競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 1761
レビュー : 200
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121020451

作品紹介・あらすじ

日本は資本主義の国のなかで、なぜか例外的に市場競争に対する拒否反応が強い。私たちは市場競争のメリットをはたして十分に理解しているだろうか。また、競争にはどうしても結果がつきまとうが、そもそも私たちはどういう時に公平だと感じるのだろうか。本書は、男女の格差、不況、貧困、高齢化、派遣社員の待遇など、身近な事例から、市場経済の本質の理解を促し、より豊かで公平な社会をつくるためのヒントをさぐる。

感想・レビュー・書評

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  • 日本人がなぜ資本主義なのに市場競争に拒否反応が強いのか。
    たしかに市場経済の授業ってまともに受けたことなかったなあと。
    慣れのない中で「負ける苦痛」もそうですが「勝ち続ける苦痛」も耐え続けるのがしんどいんやろなあと思います。

    本書を読むと「生産性の低い人」は辛いことになるんやろなあと思います。
    例えば残業規制が緩かった時は長時間労働で帳尻合わせてたのが時間内で結果を出さざるを得ないようになると仕事が追いつかなくなるんですよね。
    仕事の持ち帰り規制があって長時間労働規制があって有給取得義務化につながるとますます「生産性」が仕事できる人になれるか否かに直結するようになるんやろなあと思います。
    大竹先生の本もかなり読み進めることができました。

  • (2015.06.24読了)(2013.07.16購入)
    副題「-市場経済の本当のメリット-」
    経済に関するエッセイという感じです。かつて、竹内宏さんや飯田経夫さんの著作を楽しく読ませてもらいました。
    この本は、視点やテーマは面白いのですが、説得性に乏しいという印象でした。

    【目次】
    プロローグ 人生と競争
    Ⅰ 競争嫌いの日本人
      1 市場経済にも国の役割にも期待しない?
      2 勤勉さよりも運やコネ?
      3 男と女、競争好きはどちら?
      4 男の非正規
      5 政策の効果を知る方法
      6 市場経済のメリットは何か?
    Ⅱ 公平だと感じるのはどんな時ですか?
      1 「小さく産んで大きく育てる」は間違い?
      2 脳の仕組みと経済格差
      3 二〇分食べるのを我慢できたらもう一個
      4 夏休みの宿題はもうすませた?
      5 天国や地獄を信じる人が多いほど経済は成長する?
      6 格差を気にする国民と気にしない国民
      7 何をもって「貧困」とするか?
      8 「モノよりお金」が不況の原因
      9 有権者が高齢化すると困ること
    Ⅲ 働きやすさを考える
      1 正社員と非正規社員
      2 増えた祝日の功罪
      3 長時間労働の何が問題か?
      4 最低賃金引き上げは所得格差を縮小するか?
      5 外国人労働者受け入れは日本人労働者の賃金を引き上げるか?
      6 目立つ税金と目立たない税金
    エピローグ 経済学って役に立つの?
    競争とルール あとがきにかえて
    参考文献

    ●たばこ(114頁)
    「たばこを吸う人の多くは、ギャンブルもやるし酒もやる」
    たばこを吸う人は吸わない人よりも不幸であり、その不幸の程度は、年収が約200万円減ったのと同じだという。スモーカーやギャンブラーは、住宅ローン以外の負債を抱えている比率も高いそうだ。
    ●所得・資産格差(127頁)
    小泉首相は「格差が出ることが悪いとは思わない」、「成功者をねたんだり、能力あるものの足を引っ張ったりする風潮を慎まないと社会は発展しない」とも発言している。
    失敗しても再挑戦可能な社会を目指すべきだと訴えている。
    ●所得格差(129頁)
    1990年代の終りから2000年代の初頭にかけては、若年層での所得格差が拡大している。この若年層の格差拡大は、超就職氷河期で急増したフリーターと失業者が原因である。
    所得税の累進度の低下も可処分所得の格差を拡大させ、消費格差を拡大する要因になる。
    ●才能と学歴(133頁)
    アメリカでは「学歴が所得を決定する」と考えている人の割合は77%であるのに対し、日本では43%にすぎない。また、アメリカでは「才能が所得を決定する」と考えている人が60%であるのに対し、日本では29%である。アメリカ人が重要だと考えているのは努力、学歴、才能の順番であるのに対し、日本人は努力、運、学歴の順番である。
    ●不況の原因(147頁)
    需要の減少が不況の原因だと考えるほうが自然である。
    ●経済停滞(176頁)
    90年代の日本の経済停滞の要因は、生産性の上昇率が低下したことに加えて労働時間が短縮されたことであった
    ●長時間労働(179頁)
    長時間労働の規制が必要なのは、他に職場がないために仕方なく低賃金で長時間労働をせざるを得ないという場合、長時間労働の職場であるということを知らずに就職し、転職市場が十分ないために長時間労働をせざるを得ない場合である。
    ●税抜き価格(211頁)
    消費者はたとえ売上税を正しく知っていたとしても、店頭の価格表示でそれが示されていないと、消費行動は店頭価格だけに依存してしまうことを意味している。つまり、売上税が店頭表示されないと、消費者はそれに影響されないで消費量をきめてしまうので、売上税を実質的に負担してしまうことになる。

    ☆関連図書(既読)
    「アダム・スミス」高島善哉著、岩波新書、1968.03.20
    「アダム・スミスの誤算 幻想のグローバル資本主義(上)」佐伯啓思著、PHP新書、1999.06.04
    「ケインズ」伊東光晴著、岩波新書、1962.04.20
    「ケインズ」西部邁著、岩波書店、1983.04.14
    「超訳『資本論』」的場昭弘著、祥伝社新書、2008.05.01
    「超訳『資本論』第2巻」的場昭弘著、祥伝社新書、2009年4月5日
    「超訳『資本論』第3巻」的場昭弘著、祥伝社新書、2009.04.05
    「高校生からわかる「資本論」」池上彰著、ホーム社、2009.06.30
    「マルクス・エンゲルス小伝」大内兵衛著、岩波新書、1964.12.21
    「賃労働と資本」マルクス著・長谷部文雄訳、岩波文庫、1949..
    (2015年8月20日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    日本は資本主義の国のなかで、なぜか例外的に市場競争に対する拒否反応が強い。私たちは市場競争のメリットをはたして十分に理解しているだろうか。また、競争にはどうしても結果がつきまとうが、そもそも私たちはどういう時に公平だと感じるのだろうか。本書は、男女の格差、不況、貧困、高齢化、派遣社員の待遇など、身近な事例から、市場経済の本質の理解を促し、より豊かで公平な社会をつくるためのヒントをさぐる。

  • 市場競争は豊かさを生むが、「競争」であるが故に各人の間に格差を生じさせる。
    また、政府による徴税や公的扶助など、社会的システムにより再配分が行われる。

    このような基本的働きの中、例えば、「公平」に重きを置けば、「競争」自体を制限することにもなりうる。日本人の競争嫌い、グレーなままに安心してしまう文化に問題提起をしている。
    本書では、格差と再配分について、適切なバランスをとるよう議論を深め、社会全体としては豊かさの創出を続けていくことを唱えている。

    このような資本主義のあり様は、至極当たり前のことではあるが、本書では、非正規雇用、長時間労働、夏休みの宿題への取組み方などなど、色々な側面から具体的事例を紹介しながら説明されている。

    事例の紹介は多いものの、それぞれを深く掘り下げるような内容が薄く、もう一つ気持ちが乗っていかない感じであった。
    私としては、「住民が公平感を感じる」=「政府への理解、納得性が向上する」という視点で知識を深めたかったので、少し残念。

  • 理念と現実のズレについてあまり述べてくれなかった印象。

  • 題名でひかれて読んだだけとなった。ありきたりの事の文章で全然響かない。所詮そんなことなのかも。

  • 中央公論新社 新書大賞2011 4位

  • 近著の行動経済学につながっていく。どの章でも具体的なデータを基に様々な知見が得られ、内容が濃い。社会学的ともアプローチが近いので、経済学と社会学の橋渡し的な学びも得られるのでは。

  • 参考文献は非常に多く、時間をかけて研究されたのだろう。データも多く使われ、説得力はある内容。
    だが、思い切った自論を展開するのではなく、今後の改善案的なものは平凡な気がした。
    団塊の世代のボリュームが選挙結果にも影響しているとのことだが、たしかに多数決の論理ではそうだろう。
    日本人には自分のことだけでなく、日本全体の今後のことを考えている人が多いことを願いたい。

  • 競争の大事さわ経済的に語る本
    日本人に競争嫌いが多い理由を説明
    いろんなことに触れてはいるが、なんか散発的な印象を受ける

  • 人間とは合理的な意識を持つことがいかに難しいかがよくわかる本である。
    本書は言う。「日本は市場経済への期待も国の役割への期待も最低というとても変わった国である」。とても驚いた。目から鱗である。
    経済学者は普遍的な定理を主張するのものと思っていたが、本書では国民文化の違いから考察が始まる。なるほどこれが「応用経済学」と言うものか。
    本書を読むと、縦割りの狭い領域を超える知見こそが新たな発見をもたらしてくれることを感じさせてくれる。まさに知性には限界が無いと思えた。

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著者プロフィール

1961年京都府生まれ。1983年京都大学経済学部卒業、1985年大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了、1996年大阪大学博士(経済学)。大阪大学社会経済研究所教授などを経て、大阪大学大学院経済学研究科教授。専攻、行動経済学、労働経済学。著書には、『日本の不平等:格差社会の幻想と未来』(日本経済新聞社、サントリー学芸賞、日経・経済図書文化賞、エコノミスト賞受賞)、『行動経済学の使い方』(岩波書店)、『競争と公平感:市場経済の本当のメリット』『経済学的思考のセンス:お金がない人を助けるには』(以上、中央公論新社)など多数がある。

「2020年 『データで見る行動経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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