植物はすごい - 生き残りをかけたしくみと工夫 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 781
感想 : 87
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021748

作品紹介・あらすじ

身近な植物にも不思議がいっぱい。アジサイやキョウチクトウ、アサガオなど毒をもつ意外な植物たち、長い年月をかけて巨木を枯らすシメコロシノキ、かさぶたをつくって身を守るバナナ、根も葉もないネナシカズラなど、植物のもつさまざまなパワーを紹介。動物たちには真似できない植物のすごさを、「渋みと辛みでからだを守る」「食べられる植物も毒をもつ」「なぜ、花々は美しく装うのか」などのテーマで、やさしく解説。

感想・レビュー・書評

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  • 植物たちは、根から吸った水と空気中の二酸化炭素を材料にして、太陽の光を利用して、葉っぱでデンプンをつくる
    学校で習ったし、もう当たり前の常識的なことになっているが、実際「どんなに費用が掛かってもいいから、水と二酸化炭素を原料に、太陽の光を使ってデンプンを作ってください」と依頼して引き受けられる人はいない
    何気なく当たり前に感じていたがやはり植物はすごいことを静かにしている!

    そもそも何も食べなくて生きていることがすごい!
    「だって自分たちで作れるんですもの!」
    ⁉︎⁉︎⁉︎
    し、失礼しました!
    そう、先に書いた通り、植物たちは自分たちで、光合成によりデンプンやブドウ糖を作りだし、これらをエネルギー源としている
    さらに言うとタンパク質となるアミノ酸までも作り出している
    アミノ酸に特に必要なのは窒素なのだが、植物たちはこれを土から根を通して養分として取り込んでいる
    そして植物たちのさらなる尊敬に値するすごいところはすべての動物の食糧を賄っているところだ
    「ええ?でも肉食獣とかは肉しか食べないでしょ?」
    まぁそうなんだけど、実際ライオンたちの餌となるのは草食動物
    つまり植物を食べている肉を食べているのだから、全ての動物は植物たちを食べて生きていることになる
    「そんなの植物がかわいそう 理不尽だ!」
    まぁそうなんだけど、そこはうまくできている
    植物たちにも動物が必要なため、少しくらいなら食べられてもいいと思っている
    「うん でもちょっとだけよ…」
    花粉やタネとして運んでもらったり、動物の糞により遠くへ運んでもらったり…と動き回ることのできない植物にとって、動物の存在は必要である
    そうそして、少しくらいなら食べられても良いというものの、もちろん「だからぁ…ぜんぶはダ〜メ!」ということで、その被害が深刻にならないよう身体をつくり上げる高い能力をもっているのだ
    そう、それらの摩訶不思議ですごい能力がたくさん紹介されている
    トゲ、渋み、辛み、ネバネバ、匂い、毒…
    など防衛方法はいろいろある

    また本書で驚いたテーマは下記の2つだ

    お日様が好きだと思っていた植物にとっても紫外線は有害てあるということだ
    しかも、人類より先にご存知であった
    「今頃紫外線紫外線て大騒ぎして…ちょっと前まで日光浴を楽しんでたくせにね」
    そう自分世代が子供の頃は、子供が日焼け止めクリームなんて塗らなかった!
    親切な植物なら「この人たちわかってないわ…大丈夫かしら」心配してくれていたかもしれない
    植物たちのからだにはビタミンCやビタミンEを多く含み、抗酸化物質を作り出している
    さらに言うとアントシアニンとカロテンの二代色素も作り出せる
    美容に敏感な女性ならわかるだろう
    例えばアントシアニンはハイビスカス、バラ、アサガオ、ツツジなどの赤い花や青い花に含まれる
    そう花びらが美しく色づいているのは昆虫に蜜を吸って受粉してもらうだけではなく、紫外線による有害な活性酸素を除去するためでもあるのだ
    またカロテンにおいて、野菜がわかりやすいだろう
    太陽をガッツリ浴びた野菜は色が濃い
    トマトやナスなどがわかりやすい
    「もっと有り難くいただいてよね 天然のサプリなんだから」
    仰るとおりです…

    もう1つのテーマは寒さをしのぐ方法だ
    例えば常緑樹は冬でも葉が落ちない
    低温の寒い中でも緑色のまま、何事もないようにしている
    なぜ凍らないか
    それは冬の寒さに耐える準備をきちんとしている
    冬に向かって葉の中に凍らないための物質を増やすのだ
    それは糖分である
    砂糖の濃度が濃いほど、真水に比べて凍りにくいのは想像できる
    まさにその原理だ
    「だからって葉っぱ食べたって甘くないわよ 毒もあるからやめた方がいいわ」
    はい
    「でもね、あなたたち野菜でわかるでしょ」
    あ!
    なるほど
    冬の寒さを越えた野菜たちは甘い
    雪下にんじんとか美味しい

    凄いなぁ
    植物は私たちより自然の摂理を理解している
    話せない、動けない分知恵もある
    「黙っているからってなにも知らないと思ってるの?うぬぼれないで」
    すみません
    植物は私たちのことが嫌いだろうなぁ
    「これほど恩恵を与えているのに、まぁいつもとは言わないけど、恩を仇で返してくるんですもの」
    すみません
    これからはもっと仲良く共存できるように、知識を増やしていきます!

  • 20180317
    農学博士の田中修さんの著作。
    植物のすごさというテーマで、独自に進化したすごい仕組みを紹介する。
    子孫を残し続けるという目的のもと、進化して手に入れた植物たちの手段はすごい。1つはタネを作る仕組み。成熟するまでは渋みや毒を出したり、殻にこもっているが、タネができた時点で昆虫や鳥獣にビークルとなってもらう魅力を発揮する。共生進化の1つであり、それぞれの植物に特徴があり面白い。また2つ目に、タネを作ることが無くなった新種で人間と共生しているフルーツは、接木や自生という特徴を持っている。
    やはり、自分の遺伝子を受け継ぐような行動を植物たちも行なっている点は非常に面白く、自然の不思議さを感じる。


    自然淘汰の仕組みの元、植物たちの遺伝子がどう適当進化していくのか気になる。
    未だに科学的再現ができない光合成の凄さ。
    クロロフィル

    太陽(紫外線)への対抗策
    →アントシアニンとカロテン

    酸素への抗酸化作用
    →ビタミンBとビタミンE

  • 植物の生態について、生きていくこと(遺伝子を残すこと)に対する仕組みの凄さについて書かれています。何気に見かける(よく聞く)、あの植物にこんな凄さがあったんだと面白く読ませていただきました。
    植物は食べなくても、太陽と水があれば生きていけます。そこが動物と違うところなのですが、それでも地上には動物がいて、それと関わることなしというわけにはいきません。食べられることを通じて、お互いに利用しあって生態系が回っているのだなと、その仕組みを楽しく学ぶことができました。

  • 光合成。トゲや毒による保身の術。少々食べられても平気。
    種は自力で飛ばすか、動物を利用するかして、勢力拡大。
    紫外線をものともしない抗酸化力。殺菌力。樹木は超長生き。
    などなど、人間にはできないワザの数々。
    太古の昔に海から上陸を果たして以降、植物たちは黙々と努力を重ね、
    それらの能力を身につけてきた。・・というくだりで、胸があつくなりました。
    ドリトル先生物語に描かれた、意思をもって月世界の一員たる月の植物の姿は
    絵空事でなく、ごく身近にあったのです。
    一読して以来、食卓での合掌の意識が深まりました。

  • 最高に楽しかった。植物はすごい!まさにそんな感じだった。著者の田中修さんが書かれる文章も読みやすく、面白い。同著者の本を他にも読んでみたい。

  • 生物分野では、やはり動物や昆虫や爬虫類なんかが人気で、植物はちょっと地味というかあんまり面白くないんじゃないかと思っていた。科学博物館に行っても植物系の展示は人気がないし。
    でもそれは間違いだった。植物は面白い。我々動物とは生きる基本戦略が全く違う。そこがすごい。発想が斬新。
    畏れ入りました。
    田中先生の語り口は柔らかくやさしい。こういう本は一般人向けだからあまり難しくならないよう気を配って書いたのだとは思うが、ところどころいい加減なところは気になった。が、植物そのものの本質的なすごさは充分伝わった。中学生くらいでも読める平易な文章も良かった。
    『昆虫はすごい』より面白かった。

  • 食べられないために、病気にならないために、強すぎる太陽から実を守るために、次の世代へ命をつなぐために、からだの仕組みを作り、栄養素を作りだす植物たち。それを食べて生きる私たちは感謝を忘れてはいけません。
    動かずもの言わずしたたかに生きる植物たちへの筆者のやさしいまなざしが感じられる文章もいいです。
    とても面白く読みました。

  • なぜ辛いのか。なぜ硬いのか。植物にまつわる形態や特徴のほとんどは生き残るために進化した結果である。身近な植物のギモンにも思わなかったようなことが生物学的に説明されていて、理系心がくすぐられる。専門用語が多いので、体系的な理解は難しかったが、子どもが図鑑を眺めるくらいの軽い好奇心で手に取るとちょうど良い。

  • 「すごい」力を知るとともに、何気なくみていた道端の植物に対する目の向け方が変わる。
    「もし植物たちが、逃げ回ることができ、動物に食べられることを完全に拒否できるとしたら・・・」
    動かなくてもこんなにすごい力をもつのだから、動けて意思まであったら地球最強の生物になりえるかも・・・。

  • 本当にすごい。いつも生徒たちには「植物が光合成をしてくれているおかげで我々は生きていけるのだ、植物に感謝、感謝。そして、その光合成をするには日光が必要、太陽さまさま」と言っているのですが、その太陽光のなかの紫外線が強すぎると、植物はいたんでしまう。だからポリフェノールを作る。それで果実の色も濃くなるし、花も色づく。なるほど、日に当たって色付いておいしそうに見えるのは、実は自分の身を守るためだったのだ。そして、また我々も、そのポリフェノールをいただくことで、紫外線などから身を守っている。やっぱり、植物さまさまなのだ。雑草なんて言ってむやみに抜かないでください。しかし、抜いても抜いても生えてくる。植物は本当にたくましい。食べられる野草があるということを何かで読んで、以前はよく生徒を連れて春を探しに出歩いて、ノビルを見つけると抜いてはその球根を食べていました。けれど、それに似たスイセンの球根には毒があるというのを読んで冷や汗ものでした。アジサイも危険なのだそうで気を付けよう。マンゴーはかぶりつかないように。ウルシのなかまで、ウルシオールに似たマンゴールという成分で、口の周りがひどくただれるのだそうです。ヒガンバナがあちこちで咲き乱れるこのごろ。一度球根を味わってみたいものですが、どこまで毒抜きをすればいいのやら。植物とは上手に付き合っていきたいものです。

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著者プロフィール

1947年京都生まれ。京都大学農学部卒業、同大学大学院博士課程修了。スミソニアン研究所(アメリカ)博士研究員などを経て、現在は甲南大学特別客員教授・名誉教授。著者に『ふしぎの植物学―身近な緑の知恵と仕事』『植物はすごい - 生き残りをかけたしくみと工夫 』(中央公論新社)、『植物のあっぱれな生き方 生を全うする驚異のしくみ』(幻冬舎)、『植物学「超」入門 キーワードから学ぶ不思議なパワーと魅力』(SBクリエイティブ)など多数。

「2021年 『角川の集める図鑑GET! 危険生物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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