音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 1005
感想 : 105
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121020093

作品紹介・あらすじ

音楽の聴き方は、誰に言われるまでもなく全く自由だ。しかし、誰かからの影響や何らかの傾向なしに聴くこともまた不可能である。それならば、自分はどんな聴き方をしているのかについて自覚的になってみようというのが、本書の狙いである。聴き方の「型」を知り、自分の感じたことを言葉にしてみるだけで、どれほど世界が広がって見えることか。規則なき規則を考えるためにはどうすればよいかの道筋を示す。

感想・レビュー・書評

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  • 音楽は言葉では表現できないと言われることがありますが、そうではないことを本書は示してくれます。

    ”音楽の少なからぬ部分は語ることができる。語らずして音楽はできない” ということを、指揮者の指示、表現の伝え方を通して説明している様は、とても説得力がありました。
    2021,3/11-3/13

  • うっすらと感じていたことがとても明瞭に書かれていた。それは、音楽に国境はない、ピース、というあまりに流布しすぎた幻想。
    とんでもない。音楽には国境がある。ある文化圏の音楽を理解するためには、外国語を習得するのに匹敵するリテラシーが必要だということ。
    じゃあロックやポップスの普遍性はどうなるんだ?
    それは、英語がたまたまグローバル言語になっているのと同様、西洋音楽の語法がたまたま全世界に広まっただけのこと。ウイルスのようなもの。

  • 名著『西洋音楽史』に続くクラシック理解のための格好の手引き。でも、いわゆるディスクガイド的なことを期待すると裏切られます。西洋音楽の「聴かれ方」と「語り方」の歴史的変遷と理論的背景を踏まえた読み物で、新たな発見がたくさんありました。

    「自分の感性の受信機の中にあらかじめセットされていない周波数に対して、人はほとんど反応出来ない」
    ある音楽を気に入るかどうかは、誰にでもある「内なる図書館(自分が何年もかけて蓄積してきた記憶の断片≒自己のアイデンティティ)」と接点があるかどうかにかかっています。だからこそ、「たくさん聴いて、読んで、いろいろな人名や作品名を覚え、多くの人と話すこと」。音楽という大海で迷子にならないためには、ある程度「量」を聴き込んで、自分なりの海図を持つことが必要です。

    要するに、「ある音楽ジャンルが「分かる」とは、一つの文化に参入し、その暗黙のアーカイヴに対する土地勘のようなものを会得することだ。歴史を知り、価値体系とそのメカニズムと含蓄を理解し、語彙を習得すること」。語るべき言葉を持たないと、音楽の楽しみは半減する。同感です。

    「音楽についての本を読むことで、聴く幅が飛躍的に広がる」。ジャズについては、ミュージシャンの伝記や批評、文化論、ディスクガイドなど、それなりの数の本を読んできましたが、それによって自分が音楽を聴くときの軸足が定まったという実感があります。
    でも、私の心に刺さったのは、それに続く次の言葉。「他人が使った語彙は、あくまで自分の言葉を見出すまでの、仮設の足場のようなものだ」。他人の知識や経験が自分のものになるまでの熟成のプロセスを表す表現として、これ以上のものは思いつきません。

  • p.15 モンクス・ポイント 『ソロ・モンク』 『American Piano Classics』
    アフリカン・ピアノ 青森 閉架
    中山 読んでから聴け! ジャズ100名盤 あ

  • ”音楽の聴き方は自由だが、一切から自由に聞くことは不可能だ。ならば自らの聴き方を自覚的になってみてはどうか”。音楽を語る語彙、音楽自体の語法、再生のポータビリティなどの観点から気づかせる。

  • 音楽の聴き方を読んだ。現存する音楽の聴き方を紹介しながら、なぜそうなったのかを歴史を紐解きながら解説し、音楽の聴き方とその向き合い方に迫っていく良本。

    詳細は下記
    https://note.com/t06901ky/n/n2f405373469e

  • 【信州大学附属図書館の所蔵はこちらです】
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA90439005

  • 西洋音楽史をベースとしたクラシック音楽の楽しみ方が主題にはなっていますが、特にクラシック音楽にこだわる必要は無く、芸術全般の楽しみ方を学べる良書。

    西洋音楽史に余り興味が無いのでやや退屈な章もありましたが、特に「はじめに」と「第5章」は秀逸!!素晴らしいコンサートや美術館に行った後(もしくは最高に面白かった本や映画、マンガでも良いと思います)、共通の価値観を持つ友人とそれらについて語り合う時間が最高に楽しい。ただ、その時に「面白かったね」の一言しか語る言葉が無かったらその楽しい時間は一瞬で終わり。でも、「あの部分はこう思ったんだけどあなたはどう思う?」「この部分はちょっと分からなかったんだけどあなたは分かった?」みたいな感じで、少し語る言葉を覚える事でその楽しい時間は無限に広がっていくと思います♪

    僕は、最低でも年1回、海外旅行に行くようにしていますが、予備知識無しで行くよりも、その国の歴史や価値観、ちょっとした挨拶の言葉を軽く覚えてから行った方が断然面白いです。また、野球やラグビー、サッカーなどもそうですが、全くルールを知らないのと、最低限のルールを知っているかどうかでその楽しさは全然違ってくると思います。

    同じように、クラシック音楽についても、音楽のロジックのパターン(音楽のセンテンスがどういう論法でもって互いに関連づけられているのかなど)であったりその曲が生まれた歴史的背景を知る事で、より楽しめるようになるような気がします。また、仮にクラシック音楽には興味が無いという人も、何かしら心に響くものがあるように思います。「クラシック音楽なんて興味無いよ」という人にこそ読んで欲しい良書!!

  • 聞く形、方法、表現する言葉等を解説、音楽への取り組み方を説く。聞くコツは、
    他人の意見を気にしない、世評に注意、自分の癖を知る、理屈抜きの体験、お粗末も重要、有名な音楽家を神格化しに、良い・悪い・中間がある、聞き手上手、名曲の存在、定点観測、固定客の反応、音楽を見る、繰り返し聞く、音楽関連の本を読む、音楽の文法、盛り上がりばかり期待せず、傾聴か聞き流しかの判断・聞き方の選択、
    文脈の点検、背景の文化を知る、ジャンルの区別、場を楽しむ、自分で弾く

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著者プロフィール

おかだ・あけお 1960年京都生まれ。大阪大学大学院博士課程単位取得満期退学、京都大学人文科学研究所教授。『オペラの運命』(中公新書・2001年度サントリー学芸賞受賞)、『ピアニストになりたい!』(春秋社・2008年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)、『クラシック音楽とは何か』(小学館)、『音楽と出会う 21世紀的つきあい方』(世界思想社)、『音楽の聴き方』(中公新書)、『音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日』(第20回小林秀雄賞受賞)、共編著に『文学・芸術は何のためにあるのか?』、訳書に『テオドール・アドルノ『幻想曲風に アドルノ音楽論集』ほか多数。



「2023年 『モーツァルトのオペラ 「愛」の発見』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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