気候変動とエネルギー問題 - CO2温暖化論争を超えて (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021205

作品紹介・あらすじ

地球温暖化の議論をリードしてきたIPCCがスキャンダルに揺れている。温暖化を印象付けるためのデータ操作や、不都合な報告の黙殺など、あるまじき行為が明るみに出た。本書では、気候変動の真因を最新の知見から解説、さらに化石燃料を温存する上で必要な、バイオマス、核融合など代替エネルギー技術の最前線を紹介する。震災復興が急がれる今、莫大な国費を根拠薄弱なCO2削減策のために浪費することは許されない。

感想・レビュー・書評

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  • 2009年、ICPPによる気候変動の資料ねつ造事件、いわゆるクライメートゲート事件から、世界的に「地球温暖化脅威論」への懐疑の眼が広がり始めたのだが、日本のメディアではなぜかほとんどこの事実を取り上げない。そのため、世論としては未だにCO2削減という言葉が呪文のように残っている。
    それでも民主党政権のこの体たらくと京都議定書を批准できないことが確実な昨今、「チームマイナス6%」という合い言葉はいつのまにかフェードアウトしているが。。。
    ともあれ、先の東日本大震災で福島原発の事故があってから、この温暖化問題は、エネルギー問題へとすりかわった感がある。

    自分は環境至上主義に全面賛同するつもりはないのだが、本書はメディアに踊らされずに、地球が、そして日本が直面している現実を考えるには十分な良書であると思う。

    少なくとも自分は、世界情勢の駆け引き・政策といった物差しで環境問題すらも扱われてしまうことに、非常に恐ろしさを感じる。

    ポスト京都議定書などという滑稽な取り組みを進める前に、もう一度その辺を「ちゃんと」考えてほしいものだ。

  • 理系的部分はむずかしくて歯が立たなかったけど、二酸化炭素主因論は、見事に論破されている。

  • 力作。
    2011年7月発行の本ですので「今さら」なのですが、恥ずかしながらこの本に書かれていることをきちんと認識していませんでした。
    もしもまだ
    ・地球は温暖化している
    ・その理由は主にCO2の排出増加による温室効果だ
    という認識をお持ちの方がいらしたら、必読です。
    「京都議定書」を批准しないアメリカはけしからん、という辺りで私の認識は止まってしまっていました。10年、少なく言っても5年は世界の認識の趨勢から取り残されていたようです、私。(恥)

  • 人為的起源による二酸化炭素は地球温暖化には寄与していない。
    地球温暖化の原因は、我々の産業活動による二酸化炭素排出量の増加によるものであるという言説を当たり前のものにしていたため、頭を殴られたような衝撃を受けた。
    確かに、二酸化炭素による温室効果は存在するものの、地球システムによる氷期間氷期の繰り返しのメカニズムに比べたら微々たるものであるとのこと。
    現に、人為的起源による大気中の二酸化炭素濃度は増加傾向にあるものの、2000年代以降温度上昇は横ばい、あるいは寒冷化へと向かいつつある。
    IPCC報告書は気候変動、地球温暖化におけるバイブルのようなものと考えていたが、クライメートゲート事件により権威の失墜が著しいと聞いて落胆もした。
    人為的起源による二酸化炭素濃度の変動よりも、天の川銀河系内における太陽系の占める位置に起因する宇宙線量の変化が気候変動をもたらすという言説のダイナミックさ、明快さには目から鱗が落ちる思いだった。
    勿論、並行して地球温暖化の是非を学ぶ必要はあるが、気候変動を学ぼうとするものにとって必読の一冊であるように思う。

  • 誰もが賛同しそうな「地球温暖化防止」キャンペーン。実は、不適切なデータ処理に基づくものだという。

  • 気候変動学のこれからのバイブルとなるであろう一冊。同テーマを扱った広瀬氏の「二酸化炭素温暖仮説の崩壊」に比べて、水蒸気の温暖化への寄与率についてあまり深く立ち入ってないように感じたが、化石燃料に代わる新エネルギーとして慣性核融合のいまを原理まで分かりやすく書かれている。もちろん、エネルギー効率を最大化するコジェネから気候変動の本質まで正確な情報をもとに分かりやすく伝えてくれている。

  •  2009年11月、イギリスのイーストアングリア大学気候研究所がハッキングされ、13年にわたる交信記録とデータが流失した。この結果、二酸化炭素(CO2)による地球温暖化の危機を訴えて世界を動かしてきたIPCCの報告書が、多分に捏造されたものであったことが知られることとなった。
     この事件を序章に置く本書の主旨は明快で、地球温暖化とCO2の増加に因果関係はないということだ。ではなぜ、地球は温暖化傾向が続き、世界規模での気候異変が起こるのか。この問いに応えるため、著者は気候変動の歴史や要因、これまでの科学的な研究方法までを多数のデータを用いて説明するのだが、これが抜群に面白い。
     先の問いへの著者の答えは、「地球は宇宙につながっている」から。地球温暖化を考える上で、当たり前だが新しい視点を提示しており、その姿勢は後半のエネルギー問題へも引き継がれていく。

  • 原発は省CO2、温暖化対策だ、という話をよく目にした。震災後もしばらくはそういう言説が目立っていたけど、いつの間にかコストの話に入れ替わって、そして政治の取引材料の一つとして収斂している。
    科学と政治の関係は、この本が糾弾するクライメート事件の渦中の一人、ブラッドレー(謀議の中心ではないようだ)の「地球温暖化バッシング: 懐疑論を焚きつける正体」は、そういう点で面白いが、やはりCO2だけを悪者にしてよいのかという疑問は残る。論争を超えて、とはいうけれど、やはり表と裏のような本である。
    ともあれ、最後に著者は、温暖化対策費をすべて災害復興に向けよ、と訴える。僕もそう思う。

  • いわゆる懐疑派の主張ですが、なかなかに説得力がありました。論争に関してはどうとも言えませんが、エネルギー問題についてなど勉強になりました。

  • IPCCのスキャンダルを平易に紹介し、盲目的な温暖化問題を疑問を呈する。気候変動の「科学的根拠がある」要因の一例として、宇宙線が与える気候変動への影響を解説している。(原子未満サイズの宇宙線が、分子以上のサイズの雲に関係するのは不思議な気がしたが、つまりは地球の大気圏全体が巨大な霧箱と思えば納得もいく)
    ただし、この宇宙線の話が本書の真意ではない。公正で客観的な姿勢を欠いて、CO2のみを悪者に導いた科学界への警鐘として受け取るべきだ。ただ、CO2が悪者扱いされるに至った経緯を見るに、単に科学者のモラル・ハザードと言い切るのもちょっと厳しく、そこには政治力学や経済原理が絡まった現実を認めざるを得ない ---- だからこそ科学の姿勢が重要になるのだが。。。そうした俗世構図の延長に、CO2問題とエネルギー問題(要は原発)のもたれあいがある。化石燃料vs核燃料という二元論的な視点を避けるべく、現在のエネルギー源と将来のエネルギー源候補についての前広な解説にも多くの紙面を割いている(ただし解説すべき事項が多すぎるので、それぞれ記述はちょっと物足りない感あり)。
    某大国が京都議定書にサインしない「客観的な」理由のひとつがわかったのは、本書の大きな収穫だった。

    かつて、太陽が地球を回っていた頃、科学の対立項は宗教だった。21世紀の科学の前には、政治や経済という壁が立ちはだかっている。数百年経て、科学と宗教は共存と棲み分けができるようになった。次の世紀には政治経済と科学が共存共栄が可能になって欲しい。そう思った一冊。

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