古事記の宇宙(コスモス)―神と自然 (中公新書 2211)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022110

作品紹介・あらすじ

古代の日本人は、自然をどのように感じ取っていたのだろうか。本書は『古事記』に記された神々や神話と自然との関係を、海・植物・天地・身体など、具体的なテーマに分けて解説する。山や太陽を神とみる心は、今も生きている。いっぽうで、カラスを神の使いと見なし、桃を魔除けとして用いる信仰からは、現代人の心は遠く離れてしまった。この国の自然観の源流をたどり、『古事記』の言霊を体得しよう。

感想・レビュー・書評

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  • 『古事記』に登場する神々と自然について広くとりあげ、著者自身の考えをつづっている本です。

    本書の執筆にあたって著者が参考にしたのが、中国文学者の福永光司と人類学者の岩田慶治の二人のしごとだということが、「あとがき」で述べられています。とくに『古事記』の神々と天地の見かたについては、老荘思想の影響があることが指摘されています。また、アニミズム的な発想を『古事記』の解釈に生かしつつ、『古事記』の自然観について掘り下げて考察が展開されています。

    また、「本書の構成は、ある種博物誌のような体裁をとっている」と著者が述べるように、「海」「山」「植物」「鳥」といった項目が、もくじにならんでいます。著者は、『古事記』のなかにそれらの事物がどのようなしかたで登場するのかということを紹介し、人類学的なアプローチに近い方法で『古事記』の内容を解き明かそうとしています。

    こうした構成の本なので、読者の関心におうじて、それぞれが興味のもつ部分を拾うような読みかたが可能です。ただし、「古事記の宇宙(コスモス)」というタイトルから、『古事記』の世界観についての包括的な議論がなされていることを期待する読者がいるかもしれませんが、そうした期待を満たす内容とはいいがたいように思います。

  • 幅広い造詣、深い洞察、でありながらとても読みやすい一冊です。しかも切り口が面白いです。

  • おもしろい。
    天の日影はヒカゲノカズラであり、奈良市の率川神社の三枝祭りで巫子の髪飾りとして使われているという。
    天の真拆はマサキノカズラorテイカカズラで、蔓状で装飾性を備え、同時に螺旋状に伸びる。谷川健一によるとアメノウズメは宮古島祖神祭の神女の衣装とそっくりで、ヒカゲノカズラやマサキノカズラは蛇のシンボルだという。

    沖縄の国土創造の神アマミキョ。イザナミイザナギの国生みと類似。

    ヤマトタケルの死後、倭にいた后や御子によって読まれた歌。
    なづきの田の 稲幹に 稲幹に 匍ひ廻ろふ 野老蔓

  • 書店

  • 海や山、鳥、植物など古事記に登場する自然と神との関係について述べた本。古事記を歌劇と捉える著者の主張は、興味深く、同時期に編纂された日本書紀との関係性もはっきりするように思う。

  • 古事記は面白い。もっと学びたい。この国の源流を辿るために。

  • f apr 1,13 at arc

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著者プロフィール

1942年奈良県生まれ。
京都大学大学院文学研究科博士課程修了。追手門学院大学文学部助教授、奈良女子
大学文学部教授を経て、1995年4月、国際日本文化研究センター教授(2008年定年
退任)。現在、国際日本文化研究センター名誉教授・奈良県立図書情報館館長。
博士(文学・京都大学)。
受賞=濱田青陵賞、日本地理学会優秀賞、奈良新聞文化賞、古事記出版大賞。
著書=『地名の巨人 吉田東伍―大日本地名辞書の誕生―』(角川書店)、『古代
の風景へ』『古事記の奈良大和路』『古代天皇誌』(東方出版)、『平城京遷都』
『古事記の宇宙(コスモス)』『古代飛鳥を歩く』(中央公論新社)、『古代日本の
王権空間』『聖徳太子と斑鳩三寺』(吉川弘文館)、『こまやかな文明・日本』(N
TT出版)、『京都まちかど遺産めぐり』(ナカニシヤ出版)、『まほろばの国か
らⅠ』(豊住書店)、近著に『飛鳥の覇者』(文英堂)、など。

「2017年 『奈良・大和を愛したあなたへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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