河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流 (中公新書)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021274

作品紹介・あらすじ

十二世紀末、源頼朝は初の本格的武士政権である鎌倉幕府を樹立する。彼を出した河内源氏の名は武士の本流として後世まで崇敬を集めるが、祖・頼信から頼朝に至る一族の歴史は、京の政変、辺境の叛乱、兄弟間の嫡流争いなどで浮沈を繰り返す苛酷なものだった。頼義、義家、義親、為義、義朝と代を重ねた源氏嫡流は、いかにして栄光を手にし、あるいは敗れて雌伏の時を過ごしたのか。七代二百年の、彼らの実像に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 【『鎌倉殿の13人』スタート】「13人」を詳しく知るための3冊の本 | P+D MAGAZINE(2022/01/24)
    https://pdmagazine.jp/people/kamakura-dono/

    【書店バックヤードから】鎌倉殿、平家物語で注目の「鎌倉」を読む - 産経ニュース(2022/4/3)
    https://www.sankei.com/article/20220403-RCPY7L6C4RPSZK2GAECXYBEERY/

    河内源氏|新書|中央公論新社
    https://www.chuko.co.jp/shinsho/2011/09/102127.html


    三谷幸喜ファンなのに、大河が苦手なので「新選組!」も「真田丸」も凄く気にはなったのですが見ていない。
    今回は頼朝に興味がないので「鎌倉殿の13人」は勿論見ません。でも源氏には興味深い人が多いから、この本は読みます、、、

  • 現在の大河ドラマも同時代を背景としており、なんとなく読んでみた。
    ドラマ同様、登場人物が複雑で取っつきにくいのだが、読み進めるうちに徐々になれてきて、面白くなってきた。
    歴史書だけを参照しては浮かびあがってこない人物の生きざまが描かれているところに、引き込まれていくのではなかろうか。
    武家も貴族の一派であるという理解だけで、清和源氏、桓武平氏の意味するところや、豊臣秀吉が将軍ではなく関白に就いた経緯が推量でき、歴史への興味も湧いてきた。
    読み終わった後、不人気といわれる大河ドラマが面白くなったことも付け加えておきたい。

  • 河内源氏の祖頼信から、鎌倉幕府を開く頼朝の父である義朝までの河内源氏に関する通史。従来の研究では、平氏政権を打倒した源頼朝と東国武士との結びつきから遡行して源頼義・源義家との東国武士の絆が強調する「武家棟梁論」が支持されてきたが、その「武家棟梁論」に対する批判について多く書かれている。

    「武家棟梁論」とは、広汎な東国武士を組織した河内源氏の武将は、多くの地方武士を組織する武家棟梁となり、その発展によって鎌倉幕府が樹立されるストーリーだが、前九年合戦では東国武士の参戦はわずかに過ぎず、安倍氏に惨敗する程度の武力しかなかったこと、出羽からの清原武則の支援でようやく勝利できたことなど、東国武士の組織化で勝利など行われていないようだ。筆者によると、武家棟梁論の最大の根拠は、『陸奥話記』と『吾妻鏡』であるが、『陸奥話記』は文学的修辞が多く、単純に事実とはみなしがたい。また、『吾妻鏡』が頼義をことさら取り上げるのは、平直方の子孫北条時政の女婿として鎌倉幕府を開いた頼朝と平直方の女婿の頼義の共通性を強調する作為がある。つまり、単に『吾妻鏡』によって、頼朝と東国武士の結びつきが過去に遡行されて、頼義と東国武士との結びつきが捏造されているに過ぎないとしている。

    また、後三年合戦において、源義家に恩賞がなかったのは、義家の強大化を恐れた貴族の抑圧があったという説があるが、これを停戦命令無視の私戦であるので、当たり前のことであるとバッサリ。また、後三年合戦は清原氏一族の内紛であり、統率した武力の多くは清原氏一門に過ぎず、多数の東国武士の参戦を規定するのは困難であるとしている。

    他にも為義と摂関家の関係、藤原信頼と主従関係を結んでいたゆえに、平治の乱で信頼と「心中」せざるを得なかった義朝などが書かれていて面白かった。

  • 坂東という田舎に、源氏の貴種が来ただけで
    ははーっと従うイメージで、ふわっとしてた
    実際は、何代もの開発領主が領地でモメなが
    ら中央の政局に振り回された結果、以仁王の
    令旨の出た時点で、蜂起せざるを得ない武士
    団がそこかしこに生まれていた(´・ω・`)

  • 骨肉の争いをしながら、繁栄と没落を繰り返した河内源氏について描かれている。
    頼朝助命の理由など色々なところで今まで自分が知っていたこととは違う解釈も多く面白かった。

  • 河内源氏の歴史を頼朝の挙兵まで概観する一冊。院や摂関家との歴代の関わりなど、平安後期における武士の在り方などが窺い知れて興味深かった。保元の乱や平治の乱の理解を深めるにも丁度良い内容でした。

  • 源平の戦い以前の源氏のことを知りたかったので購入。平安後期からの源氏の事情がかなりよくわかってためになった。何箇所か他者の言説を必要以上に貶める記述があったのはちょっと気になった。

  • 歴史の教科書では源氏は東国、平氏は西国と教わるが、それはある意味、東鑑史観の賜物であり、筆者は頼朝に至る源氏の一族を「河内源氏」と呼んでその常識を覆していく。
    10世紀以降、地方で私田が開墾され、開発領主または荘園管理人という立場の在地武力が形成されると、地方と中央の権門貴族を繋ぐ軍事貴族というモデルが立ち現れる。彼らは京の近郊に拠点を構え、平時においてはその武力を持って権門貴族に近侍し、地方の反乱など有事には鎮圧に赴き、地方にも勢力を張った。

  • 「武家の棟梁の条件」(野口実著)と大分被る内容だが、本書は、義家、義朝ら源氏本流とされる人々の人物評伝の趣き。天皇家、摂関家、源氏内、東国武士ら相互の縁戚、闘争、主従関係等も踏まえた叙述は魅力的。時代相は平将門の乱から頼朝挙兵あたりまで。本書の特徴として、前九年の役の前座、つまり源氏の東国扶植の画期となった平忠常の乱が詳しい点。かかる絶大なる長所がある一方、短所は彼方此方。①他説批判の品のなさ(22、88、184頁)、②引用が的確かどうか判別不可、特に、他説の掲載文献とその該当頁の不開示は不味い。
    ③為義による義朝廃嫡に関する矛盾と根拠不明な箇所(殊に138頁の1段落と3段落)、義朝が東国武士団の調停役であったとみる割には、その前提となる権威、院の近臣となる前には、摂関家との関係が切断されていたとする点に違和感がある点等々。特に②。武士団をやくざと見る見解への批判につき、多分比喩的叙述だったに過ぎない他説と、自力救済と武力保持を武士団の特徴とする著者の説とで、内容に大した違いはない。著者は比喩的表現を感情的に忌避しているに過ぎない。

    また「天皇制を諸悪の根源という結論」ありきの見解への批判は、引用対象が不明瞭、かつ著者自身が、他説の引用に際して「らしい」という伝聞表現を用いるなど、ここまで強く批判を展開できる他説か、との疑念を生ぜしめている。つまり、他説の要約の不味さへの疑念を生む叙述なのだ。実際、引用元の明示自体、大した分量でもない以上、かかる批判的叙述を用いるなら猶更、他説の明示的な引用の必要を感じる。その他の詳細な関係性の叙述が台無し。2011年刊行。著者は京都大学大学院人間・環境学研究科教授。

  • 新書文庫

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著者プロフィール

1954年、兵庫県に生まれる。1978年、京都大学文学部史学科国史学専攻卒業。1983年、京都大学大学院文学研究科博士課程指導認定退学。現在、京都大学名誉教授、京都大学博士 ※2022年1月現在
【主要編著書】『平清盛と後白河院』(角川書店、2012年)。『治承・寿永の内乱と平氏』(吉川弘文館、2013年)。『源頼義』(吉川弘文館、2017年)。『源頼朝』(中央公論新社、2019年)

「2022年 『平氏政権と源平争乱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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