コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書 2184)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 116
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021847

作品紹介・あらすじ

孤立死や無縁社会という言葉が毎日口にされる現在の日本。今こそ人とのつながりを自らの手で築く必要が痛感されている。この時代の声に応え、全国で常時50以上のコミュニティづくりに携わる著者が初めて明かす、住民参加・思考型の手法と実際。「デザインしないデザイン」によって全員に参加してもらい結果を出すには?話の聴き方から服装にいたるまで、独自の理論を開陳する。ビジネスの場でも役立つ、真に実践的な書。

感想・レビュー・書評

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  • 人口減少社会に突入し、日本全体が構造的にダウンサイジングを求められる時代にあって、著者が関わる様々な事例を通じて、その方法を提示する本作。ファシリテーターの事前準備や行政職員との付き合い方などは、今読んでもフムフム、なるほどと...。職人芸的な持論展開は止むを得ないが、この内容を実践するためには、相当高いレベルでのコミュニケーション力、見通す力、忍耐力が求められる。ゴールを見据えて関わる(自分の仕事が不要になる)姿勢に共感。

  • 2012.11.18 コミュニティーデザインの背景とリアルを少し理解することができた。大変な仕事だなーという実感。著者である山崎さんのようなキャラクターで、とびぬけたコミュニケーションスキルのある人しかできないのではないか・・・ある意味うらやましく思ってしまった。人の心をつかむのって本当に難しいと思う。

  • 人口減少社会の中、今後の地域作りを考えるためのヒントが満載の本であった。著者の経験と実践に裏打ちされた報告なので説得力がある。人口減少地域が今後の日本の地域作りの先進地になるという逆転の発想や著者いわく楽観性が成功に結びついているのだろう。一言で言えば、コミュニティデザインとはその地域の人と人のつながりをつなぎ直して地域作りをするという試みであり、コミュニティデザイナーはファシリテーターであるということ。最終章でノウハウを記載。地域を変えるというのは、その地域の人が行うことであり、その支えをいかに行うかがポイントだが、言葉で言うは簡単だが実践は知識と経験が必要である。最後は住民の人達に対する信頼から来る楽観性や根拠のない自信が結果を生み出すのだろうが、そこまで諦めない粘りも必要で、うまくいった事例を1つ1つ積み重ねていくことが次の地域実践にも生きるという。最後に著者の育ちを紹介されているが、その育ちから著者の発想や行動も理解できた。

  • なんでこの本を読もうと思ったのかまったく覚えていない。中身はまぁ、普通。コミュニティデザインとは何ぞやということが分かりやすく書かれているが、それでもやっぱり形のないものであるだけに実感としては捉えにくい。個人的になるほどなぁと思ったのは「これからは都市が地方から学ぶ」「人々の職業は従来のカテゴリわけで捉え切れないものになる」という部分。後者についてはむしろ、そうなれない人から次第に社会から求められなくなっていくのではないだろうかという気もした。

  • デザイナーでまとまった文章が書ける人はまれではないだろうか。
    いや書けるのかもしれないが、それは、グラフィックや建築などの「作品」を補足するものだったりする。
    作者もデザイナーだが、作品を作らないデザイナーと自ら宣言。少子高齢化社会の「先進地域」の島嶼中山間地域をフィールドに、もろに組んでいる。
    地域の取り組みこうあるべしと思わせる一冊。

  • 最近、まちづくりの大家が「コミュニティデザイン」と言うのを聞いて驚く。
    本当にまちづくりの時代から、コミュニティデザインの時代に変わりつつあるのだろうか。
    山崎亮氏の活動は素直に素晴らしいと思う。
    だが、今自分のいる立ち位置から、また新しいアプローチを考えたい。
    いつか山崎亮氏をライバルと呼べる日をめざして。

  • 幸せとは何だろうか?銭があったら幸せだろうか。いやそんなことはない。と気づき始めた現代人たち。

     人と人をまちづくりを通して、再構築していく。そしてそこに住む人々が自分たちの力で人のつながりを大切に育んでいく。そんな活動を実践している山崎さんの思考の中を冒険する。

  • コミュニティデザイナー、山﨑亮氏。
    デザイナーと言っても、氏はモノを「つくらない」デザイナーです。

    「なぜいま「コミュニティ」なのか」
    「つながりのデザイン」
    「人が変わる、地域が変わる」
    「コミュニティデザインの方法」

    の4章で構成される本書。
    金がかかるだけのハコモノをつくるのではなく、
    住む人のやる気を引き出すコミュニティをデザインすることの大切さを説きます。

    「地域の活性化=経済の活性化、ではない」
    という氏の主張は、
    B級グルメ、ゆるキャラといったメディアによる過剰な地域クローズアップ手法(正直僕は、気持ち悪いとすら感じています。)とは対照的で、とても腑に落ちました。

    願わくば、コミュニティデザインをした地域住民の声も盛り込んでほしかったとも思いましたが、総じて、とても興味深い良書でした。

  • 一部で何かと話題なコミュニティデザイナー山ア亮さまの著書でございます。前著「コミュニティデザイン」を見たときから気になってはおりましたが、どうも単行本であるということでお財布さまが駄々をこねておりましていつまでもそのヒモを緩めて頂けませんでした。そんな折、本書を目に致しまして「新書ならば構わん」とお財布さまが鷹揚に仰りましたので購入した次第でございます。


    コミュニティデザインの方法論

    内容はと申しますと、前著「コミュニティデザイン」では実例に的を絞っていたところを本書では方法論を柱に据えたちょうど前著を補完するしっかりしたものとなっております。これで新書であるとは。中公新書さまの懐の深さを噛み締めても噛み締めきれない気持ちでございます。しばらくはスルメ新書とお呼びしたいくらいでございます。
    さて、「まちづくり」や「コミュニティ」という言葉、「都市計画」の歴史から始まりそれを踏まえた上での方法論が書き記されております本書でございますが、強引に要約いたしますと「コミュニティデザイナーとは対象地域の裏番長になる仕事」ということになるかと存じます。
    問題があるとされている地域の人々と仲良くなり話し合わせてあぶり出し住民をたきつけて改善させる。あくまで自分たちはファシリテーターとしての役割に留めた上で住民たちに当事者として動くための環境を整えるのでございます。まさに自分は手を下さずに周囲を操る裏番長のようではありませんか。そうやって地域の問題を「ふっふっふ」悪そうな笑みを浮かべながら解決していくのが裏番長=コミュニティデザイナーなのでございます(妄想)。
    しかし、各地域の皆様方に置かれましてはどうかこの裏番長を「なにやつ!」と除け者にせず仲良くしていって頂けると物事が良き方向に向かうのではないかとイチ部外者として推察する次第であります。

  • コミュニティ・デザインとは、地域内の人間関係的なつながりをどのように構築するかということである。これを受けて、コミュニティが注目される理由、「つながりのデザイン」とは何か、コミュニティ・デザインのプロジェクトでであった人についてのエピソード、最後にコミュニティデザインの進め方について述べられている。

    私はいかにして行政職員がこれに関わるかという視点で読んだ。こういったプロジェクトで地域の活性化を進めるのは大事だが、どうしても法や政治制度上の制約を受けてしまう場合があり、それをどうやってクリアするかが行政職員の仕事であると思った。また、硬直的な仕事でこういった動きをつぶしてしまわないようにすべきであるとも感じた。

    本書構成上の不満はないが、やはり具体例が少ない点が気になった。これについては山崎亮『コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる』を読んだ方が良いのかも知れない。

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著者プロフィール

山崎亮(やまざき・りょう)
コミュニティデザイナー。studio-L代表。関西学院大学建築学部教授。主な著書に『コミュニティデザイン』(学芸出版社)、『ソーシャルデザイン・アトラス』(鹿島出版会)、『コミュニティデザインの時代』(中公新書)、『コミュニティデザインの源流:イギリス篇』(太田出版)、『ケアするまちのデザイン』(医学書院)などがある。

「2024年 『新版 生きのびるためのデザイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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