アダムとイヴ - 語り継がれる「中心の神話」 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 118
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021885

感想・レビュー・書評

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  • アダムとイヴの神話がどのように描かれてきたかを、古今の書物や絵画から解き明かす。よく知られた話だけれど、これほどまでにいろんな解釈が存在するとは知らなかったので、とても勉強になった。

  • 『旧約聖書』における、神が天地創造の最後の日につくったアダムとイヴという存在は遠い遥か時空を越えて我々の周知の奥底にいまなお根付いている。名前くらいはきっと誰でもというくらい知っている。そのくらい、認知されている。近年でいえば、アップル社のロゴも、エデンの園の禁断の木の実に由来するものらしいし、遺伝子研究の「ミトコンドリア・イヴ」や「Y染色体アダム」もこの元来の神話にどうやら由来するものらしい。日本アニメ『エヴァンゲリヲン』、渡辺淳一著の『失楽園』も記憶に新しい。しかし、の内容把握にはまちまちで、たとえば、最初につくられた人間は両性具有であるアダムとし、またアダムの中の「思考の力」とされる『光のエピノイア』を取りだし、女の形に倣ったものがすなわちイヴで、十三本の肋骨の内のより心臓に近い一本を抜き取りそこからイヴが誕生したという奇怪さ。そこから分離し、「男女」という性別が生まれた。このことから女性蔑視の観点から男女差別の議論されてきたものだし、たとえば、「エデンの園」の楽園の位置において時代、時代の名のある神父や哲学者、考古学者が現実な世界において特定につとめようとしたことはまた興味深い。たとえば、エデンの東に追放されたアダムとイヴはカインとアベルを生み、父の愛をうけたアベルを傲慢で嫉妬深いカインは実弟を自らの手で殺害する。そのアベルの代わりにセツを生むが、このセツが神の恵みを受けた人間の美徳の原点とされている。たとえば、アダムが齢九三0で死したことを知らない。たとえば、セツが、旅路のすえ、アダムが死んだ墓の上に「アダムが罪をおかす原因となった木の枝」をその墓の墓標として建て、その成長した「アダムの木」が、後にキリストが磔にされる十字架の材料になることを知らない。こうしてまた原点に回帰する。ぐるぐると。寓意的な世界観はときに人間の心を魅了し、また、惑わす。

  • ・アウグスティヌスは、アダムの両性具有説にダメだし。
    ・リリスなる存在について。イザヤ34:14.
    ・アダムが男だ、という認識は決して当たり前ではなかった。
    ・アウグスティヌス「イブが助け手というのは子作りの意味で」。
    ・アダムの肋骨が何本あるか、またへそがあるかが論争に。
    ・予型論はアウグスティヌスがよく用いた。イブの誕生は、キリストから教会が誕生したことと相似。
    ・ミルトンは、アダムとエバの視点から創造を描いた小説を書いた。
    ・エデンには酒への言及がない点で、ペルシャのそれとは一線を画しているともいわれる。
    ・エデンはどこにあったか1東方2赤道直下、南の高い山、3メソポタミア、4パレスチナ。古代の地図にはほぼ必ずエデンの場所が想像でも書いてあった。
    ・アダム派なる存在がいた。
    ・カントは、原罪によって人は得をしたとする。なぜなら完全性へ向かう進歩を手に入れたから。またヘーゲルもそうみなす。原罪によって人はまさしく人となる、と彼は言った。
    ★そういう見方もあるのか。
    ・マーク・トウェインは「アダムとイブの日記」なるものを書いている。そこではイブが自然科学者のようになっている。

  • 図版も多く、アダムとイブの歴史についてわかりやすく書かれています。もう少し学術的な内容を期待した方には物足りないかも知れませんが、門外漢への入門書としてはこのくらいがちょうどよかったと思います。

  • ちょうどヱヴァQが公開されたのと、鹿島田真希の文庫を読みたいなと思っていたのとが重なっての購入。

    キリスト教が作品の下敷きのひとつになっているようなので、少しでも楽しく観賞できればと思い、宗教はまったくの門外漢ながらも読み始めてみた。
    そして、読み始める前の「予備知識ゼロで読破できるだろうか」という不安は杞憂に終わった。

    読了後、ヱヴァQを観に行き、鹿島田真希を読み始め、おまけで美術館にも行ってきたことを考えると、本書を読んでみてよかったなと思うのである。

    やっぱり、自説こそ正義とばかりに断定調でまくしたてる本は好きになれない。
    もちろん本書は、そういった姿勢で書かれているわけじゃない。
    その対極に置けるような文体で喉ごしすっきり。

著者プロフィール

1954年広島県生まれ。1978年京都大学文学部卒業、1985年同大学大学院博士課程修了、岡山大学助教授を経て、現在京都大学大学院人間・環境学研究科教授。西洋美術史・思想史専攻。『モランディとその時代』で吉田秀和賞『フロイトのイタリア』で読売文学賞受賞。『処女懐胎』『マグダラのマリア』『キリストの身体』『アダムとイブ』『グランドツアー』『デスマスク』ほか著作多数。

「2018年 『映画と芸術と生と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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