集合知とは何か - ネット時代の「知」のゆくえ (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 566
レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022035

作品紹介・あらすじ

インターネットの普及以来、アカデミズムの中核を成してきた専門知が凋落する中で、集合知が注目を集めている。このネット上に出現した多数のアマチュアによる知の集積は、いかなる可能性をもち、社会をどのように変えようとしているのか。基礎情報学を中軸に据え、哲学からサイバネティクス、脳科学まで脱領域的に横断しつつ、二一世紀の知のあり方を問い、情報社会の近未来をダイナミックに展望する。

感想・レビュー・書評

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  •  議論に飛躍が多く,根拠も薄弱で,「独自の理論」に聞こえる。風呂敷を広げすぎたんだろうか。
     専門知が無批判に受け入れられる時代は終わった,これからは集合知だ,というコンセプトはわかるが,ではどうするかというのがあまり詰められていない。ネット集合知への過信を戒めるのは当然として,それ以上の意義ある提言は見いだせなかった。

  • 集合知とは何か?
    共同体知、コミュニケーションにおける暗黙知。
    自己の深層の活性化。

    知識とは「主観的」なものである。
    専門家の知識は、あてにならないことが、近年示されている。
    「客観知」二人称の知として蓄積することが必要?

  • 原発事故発生時のネット書き込み(集合知)の正しさなどの実例あり。そして集合知が正しいための条件が説明されている。

  • 「グローバルでフラットなIT社会」を目指すというような最近の画一的な風潮に,「個人的な知」からの切り口で批判的に論じた一冊.めちゃくちゃ面白い.

    全体的に少し感情的な表現に感じるところもあったけど,何より,「本当にコミュニケーション活性化とか,情報共有とか,徹底的に推し進めていいのかな?」という疑問を持ちながら推進していた自分にとっては刺激的でためになった.

    集合知の他の本でも記載があったが,あまり緊密すぎる関係性は,多様性を損ない効率が低下する.というような話があったが,
    ここでは「開放系と閉鎖系」の集団モデルの安定性の比較の例で紹介されていた.
    どちらにしろ,単純に数値のサマリーを行うように人の活動を取り扱おうとするとダメにしてしまう,というリスクを考えなくてはいけないようだ.

    西垣先生の本も数冊読んでたら,ようやく「客観的で科学的な物事の解析」とは少し視点の違う「主観的で閉鎖的な人の意識を起点にした世界認識の組立」のような感覚が掴めてきたかも..?

    おもしろかったー.

  • 西垣通の新刊。集合知は、ゼロ年代のweb2.0のときに微妙に流行って、オープンとかシェアとかあのへんのネットカルチャー的な耳あたりのよいバズワードとも相性が良かった。ノマドだとか新しい民主主義だとか一般意思2.0だとか、10年代の議論にも連なるかもしれない。
    しかし、著者はそんな意識が高くナイーブな理想論に与しない。その一見新しく見える思想自体が、20世紀を通じて支配的であった論理主義的な前提に依拠していると指摘する。それらは20世紀においてさんざん議論されたことの変奏あるいは焼き直しでしかなくすでに限界が見えているとして、彼らのユートピア的な幻想ははっきりと否定される。
    そうした問題意識のもと、知のあり方そのものをあらためて検討し再定義を行うこと、そうして再構築された前提から集合知の可能性を見出していくことが本書の目指すところとなる。
    では、知とはなにか、知のあり方いかなるものなのか。著者は、知の原型を、徹底的に主観的で身体的な、本来的には共有不可能な一人称的なものだとする。それらは再帰的・循環的な閉鎖システム(オートポイエーシス)において生じる。
    そのような閉鎖系からいかにしてコミュニケーションが生まれどのように知が共有されるのか。ここで著者が提示するのがHACS(階層的自立コミュニケーションシステム)であり、ここに至って著者の研究の集大成ともいえる大著「基礎情報学」「続 基礎情報学」との接続が果たされる。
    さらにマーク・ハンセンによるSEHS(システム環境ハイブリッド)、あるいは西川アサキによる数理的な検討であるアサキモデルを手がかりに、閉鎖システム間のコミュニケーションから知識や秩序が生成されるメカニズムを紐解いていく。
    こうして丹念に考察してきた集合知とその可能性は、いわゆるバズワードの集合知とは大きくことなり、地味で面白みのないのものである。社会の状況を一変させるような即効性もなければ、意識高い系を喜ばせる派手さもない。そこでにあるの生命と技術とか並存する社会状況であり、それを冷静に見つめる姿勢が求められる。
    一時期もてはやされた集合知という言葉も、いまとなってはすでに過去のものになりつつある。しかし、一過性の流行として消費され尽くす前に、集合知の可能性をあらためて検討し直すことは決して無意味なことではない。

  • 社会
    Internet

  • p.21 スロウィッキー 「みんなの意見」は案外正しい 集合知の優位性
    p.30 スコット・ペイジ 「多様な意見」はなぜ正しいのか 集合知について数理社会学者 ウェブ2.0が出現しても直接民主主制への道がひらかれるわけではない。
    p.93 暗黙知理論とは、単に非明示的な知があるというだけではない。
    p.95 ある対象の意味を把握するには、それより下位の要素的な諸細目を身体で感知しつつ、対象を全体として包括的にとらえる作用が必要だという、生命的な認知のダイナミックスを指摘した。
    p.114 ウィーナーのサイバネティクスとは、本来、生命体が生きつづけるために、いかに電子機械を活用すればよいか、という実践知にほかならない。
    p.155 西川アサキ 「魂と体、脳」 ネオ・サイバネティックス関連として記念すべき著作。
    西垣通 「続 基礎情報学」

  • 専門知・客観知への疑念が持たれるようになった原発事故以降、ネット上の集合知が見直される風潮があるが、それに対して警笛を鳴らしているのが本書。
    興味深いのは、本書の著者がコンピュータやソフトの開発に携わったこともあり、現在は情報学の第一人者とも言える人物であるということ。IT礼賛に傾いているかと思いきや、著者の主張はその反対。安易なIT化は人間に不安定をもたらす、と指摘する。「知とは本来、主観的で一人称的なもののはず」で、「客観知の方がむしろ人為的なツクリモノなのである」という指摘は、ネット上の集合知への向き合い方に重要なヒントを与えてくれる。IT礼賛・ネット礼賛どころか、人間礼賛だ。
    正直、想像していたよりハードルの高い本で、脳みその中の普段あまり使わない部分を使わざるを得なかった。脳みそ錆び防止効果は予想外。

  • 事実にかかわる説明は自明のこと(?)とすっとばして、ご意見だけ開陳したような印象。ながらく研究してきた人間が、昨今のバラ色な集合知期待論にひとこと言いたいのは分かったが、素人向けの新書なのだからもっと丁寧にちゃんと書いてほしい。書くべきことはあるように見えるだけもったいない。

    ・興味を引かれた記述
    開放システムと閉鎖システム(両者では信用情報の伝わり方に違いがある)をシミュレーションしてみると、閉鎖システムで一人のリーダーが安定して生まれる(萌芽的なリーダーが現れたり、リーダーの交代も起こるが、安定的なリーダーを持つ期間がほとんど。ある程度一元的な価値観の摺り合わせがされたと看做せる)のに対し、開放システムでは、従属閾値の違いにより、・絶対的なリーダー、・複数乱立、・リーダーなし、といった状況になる。不安定。
    →ネイト・シルバーの本に似たようなことが書いてあった気が。最近の政治の状況に照らし合わせると面白い。
    →しかし、この話にしても開放/閉鎖の前提条件をもう少し書いてくれても。。。原著(西川アサキ)に丸投げするかね、ふつう。

  • レビュー省略

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著者プロフィール

東京経済大学コミュニケーション学部教授/東京大学名誉教授

「2018年 『基礎情報学のフロンティア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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