- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121020857
作品紹介・あらすじ
天才という呼称すら陳腐なものとする人物が歴史上には存在する。十九世紀、十代にして数学の歴史を書き替えたガロアは、まぎれもなくその一人だ。享年二十。現代数学への道を切り拓く新たな構想を抱えたまま、決闘による謎の死で生涯を閉じる。不滅の業績、過激な政治活動、不遇への焦りと苛立ち、実らなかった恋-革命後の騒乱続くパリを駆け抜けた、年若き数学者が見ていた世界とは。幻の著作の序文を全文掲載。
感想・レビュー・書評
-
過不足ない記述に大満足。ガロアの人物と当時のフランスの社会状況の抑制のきいた描写。数学者が書いたものとしての面目躍如たるガロアの数学的な卓越性の解説。夢中で読み切った。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高校生のとき、深夜のNHK教育で某品格の先生が数学者列伝を放送していた。その放送で初めてガロアという、絵に描いたような天才とその人生に魅了された。(数学も好きになった)
その放送はたった30分程度だったので、今回きちんとガロアの生きた時代、提出された論文や当時の数学者の関係などを知りたくて本書を手に取った。天才ゆえの孤独と孤高、(父譲りの)純粋さと不幸な運命、そして過激な政治活動への歩み、ガロアの生涯を手軽ではあるがしっかり追うことができた。
次は重い腰を上げて「ガロア理論」の本を読もうと思う。 -
世に天才と言われた人は多いが、ガロアは真の天才だった。なにしろ、20歳で後の数学に大きな影響を与える「群論」を打ち立てたのだから。しかも、その理論が記されたのは遺書の手紙で、その後ガロアは決闘で死んでしまった。その短くもドラマチックな生涯をコンパクトにまとめた本である。数学者が書いているのでガロアの数学の解説もあるのだが、そこはさっぱり分からなかった。しかし、時代背景と数々の不運と彼自身の性格から、吸い寄せられるように死へと向かっていった人生には哀れを覚える。
-
ガロア群で有名なガロアの生涯をたどった物語。若くて決闘に倒れた悲劇の天才数学者である。ガロアの理論は同時代人にはなかなか理解されなかったが、現代数学を築くもとになった概念を二十歳の若さで作り出して、すい星のように消えたのだ。数式はほとんど出てこないので、安心して読むことができます。
-
こういう本を読みたかったのだ。いろんな本で断片的に読んでいたガロアの生涯、人柄、業績の価値について、初めてちゃんと知ることができた。時代背景や関わった人たちのことも詳しい。それにしても、決闘なんかせず普通に生きていたら…と今さらながら思わずにいられない。
-
198円購入2018-07-05
-
ガロアの群論と、ドラクロアの「民衆を導く自由の女神」と、ユーゴーの「レ・ミゼラブル」。これらがすべてフランス 7月革命の時代に関わっていることが興味深い。
-
ガロア。壮絶な人生。憧れない。
-
アパレルの倉庫に勤めていた頃、繁忙期になると当然のように
残業だった。商品の出荷に追われてヘロヘロになって集計表
を書き込む夜8時過ぎ。8+8の暗算が出来なかった。
隣で出荷指示書を整理している相棒に「ねぇ、8+8っていくつ?」
と聞いて呆れられたっけ。
現在は派遣先で電話オペレーターをしている。就業時間、1日の
受電件数の合計を出す。やべぇ、二ケタの足し算が暗算で出来
ない。電卓があってよかったよ。
ことほどさように数字が苦手である。中学・高校時代はなんで
この世に数学なんてものがあるのか恨んだものだ。
以前ポアンカレ予想を解き明かしたロシア人数学者の話を
読んだ。数式はチンプンカンプン。でも、数学者という人々の
評伝には興味を持った。
そこで本書である。ガロア理論は聴いたことがあるだけ。その
理論を展開した19世紀の天才数学者の評伝である。
もう生まれた時代が悪かったとしか言えない。19世紀のフランス。
王党派と共和派が鎬を削る時代に生まれたガロアの人生には、
政治の影が色濃くつきまとう。
彼に理解を示す教師に出会え、せっかくその才能を開花させた
のに数学よりも政治運動にのめり込んでしまうのだものな。
時代がもう少し安定していたのならば、ガロアは20歳で世を
去ることもなかったのかもしれないし、その後も数学の世界
で研究を続けられたのかもしれない。
数学がお手上げでも興味深く読めたのは、著者のガロアへ
対する愛情の深さが感じられたからか。