃあロックやポップスの普遍性はどうなるんだ?
それは、英語がたまたまグローバル言語になっているのと同様、西洋音楽の語法がたまたま全世界に広まっただけのこと。ウイルスのようなもの。 -
名著『西洋音楽史』に続くクラシック理解のための格好の手引き。でも、いわゆるディスクガイド的なことを期待すると裏切られます。西洋音楽の「聴かれ方」と「語り方」の歴史的変遷と理論的背景を踏まえた読み物で、新たな発見がたくさんありました。
「自分の感性の受信機の中にあらかじめセットされていない周波数に対して、人はほとんど反応出来ない」
ある音楽を気に入るかどうかは、誰にでもある「内なる図書館(自分が何年もかけて蓄積してきた記憶の断片≒自己のアイデンティティ)」と接点があるかどうかにかかっています。だからこそ、「たくさん聴いて、読んで、いろいろな人名や作品名を覚え、多くの人と話すこと」。音楽という大海で迷子にならないためには、ある程度「量」を聴き込んで、自分なりの海図を持つことが必要です。
要するに、「ある音楽ジャンルが「分かる」とは、一つの文化に参入し、その暗黙のアーカイヴに対する土地勘のようなものを会得することだ。歴史を知り、価値体系とそのメカニズムと含蓄を理解し、語彙を習得すること」。語るべき言葉を持たないと、音楽の楽しみは半減する。同感です。
「音楽についての本を読むことで、聴く幅が飛躍的に広がる」。ジャズについては、ミュージシャンの伝記や批評、文化論、ディスクガイドなど、それなりの数の本を読んできましたが、それによって自分が音楽を聴くときの軸足が定まったという実感があります。
でも、私の心に刺さったのは、それに続く次の言葉。「他人が使った語彙は、あくまで自分の言葉を見出すまでの、仮設の足場のようなものだ」。他人の知識や経験が自分のものになるまでの熟成のプロセスを表す表現として、これ以上のものは思いつきません。 -
”音楽の聴き方は自由だが、一切から自由に聞くことは不可能だ。ならば自らの聴き方を自覚的になってみてはどうか”。音楽を語る語彙、音楽自体の語法、再生のポータビリティなどの観点から気づかせる。
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音楽の聴き方を読んだ。現存する音楽の聴き方を紹介しながら、なぜそうなったのかを歴史を紐解きながら解説し、音楽の聴き方とその向き合い方に迫っていく良本。
詳細は下記
https://note.com/t06901ky/n/n2f405373469e -
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【信州大学附属図書館の所蔵はこちらです】
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA90439005 -
聞く形、方法、表現する言葉等を解説、音楽への取り組み方を説く。聞くコツは、
他人の意見を気にしない、世評に注意、自分の癖を知る、理屈抜きの体験、お粗末も重要、有名な音楽家を神格化しに、良い・悪い・中間がある、聞き手上手、名曲の存在、定点観測、固定客の反応、音楽を見る、繰り返し聞く、音楽関連の本を読む、音楽の文法、盛り上がりばかり期待せず、傾聴か聞き流しかの判断・聞き方の選択、
文脈の点検、背景の文化を知る、ジャンルの区別、場を楽しむ、自分で弾く
著者プロフィール
岡田暁生の作品






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