- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121020734
感想・レビュー・書評
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<話し言葉は「今、ここ、私」というフレームが共有され
るときに使う言葉である>ということです。
マキアヴェッリの『君主論』のように、長年にわたって残る本を作
ろうと思ったら、読者とフレームを共有するために、テーマにある
種の普遍性を持たせなければならない。
一方で、芥川賞作家の平野啓一郎氏がおっしゃっていたように、最
近はコミュニティの影響で、ますます言葉が少数の限定されたもの
になりつつあるのです。
だから私たちは、意識して書き言葉を学ばなければならない。
そのために役立つのが、本日ご紹介する工藤順一氏の『文章術 読
みこなし、書きこなす』なのです。
著者は、立命館大学を卒業後、学習塾の講師などを経て、97年に
「国語専科教室」を開講。以来、子供たちに正しい読み書きの技術
を教えて続けている人物です。
文章を書くために必要となる事実の整理法や、フレームを共有する
方法、世界をどう捉えるかという問題。
文章を書く際に欠かせない基礎的な力を、練習問題を通じて学習で
きる、まさに文章力アップのためのワークブックです。
伝わる文章を書くために、またそのベースとなる「読む力」「捉え
る力」を養うために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
◆本書で示されている文章作成のための4つのポイント
1.事実にのっとって「書き言葉」で書くこと
2.事実を整理して書くこと
3.その上に自分の意見や発想を加えること
4.最終的に型を意識し、理解されるように書くこと
発話者がどんな状況に置かれているか、そしてどんなことを主張し、
どんな人に伝わってほしいと考えているかで、同じ意味内容でも言
葉の表れ方はかなり異なってきます。逆説的ですが、発話ではなく、
沈黙が最高の主張や雄弁となりうるのはこのことに関係しています
家庭でも社会でも、自分が持っている情報を誰かに伝えるときには、
状況を共有していない第三者に伝わる言葉(=「書き言葉」)で話
さなければ、「何を言っているのかわからない」という状況を引き
起こしがちです
話し言葉は「今、ここ、私」というフレームが共有されるときに使
う言葉である
読み手に実感をもってわかってもらう文章を書くには、五感を通じ
て得られた感覚を言葉にしていくのは欠くことのできないステップ
説明文や論説文では対立部分の読み取りが大切ですが、四コママン
ガ「コボちゃん」の多くは、その対立構造からある種のユーモアが
生じています。それを文章の中にきちんと反映させて書く練習は、
他の文章を読んでいく際にも、そしてトレーニングを離れて実際の
生活の中でもとて役に立つはずです
世界を観察すると実にさまざまの関係性が見えてきます。たとえば、
規則性、相関性、相補性、対称性、対照性、相同性、類似性そして、
矛盾などのルールです。関係性を表す言葉を知ることで、同時に現
実が整理されて見えてくるものです
多くの論文や本のタイトルを見てください。「AとB」というタイ
トルのものがかならずあるはずです。そこにはまぎれもなく比較が
隠れています
わかりやすい文章を書くには、具体的なことを抽象的な言葉でまと
めることができるように、そして抽象的なことは具体例を挙げて説
明できるようにする
抽象的なものを具体例で代表させることがあり、それが「象徴する」こと
「文を書く技術」は、「世界や現実や対象をどう捉える(=読む)」
のかと直結しています
世界を知覚することは、自分自身を同時に知覚することである詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2023.3.29.
人の思考は目に見えない。けれども確かに存在する。感情も目に見えないけれど、確かに存在する。それらを共有するために人は言葉を紡ぐのだけれども、対象が誰か・どういう状況か・目的は何か等、その時々で同じことを伝えようにも伝え方は違ってくる。
人に伝える手段をいかように身に着けるかが主軸にある本。
2023年現在、人に何かを伝える手段として最も使われているのは動画であり写真であるように思う。言葉で説明すると時間がかかることでも、写真を送れば/テレビ電話で話せば、「時短」にもなるし簡単に伝えることができる。手軽に視覚・聴覚で共有することができるようになる一方で、「言葉を紡ぐ」必要性が緩やかに失われているのではないか。
それって実は非常に恐ろしいことな気がする。
文章を書く力は、世界・対象をどう読むかに直結している。読むことは書くこと。読む対象は何も言葉だけではない。目の前の現実だって対象になりうる。
それをどう読んで(思考して)表現するのか。
人は言葉によって自己を形成していると思っているので、言葉を軽視するような風潮にはならないで欲しいなと願う。 -
話し言葉とは違う「書き言葉」をうまく使いこなすため、数々の例題とともに読み手に伝わりやすい文書術を指南する。
筆者は小中学生に作文を教えていたこともあり、分かりやすく解説している場面が多い。しかし時折哲学のような記述が出てきて小難しいところも。
読み手のことを考えて書くことが大切だが、回りくどく全てを説明するわけにはいかない。そこにはある程度「読み手との共通理解」のようなものも必要になってくる。
文書のイロハとして日本で教わる「起承転結」は、英語圏では全く馴染まないらしい。下手すると「学習障害の疑いあり」とまで見られてしまうこともあるとか。ビジネス文書だとまずは結論から持ってくるのが普通だ。そういや英語はまず名詞+動詞から始まる。結論から手早く入っていくのが英語圏の文化のようだ。 -
10.10.3
こんにちは、土井英司です。
昨日、弊社の看板講座『10年愛される「ベストセラー作家」養成コ
ース』の卒業プレゼンテーションがありました。
この講座には、毎回、「話すのは上手だけれど書くことができない」
人が何人かいらっしゃるのですが、そのおかげで話し言葉と書き言
葉の違いは一体何だろうか? と考えるようになりました。
最近は、「話すように書く」ことを推奨する本やセミナーもあり、
ますます話すことと書くことの境界がなくなっているような気もし
ますが、やはりそこには厳然とした違いがあるような気がする。
そう思って本日の一冊を読んだところ、この話すことと書くことの
違いが明確にわかりました。
つまり、<話し言葉は「今、ここ、私」というフレームが共有され
るときに使う言葉である>ということです。
マキアヴェッリの『君主論』のように、長年にわたって残る本を作
ろうと思ったら、読者とフレームを共有するために、テーマにある
種の普遍性を持たせなければならない。
一方で、芥川賞作家の平野啓一郎氏がおっしゃっていたように、最
近はコミュニティの影響で、ますます言葉が少数の限定されたもの
になりつつあるのです。
だから私たちは、意識して書き言葉を学ばなければならない。
そのために役立つのが、本日ご紹介する工藤順一氏の『文章術 読
みこなし、書きこなす』なのです。
著者は、立命館大学を卒業後、学習塾の講師などを経て、97年に
「国語専科教室」を開講。以来、子供たちに正しい読み書きの技術
を教えて続けている人物です。
文章を書くために必要となる事実の整理法や、フレームを共有する
方法、世界をどう捉えるかという問題。
文章を書く際に欠かせない基礎的な力を、練習問題を通じて学習で
きる、まさに文章力アップのためのワークブックです。
伝わる文章を書くために、またそのベースとなる「読む力」「捉え
る力」を養うために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆本書で示されている文章作成のための4つのポイント
1.事実にのっとって「書き言葉」で書くこと
2.事実を整理して書くこと
3.その上に自分の意見や発想を加えること
4.最終的に型を意識し、理解されるように書くこと
発話者がどんな状況に置かれているか、そしてどんなことを主張し、
どんな人に伝わってほしいと考えているかで、同じ意味内容でも言
葉の表れ方はかなり異なってきます。逆説的ですが、発話ではなく、
沈黙が最高の主張や雄弁となりうるのはこのことに関係しています
家庭でも社会でも、自分が持っている情報を誰かに伝えるときには、
状況を共有していない第三者に伝わる言葉(=「書き言葉」)で話
さなければ、「何を言っているのかわからない」という状況を引き
起こしがちです
話し言葉は「今、ここ、私」というフレームが共有されるときに使
う言葉である
読み手に実感をもってわかってもらう文章を書くには、五感を通じ
て得られた感覚を言葉にしていくのは欠くことのできないステップ
説明文や論説文では対立部分の読み取りが大切ですが、四コママン
ガ「コボちゃん」の多くは、その対立構造からある種のユーモアが
生じています。それを文章の中にきちんと反映させて書く練習は、
他の文章を読んでいく際にも、そしてトレーニングを離れて実際の
生活の中でもとて役に立つはずです
世界を観察すると実にさまざまの関係性が見えてきます。たとえば、
規則性、相関性、相補性、対称性、対照性、相同性、類似性そして、
矛盾などのルールです。関係性を表す言葉を知ることで、同時に現
実が整理されて見えてくるものです
多くの論文や本のタイトルを見てください。「AとB」というタイ
トルのものがかならずあるはずです。そこにはまぎれもなく比較が
隠れています
わかりやすい文章を書くには、具体的なことを抽象的な言葉でまと
めることができるように、そして抽象的なことは具体例を挙げて説
明できるようにする
抽象的なものを具体例で代表させることがあり、それが「象徴する」こと
「文を書く技術」は、「世界や現実や対象をどう捉える(=読む)」
のかと直結しています
世界を知覚することは、自分自身を同時に知覚することである -
680円購入2011-06-28
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自分で修練するには適切なフィードバックシステムを持つ必要がある。文章の力を高めるためのフィードバックシステムがAIでできるようになると修練の効率があがる。一方でAIが文章を適切に変換する機能を備えることの方が早く実現するかも。
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長年国語教育と真摯に向き合い続けてきた著者による「文」を「書」く技「術」の理論と実践をまとめた新書。「書く」ということをその原理から見つめ直し、指導に当たっては「話し言葉」と「書き言葉」の理解から始める必要がある。その上で「コボちゃん作文」を提唱し、読むことと書くことの一体化理論、そして書けない事の原因は「世界や現実を読めていないこと」にあるとする。
著者の指摘は鋭く的を射ている。そこから導き出される実践は子ども実態や人間の心理に適っており、私には混迷を極める国語教育の一筋の光に思えてならない。国語専科教室にて縛られず時間をかけて本物の国語力を醸成しようとする著者だが、この理論と実践を何とか学校国語授業に落とし込めないものか。
コボちゃん作文は年齢を問わず作文が苦手な全ての人々に有効であるように思う。著者の本を続けて三冊読んだが、本書が最もコボちゃん作文の方法を具体的に紹介していた。同著者『これで書く力がぐんぐん伸びる!』にはワークとしてのコボちゃん作文が掲載されているらしい。そちらも購入し、その理論を体験して理解していきたい。 -
「“起承転結”で書くやつは学習障害を疑われる」
こんなショッキングなことが書かれていた。
欧米人が日本の伝統的な型である起承転結で書かれた文章を見ると、
「コイツ馬鹿なのか?」
と思うらしい。
文章に限らず、会話においても以前から言われていることだが、
日本人はまわりくどい。
それが“美学”として通じるのは、よっぽどの達人が発した言葉、文章だけだ。
結論を先に言わずに、くどくどと前置きするのは、やはりどう考えても非効率的だし、論理的じゃない。
人に何かを訴える力も弱い。
就職活動では、実に数十社にエントリーシートや、履歴書を提出した。その時には、やはり「結論から書くこと」を心掛けた。
「結論→理由→具体例→結論」
これが、一番効果的に相手に何かを伝える方法だと思う。
「日本人の奥ゆかしさ」を否定するつもりは無い。
寧ろ僕はそんな日本人の控えめなところが好きだ。
しかし、これから社会でビジネスマンとして働くにあたっては、
「文章」や「会話」に意識していかなければならない。
相手の様子を慮る回りくどさは、多忙な相手にとっては、逆に失礼に値するだろう。
ちなみに、
偉そうなことを言っているが、
僕はまだ全然実践できていない。
頑張れ自分。 -
文章を書くということは、読みとること、考えること、そして書くことの3拍子が揃って初めてできるものだ。
当たり前のことなのかもしれないが、そのようなことが効果的にできるようヒントを与えてくれている。
第3者に情報を簡潔に伝え、こちらの意向を共有できるようになるには、この3点を意識し、持続的訓練が必要であろう。 -
話し言葉は「今ここ私」が共有している人同士で使う言葉。
書き言葉は「今ここ私」を「いつ、どこで、誰か」に客観的に表した言葉。
考えるための12項目は以下のとおり。
①別の言葉で表現する
②テーマに関係するいくつかのアイデアの共通項を括弧でくくって分類する。
③様々な考えの共通点と相違点を比べる。
④具体的事例と一般的・抽象的な概念を往復しながら考える。
⑤これまで語られてこなかった新しいストーリーを作る。
⑥題材について、にているものを探して例える。
⑦題材について似ているものを探してみる。
⑧題材に対する自分の感情を確かめる。
⑨何故を問いかける。
⑩「もしも~なら」という言葉を使って様々な状況を仮定する。
⑪題材の逆の立場を想定する。
⑫全体と部分を考える。
人は言葉でしか考えられない。
物事を比較し、何か同じで何が違うのか比較せよ。
整理し分類せよ。
具体化し、また、抽象化せよ。その中から共通点を見つけよ。
マインドマップのようにれんそうした言葉を書いていく。そうすると思わぬ関連が見えてくる。
何故?と思うことが大切。
一段落に一つのことを書く。
主張・意見-理由-具体データ等の三角ロジックで論証文を書け。
受動型でなく発信型の教育が必要だ。
文を読むだけではなく、世界そのものを読む必要がある。