- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121022080
感想・レビュー・書評
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シンガポールの歴史と国としての簡単な紹介がコンパクトに纏められた一冊。ネットの記事とかで、日本より圧倒的に金持ち、教育レベルが高い、等の声をよく目にしてたので気になってこのタイミングで本を読んでみました。
で、感想ですが、やっぱり天国だけじゃないんだなと。まさに敏腕経営者が創設した毎年高利益を叩き出し続ける巨大企業そのものって印象でした。。。
ぶっちゃけゆとりが全く感じられない。そして予想以上な超格差社会、国民個人のアイデンティティがまさに経済生産能力で評価されてる感じで、トップに逆らったら絶対救われなそう......。
生産能力が低い僕の個人感想ですが、シンガポール、地獄っす。日本は一人当たりのGDPが高いアメリカ、シンガポールを目指すのではなく、デンマーク、フィンランドといった国を真剣に目指してほしい、マジで。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった。時代ごとに章が分かれているが、政治史・経済史・社会史それぞれの分野の話が章をまたいでつながっているため、すらすら読める。草創期、イギリス植民地期、日本占領期、リー・クアンユー時代、ゴー・チョクトン時代、リー・シェンロン時代とそれぞれ特徴を掴んだ上で、全体的な特徴も最終章にまとめられている。
リー・クアンユーの独裁的な国家建設、そのポジティブな側面を見渡すことができる。 -
今度シンガポールに行く予定があるので、予習のために借りてきた本。正直なところ、シンガポールがどこにあるのかもあまりよく知らず、よくわからない不思議なところというイメージがあったが、確かに他の国とは違う、ちょっと不思議なところのようだ。資源もなにもないほとんど無人の島に、港を作ったのが始まりというその生い立ちから普通ではないし、すごく人工的に作られていった国家の様子。そして一人の優れた指導者が圧倒的な指導力で作り上げていった、都市国家。この本を読んだからと言って、すごくそこに行きたくなるかどうかはともかく、行くならこの特殊な国の下調べはしておきたい。
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シンガポールはリークアンユーのカリスマで保っている国と簡単に理解していたが、大幅に理解の変更を迫られることになった。ある意味では合っていたが、そんなに単純なものではなかった。この本を読むことで、シンガポールという国の厳しい割り切りを歴史を俯瞰することで良く理解することができる。非常に読みやすい本だった。
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<目次>
はじめに
序章 シンガポールの曙 19世紀初頭
第1章 イギリス植民地時代 1819年〜1941年
1 イギリスの統治体制
2 移民たちの流入
3 ミニ・アジアの「モザイク社会」
第2章 日本による占領時代 1942年〜1945年
1 「昭南島」支配 − 粛清と強制献金
2 占領下の住民生活 − 自立意識の萌芽
第3章 自立国家の模索 1945〜1965年
1 独立運動の担い手 − 英語・華語教育集団
2 人民行動党政権の誕生
3 マレーシア連邦時代 − 共存から追放へ
第4章 リー・クアンユー時代 1965〜1990年
1 人民行動党一党体制の確立
2 国防体制の構築 − 孤立回避
3 開発主義国家 − 特異な教育制度と管理システム
4 国民統合の社会工学 − 種族融和と英語化政策
第5章 ゴー・チョクトン時代 1991〜2004年
1 ゴー首相下のリー体制
2 保守的な中間層と外国人労働者
3 アジアへの経済接近
第6章 リー・シェンロン時代 2004年〜
1 「リー王朝」批判と管理政治
2 経済の新局面
3 政治の「分岐点」 − 2011年の総選挙
終章 シンガポールとは何か
1 宿命的構造と特質
2 リー・クアンユーという存在
3 アジアの一国として
あとがき
<メモ>
外国人労働者の管理(2005年の人数)
・月収1800ドル以下 ワークパーミット(労働許可書) 58万人
・月収2500ドル以上 エンプロイメント・パス(雇用許可書) 6.5万人
・S許可書(看護師など) 2.5万人
・メイドは17万人 フィリピン人の月給相場350ドル
シンガポールの人口
総人口 国民 外国人
1970:207万 187万 20万人
1980:241万 219万 22万人
1990:304万 262万 42万人
2000:402万 298万 104万人
2010:507万 323万 184万人
閣僚の給与(2012年)
首相 220万ドル
大統領 154万ドル
閣僚 110万ドル?
2014.02.06 偶然見つける。
2014.03.07 読了 -
とっても短いシンガポールの歴史を、
主に政治、経済成長の観点からまとめた一冊。
シンガポール在住の筆者ということもあり、
歴史事実の背景からしっかり調べてあって、
なぜシンガポールが東南アジアでも独特の国として、進化を遂げ、東南アジア随一の経済先進国としてなったのかが、背景からよくわかる。
筆者のいうとおり、
ひとりあたりGDPで日本を上回る経済成長が実現できたのは建国者であるリークァンユーの力によるものだが、その代償も小さくはなかったということもよくわかる。
筆者が最後にシンガポールはまだまだアイデンティティを模索中の国だとまとめている。
今後若い世代を中心として、
新しいシンガポールの姿を模索する動きも出てきており、良くも悪くも実験国家として、まだまだシンガポールという国もおおきく変わっていくのだと思う。
シンガポールの歴史の全体感を理解する上でこの上ない一冊。シンガポールに興味があるすべての人に。 -
昭南島の歴史を知らなかった
統率の意思のつよさにより半島の端っこの小さな中華民族の国を存在感のある国にしたリークアンユー -
◆多難な情勢の下、超管理体制を敷き驚異的経済発展を成し遂げたシンガポール。「国が社会を構築した」と目される、植民地上がりの人工国家につき、前史から21世紀に亘る、政治・社会体制、内政・外交を多面的に解説◆
2013年刊。
著者は拓殖大学国際学部教授。
イギリスの植民地として世界に出たシンガポール。国土僅少・人口過少・多種民族に多言語・多宗教という特徴を有するこの地の歴史を、植民地化の前史から、国父リー・クアン・ユーの頚木を脱しつつある21C現代まで素描する。
そもそも、リーの過剰管理・独裁システムは、例えば、田村慶子著「『頭脳国家』シンガポール―超管理の彼方に」にもあり、内容面での意外性はなかった(もっとも、一見民主主義的な選挙制度を、一党独裁的な帰結を生む方途として悪用・運用した様に関する叙述には考えさせられるなど、本書は政治支配の手法については、既読書よりも具体的な記載部分も見受けられる)。
が、言語・社会制度・政治システムなど、前提としての英植民地の意味。
党派・共産主義対応・民族対立以外のマレーシアとの関係(特に水支配の問題)。
さらに日本の軍政支配の愚といった部分は新奇である。
何より、2013年刊行故に、リーが上級相となってからの情報は彼の書より簡明に纏まっている。
なるほど「頭脳国家…」にも、上級相の役職にあったリーや彼の後継が行わんとする強権的政治手法は、いわゆる若手中間層からそっぽを向かれ、かつ人材の海外流出が止まらないとの実情が示されていた。それに加え、本書は、爾後21世紀になり、リーは徐々に後景に引きつつある時の状況(なおリーは、本書刊行後の2015年死去)においても、人材流出と若手中間層からの政府への批判的視線には何ら変化がない。また、リーの引退の理由がこの人材流出と若年層中間層による批判的世論にある点などについて、本書は明瞭に教えてくれる。 -
シンガポールの歴史が一通りわかった。国の制定から一党制が継続されているとは凄い。今後のシンガポールに注目したくなった。
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シンガポールについてよくわかる本。
なぜシンガポールがこんなにも発展できたのか、そのストーリーが非常に論理的で納得できる。
また今後のシンガポールの課題までもが指摘されており、ただシンガポールがすごいというだけの感想で終わらずに済む。
この本を読むと、シンガポールに対する見方がより深く鋭くなることだと思います。
シンガポールに何らかのつながりがある人、興味がある人はぜひ読んでみてほしいです。