レーガン - いかにして「アメリカの偶像」となったか (中公新書 2140)
- 中央公論新社 (2011年11月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121021403
作品紹介・あらすじ
「最も偉大なアメリカ人」に選ばれるほど、人々から敬愛されるレーガン。だが、家族の絆を説いた彼は「離婚歴を持つ唯一の大統領」であり、「保守派の希望の星」ながらソ連との和解、冷戦の終焉に貢献した。アナウンサー・俳優として、大統領として、二〇世紀アメリカの大衆文化と政治をともに体現したレーガンに潜む矛盾は、現代のアメリカが抱える矛盾でもある。その複雑な生涯を描き出す、本邦初の本格評伝。
感想・レビュー・書評
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中公新書傑作の一つ
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中曽根康弘が死去した日に『レーガン』を読み終わるというのもいろいろ考えさせられる。
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レーガン大統領の伝記、今まで無かったのが不思議だよ。とはいえ逆に亡くなってから執筆されているので、レーガン退場後のレーガンの影響まで体系的にシルされている。ニクソン辞任後、オバマ当選までレーガンの時代か。なるほど納得
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レーガンの80年代を中核にfrom toを以て現在への影響までも記した良著
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FBノートにあとで。
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生誕百周年の昨年出た評伝。中公新書は良質の評伝が多く,どれも読みごたえがあって外れが少ないが,本書も良かった。アメリカ大衆文化の変遷を体現した偉大な大統領。
戦後のアメリカ大統領で人々の記憶にもっとも残るのが,ケネディとレーガン。二人ともアイルランド系だけど,対照的。レーガンの父は6歳で孤児となり、レーガン自身もゼロからの出発を余儀なくされる。一方,6歳年下のケネディは裕福な家庭に生まれ(父ジョセフは駐英大使),レーガンより20年も前に若き大統領となり,40年以上前に死ぬ。
ケネディは暗殺されたが,レーガンは銃撃を受けながらも生き延びる。撃たれて死ななかった大統領はレーガンだけ。しかも70歳という高齢なのに順調に回復。元映画俳優の彼は,大統領職でも映画のように人々を魅了した。
レーガンが社会に出たのはラジオのアナウンスの仕事から。話術を遺憾なく発揮して映画俳優に,そして戦後はテレビにも出演,その経験をカリフォルニア州知事,そして大統領として活かした。ハリウッドでは組合活動に取り組むも反共主義で,政治では「小さな政府」を目指す経済保守の立場を貫いた。
彼が大統領のときに冷戦が終結,結果的には幸いだったけど,レーガンは現実と空想を混同する傾向があったらしく,読んでてなんだか危なっかしかった。自分の推測・希望を裏打ちする情報を重視する楽天家で,そういう方向への記憶の改変も目立っていたようだ。
また信仰心も篤く,「ハルマゲドンが近づいている(核戦争の危機が迫っている)」と日記につけたり,チェルノブイリが「ニガヨモギ」を意味すると聞いて「この惨劇は二千年前に聖書に予言されていた」と言って側近を驚愕させたという。占星術好きのナンシー夫人の影響もいろいろ受けてるし…。