- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121020383
作品紹介・あらすじ
聖武天皇には三人の娘がいた。生涯不婚を定められ、孝謙天皇(重祚して称徳天皇)となって権力を振るった阿倍内親王。光仁天皇の皇后でありながら、夫を呪詛したとして大逆罪に処された井上内親王。恵美押勝の乱に加わった夫を失った後、息子たちの謀反に連坐、流罪とされて没年すら伝わらない不破内親王。凄惨な宮廷闘争の背景にあったのは何か-。皇位継承の安定のために人生を翻弄された三人の皇女の物語。
感想・レビュー・書評
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20180505〜0507 聖武天皇の3人の皇女たちの数奇な運命を中心に,奈良時代の皇統を巡る権力闘争を物語仕立てで描いている。私にしては早く読めた。
従来は「天智天皇系統」から「天武天皇系統」への皇統の争いとみられてきたが、筆者は聖武天皇は、自身の父親たる文武天皇系統の存続を強く望んでいたとする。そのために阿部内親王は女帝となり、不破、井上両内親王は皇統を継ぐ男子を生むことを求められたのだと。なかなか新鮮な主張だな、と思った。個人的には、文武~父親たる草壁の皇子も若くして亡くなっているし、死後も権威付けられたとしても、ほかの皇族や藤原氏をはじめとする諸豪族を納得させることができたのかなあ、と思うが。
プロローグとエピローグにでてきた松虫寺は、私の高校時代の社会の先生が住職なはず。懐かしく思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
聖武天皇の3人の娘、井上・阿倍・不破の3内親王を主人公とする奈良王権史。王統における「天武」系と「天智」系の対立・交替という通説を否定している。道鏡の即位計画を他戸親王即位までの「中継ぎ」目的と、井上廃后事件を井上内親王自身の即位可能性を阻止する目的と推定している点が興味深いが、疑問も残る。
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高校の頃、聖武天皇はちょっと問題のある天皇として教えられた(今となっては偏った思想だと思う)。飢饉など世の中の状況は良くないなか、遷都や大仏建立などを推進したあたり、現実を直視せず神仏頼みだったところがあるのでは。■また、すべての行動理由が皇統継承へのこだわりにあるとなっているが、そこに説得力がない。そういう見方もできるよね、とは思うけど。史実ではあまり注目されない内親王について焦点を当てたのは、当時の天皇家の娘がどういう生涯を過ごすものだったのか全く知らなかったので興味深かった。井上内親王がせつないなぁ。
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面白い。聖武天皇の三人娘の激動の人生。長女は夫を呪詛して大逆罪。次女は道鏡を天皇にしようと暴走し女帝制を終わらせた。三女は息子たちの反乱に加担し流罪。
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聖武帝の三人の皇女にスポットを当てる見方が大変面白かった。
波乱万丈。
しかし、新書という形ではしょうがないのかもしれないが、史料は原文も引いて欲しかった。意訳の思い入れにちょっと…。 -
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2010.02.28 朝日聞で紹介されました。