歴史の愉しみ方 - 忍者・合戦・幕末史に学ぶ (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 687
レビュー : 74
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021892

作品紹介・あらすじ

忍者の子孫を訪ね歩き、東海道新幹線の車窓から関ケ原合戦を追体験する方法を編み出し、龍馬暗殺の黒幕を探る-。著者は全国をめぐって埋もれた古文書を次々発掘。そこから「本物の歴史像」を描き出し、その魅力を伝えてくれる。同時に、歴史は厳しいものでもある。地震史研究にも取り組む著者は、公家の日記などから、現代社会への警鐘を鳴らす。

感想・レビュー・書評

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  • 予想をはるかに超える面白さで、あっという間に読了。
    新聞・雑誌等の連載記事をまとめたもので、ひとつの記事は大体3,4ページ分ほど。多少のぶつ切り感はあるが、楽しさの方が際立っていてほとんど気にならない。
    日本史に苦手意識を抱いている方、著者の切り口なら間口が広いかと。
    古文書を入手して歴史的事実を読み解いていくので、その過程も読みごたえがある。
    また、学術的研究のみでなく、東日本大震災をきっかけに「これから起こる地震津波について歴史から何が予見できるのか」を詳しく述べてあり、歴史研究というのは人命さえ救いうる有用性を持っていることにも瞠目した。

    特に心に残った章をいくつか挙げてみる。
    2章「歴史と出会う」の中の「斎藤隆夫の命がけの色紙」。
    ポケットに千円しかない貧乏学生だった頃、見知らぬ露天商から戦前の政治家の色紙を買う。斎藤隆夫については全くの無知だったが、読み解き、国会図書館で調べていくととんでもないことが分かる。
    憲政史上の記念物と言って良いくらい、国の未来を憂えて命がけで書かれたものだったのだ。このとき斎藤隆夫は暗殺を覚悟していたらしい。
    色紙にしたためた漢詩が、本書で載せられている。
    件の露天商を探し出して礼と詫びを言うと、「この商売、客に一本とられることもあれば逆もある。気にせんでいい」という、まことに粋なひと言をもらったらしい。
    うーん、こういう出会いがあるから、古文書を読む楽しみにとり付かれていくのかもね。全く読めない私は、ひたすら羨ましがるしかない。

    また同じ2章の「反実仮想」という考え方も、大変参考になった。
    幕末の薩摩人は、「もしこうなったら」とあらかじめ考えておく習慣があったという。
    すでに解答の決まったものに答えるだけの現代の学校教育に、警鐘を鳴らしている。
    現実を直視し、反実を仮想することの大事さを久々に考え直してみた。
    想定外のことを想定内にしなければ、同じことの繰り返しになってしまう。

    最終章の「関ケ原観光」も面白い。
    そうか、新幹線でこんな楽しみ方もあったのか、とついニヤニヤ。今度ぜひやってみよう。

    興味深い「忍者」の話から始まる一冊。
    その仕事の内容、俸禄、甲賀百人衆の居所、現在も生き残る忍者の子孫との交流等々、ここだけでも楽しめるが、著者は4章の「震災の歴史に学ぶ」を特におすすめしてる。磯田さんて、熱い方なんですね。

  •  歴史学者として自分に何が出来るかを考え、真摯に行動する姿勢に敬服する。
     ものっすごくわかりやすくて、おもしろい、歴史の愉しみがぎゅうぎゅう詰まった本。
     からみあったり上書きされまくったりしてる歴史に、誰もが親しめる味付けをして提供し、現代に必要な歴史の情報を伝えてくれてる。
     磯田さん、あなたの本、全部読みます。

  • 一つ一つのトピックが短いから読みやすいけど、もっと読みたい内容もあった。磯田先生の震災から学ぶ気概はすごい伝わった。文章が残っていて学べることは沢山ある。このような本にしてくれてありがたい。

  • 初めての磯田さんでした。テレビで拝見するのと同じ歴史愛を感じました。常に古文書に当たり、それをもとに健全な想像力で楽しませて頂きました。 特に第4章「震災の歴史に学ぶ」には深く納得。今日の科学を以ってしても大地震の予測は困難。でも歴史は、「必ずこの日本には定期的に大震災が起きる」ことを明らかに示している。その大きさまで。科学的探求は勿論必要だが、素直に歴史の力を借りることは極めて重要だと感じました。

  • 中央公論社からでてるだけで僕なんて身構えちゃうんだよね。そういう人って多いと思う。この本も予想に反して軽い歴史エッセイ。中央公論社以外の出版社だったらもっと売れたんじゃね?

  • 「武士の家計簿」で有名な著者が、読売新聞に連載を持っていたころのコラムをまとめたもの。
    一つのコラムについて、ページ数にして大体3ページ。
    著者得意の古文書からの気付きなどについてつらつらと語られ、話題はバラバラだけど、歴史好きな人なら読んで面白いでしょう。

  • この本に影響されて 「古文書講座」 を受講しています

    今は使われない 変体仮名 くずし字 合字 などなど、解読のための知識を教わっています

    順調にいけば、3年ほどの受講で「古文書解読チーム」のメンバーになれるそうです

    ところで、磯田道史さん、
    「地震の研究のため静岡の大学に転職した」
    と書いていましたが

    今は京都の大学に転職したようで
    「あら、地震はどうなっちゃったのかしら」
    と、いらん心配をする今日このごろ

  • 他の著作と同様、歴史なのにとてもリアリティがある。
    忍者がどのくらいお給料をもらっていたとか、城攻めの時、最初に石垣を登ったのは彼らだったとか、知らなかったことがいっぱい。
    読むと他にも知りたい事がどんどん出てくる。
    とても読みやすい本です。

    • mow168さん
      古文書に結構記録は残っているようですね。
      歴史学者が書くというところにも値打ちがありそうです。
      古文書に結構記録は残っているようですね。
      歴史学者が書くというところにも値打ちがありそうです。
      2014/05/16
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「歴史学者が書くというところに」
      一次資料から、知られざる事実にスポットを当てられるのは、歴史学者ですものね。
      ご自身が書かれていました...
      「歴史学者が書くというところに」
      一次資料から、知られざる事実にスポットを当てられるのは、歴史学者ですものね。
      ご自身が書かれていましたが、古文書の膨大な山の中から探り出す嗅覚が凄いですね。。。
      「磯田道史の備える歴史学」はネットで読めるようなので、たまに覗いてみます。
      2014/05/23
    • mow168さん
      ネットで読めるのですね!
      実は切り抜いて保存してます。
      ネットで読めるのですね!
      実は切り抜いて保存してます。
      2014/05/24
  • やはり僕的には忍者の実像を探る章が一番面白かったです。「忍びの国」(和田竜、新潮社)のように、想像力豊かに描かれる忍者像も面白いのですが、古文書を根気良く紐解いて真の忍者の実態に迫る本書は新しくて面白かったです。

    著者は古文書を読み解くプロですが、東日本大震災を超えて自分には何ができるのか模索した結果、震災に関する古文書から地震研究を行うことを思い立ち、より調査のしやすい地域に移り住むということをしています。

    ただ通説をなぞるだけで権威を振りかざし多くの可能性を潰す学者より、忌憚なく立場を超えて自らの説を発信していける著者のような歴史家が増えて行くことを願います。

  • 今まで読んだ歴史関連書籍の中で、断トツに面白かった。学生時の古文書の授業は退屈だったが、古文書のそのものは、おもしろワンダーランドなんだよなあ。そこに至れない人生をとても残念に思う。
    新幹線で関ヶ原を通過する時の態度から直すべし。

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著者プロフィール

磯田道史(いそだ みちふみ)
1970年、岡山県生まれの研究者。茨城大学、静岡文化芸術大学などを経て、国際日本文化研究センター准教授。専攻は日本近世・近代史・日本社会経済史。
実家は備中鴨方藩重臣の家系で、古文書が豊富にあった。高校生のとき実家と岡山県立図書館の古文書を解読している。京都府立大学文学部史学科、慶應義塾大学文学部史学科を経て、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。「近世大名家臣団の社会構造」で史学博士号取得。
2003年刊行の『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』が第2回新潮ドキュメント賞を受賞し、2010年森田芳光監督により『武士の家計簿』のタイトルで映画化し大ヒット。2015年には『天災から日本史を読みなおす』で第63回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。その他代表作に『日本史の内幕』などがあり、多くの新書がヒット作となっている。

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