アダムとイヴ - 語り継がれる「中心の神話」 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
3.56
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本棚登録 : 116
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021885

作品紹介・あらすじ

『旧約聖書』に登場する、最初の人間アダムとイヴ。二人の名前は「禁断の木の実」「楽園追放」などのキーワードとともに語られ、日本人にとっても馴染み深い。しかし彼らの物語から生まれた、文化、思想、文学・美術作品の多様さは、私たちの想像を遙かに超えるものがある。本書では、美術史的な解説・解釈にとどまらず、アダムとイヴが歴史上いかに語られ、いかに現代社会に影響を及ぼしてきたかを探っていく。

感想・レビュー・書評

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  • 古代の宗教から現代の科学(ミトコンドリア・イヴとY染色体アダム)、政治から社会、思想から文化、文学から芸術まであらゆる領域に跨って浸透し、根底で生き続けてきた神話のなかの神話であるアダムとイヴについて眺めていく内容となっています。

    本書の魅力は一つの見方のみに囚われることなく、例えば旧約聖書を寓意的に解釈しようとしたアレクサンドリアのフィロンから見たアダムとイヴ、逆に旧約聖書を実際にこの地球上で起こった事実であったと解釈しているヒッポのアウグスティヌスから見たアダムとイヴ、グノーシス派の解釈から見たアダムとイヴ、そのほか両性具有説や男尊女卑派及び対等派等々多くの視点を、これまた多くの芸術作品や文学作品を交えて概観していく内容となっており読者の視野を拡げてくれるところにあるかと思います。

    また後半はアダムとイヴの二人の子供であるカインとアベルにもスポットが当てられ、さらにアベルの生まれ変わりとして誕生するセツ(セト)にまで世界は膨らんでいきます。

    本書の序盤で語られる「主なる神は土の塵で人を形作り、その鼻に命の息を吹き入れられ、人はこうして生きるものとなった。さらに続いて神は東方のエデンに園を設え、そこにアダムを連れてくる。ということはつまり、アダムが生まれたのは楽園の中ではなくて外になるわけだが…」という一文に惹かれる方ならば最後まで楽しみながらあっという間に読み終えることができる一冊かと思います。

  • OAa

  • キリスト教とか今まで全く興味なかったのに、大学生になってから興味を持ち始めたので読んでみました。
    この本は美術作品を多用してアダムとイヴを読み解いていきます。
    美術がサッパリな私でも関心を持つことができました。
    内容は旧約聖書の基本的なことが頭に入っていないと難しいかなと感じました。

  • 117

  • 読了。

  • アダムとイヴの神話がどのように描かれてきたかを、古今の書物や絵画から解き明かす。よく知られた話だけれど、これほどまでにいろんな解釈が存在するとは知らなかったので、とても勉強になった。

  • アダムとイヴのイメージが固定されたのはそんなに古いことではない
    リリス、サタン、カインとアベル、セツ
    創世記=創生記


    結局、男は都合の悪いことはいつも女のせいにする

  • 『旧約聖書』における、神が天地創造の最後の日につくったアダムとイヴという存在は遠い遥か時空を越えて我々の周知の奥底にいまなお根付いている。名前くらいはきっと誰でもというくらい知っている。そのくらい、認知されている。近年でいえば、アップル社のロゴも、エデンの園の禁断の木の実に由来するものらしいし、遺伝子研究の「ミトコンドリア・イヴ」や「Y染色体アダム」もこの元来の神話にどうやら由来するものらしい。日本アニメ『エヴァンゲリヲン』、渡辺淳一著の『失楽園』も記憶に新しい。しかし、の内容把握にはまちまちで、たとえば、最初につくられた人間は両性具有であるアダムとし、またアダムの中の「思考の力」とされる『光のエピノイア』を取りだし、女の形に倣ったものがすなわちイヴで、十三本の肋骨の内のより心臓に近い一本を抜き取りそこからイヴが誕生したという奇怪さ。そこから分離し、「男女」という性別が生まれた。このことから女性蔑視の観点から男女差別の議論されてきたものだし、たとえば、「エデンの園」の楽園の位置において時代、時代の名のある神父や哲学者、考古学者が現実な世界において特定につとめようとしたことはまた興味深い。たとえば、エデンの東に追放されたアダムとイヴはカインとアベルを生み、父の愛をうけたアベルを傲慢で嫉妬深いカインは実弟を自らの手で殺害する。そのアベルの代わりにセツを生むが、このセツが神の恵みを受けた人間の美徳の原点とされている。たとえば、アダムが齢九三0で死したことを知らない。たとえば、セツが、旅路のすえ、アダムが死んだ墓の上に「アダムが罪をおかす原因となった木の枝」をその墓の墓標として建て、その成長した「アダムの木」が、後にキリストが磔にされる十字架の材料になることを知らない。こうしてまた原点に回帰する。ぐるぐると。寓意的な世界観はときに人間の心を魅了し、また、惑わす。

  • アダムとイヴについての4つの物語を豊富な美術作品で解説。人間の創造、エデンの園、原罪と追放、エデンの東。

  • ・アウグスティヌスは、アダムの両性具有説にダメだし。
    ・リリスなる存在について。イザヤ34:14.
    ・アダムが男だ、という認識は決して当たり前ではなかった。
    ・アウグスティヌス「イブが助け手というのは子作りの意味で」。
    ・アダムの肋骨が何本あるか、またへそがあるかが論争に。
    ・予型論はアウグスティヌスがよく用いた。イブの誕生は、キリストから教会が誕生したことと相似。
    ・ミルトンは、アダムとエバの視点から創造を描いた小説を書いた。
    ・エデンには酒への言及がない点で、ペルシャのそれとは一線を画しているともいわれる。
    ・エデンはどこにあったか1東方2赤道直下、南の高い山、3メソポタミア、4パレスチナ。古代の地図にはほぼ必ずエデンの場所が想像でも書いてあった。
    ・アダム派なる存在がいた。
    ・カントは、原罪によって人は得をしたとする。なぜなら完全性へ向かう進歩を手に入れたから。またヘーゲルもそうみなす。原罪によって人はまさしく人となる、と彼は言った。
    ★そういう見方もあるのか。
    ・マーク・トウェインは「アダムとイブの日記」なるものを書いている。そこではイブが自然科学者のようになっている。

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著者プロフィール

1954年生まれ。京都大学大学院博士課程修了。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は西洋美術史・思想史。著書に『もうひとつのルネサンス』(1994)、『ルネサンスの美人論』(1997)、『モランディとその時代』(以上、人文書院、2003/吉田秀和賞)、『ミメーシスを超えて』(勁草書房、2000)、『マグダラのマリア』(中公新書、2005)、『芸術(アルス)と生政治(ビオス)』(2006)、『フロイトのイタリア』(以上、平凡社、2008/読売文学賞)、『半透明の美学』(2010)『映画は絵画のように』(以上、岩波書店、2016)、『映画とキリスト』(みすず書房、2017)など。編著に『カラヴァッジョ鑑』(人文書院、2001)、『ジョルジョ・モランディの手紙』(みすず書房、2011)など。訳書に、ロンギ『芸術論叢』(全2巻、監訳、中央公論美術出版、1998/1999)、アガンベン『中味のない人間』(共訳、人文書院、2002)『スタンツェ』(ありな書房、2008)『イタリア的カテゴリー』(共訳、みすず書房、2010)『開かれ』(共訳、平凡社/平凡社ライブラリー、2011)など。

「2017年 『映画とキリスト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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