北朝鮮――変貌を続ける独裁国家 (中公新書 2216)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 79
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022165

作品紹介・あらすじ

北朝鮮ほど分析困難な国はない。国内のライバルを打倒し、ソ連と中国から行動の自由を確保するために「主体思想」を掲げた金日成。冷戦後の世界で、軍に重きを置く「先軍政治」を推し進めた金正日。そして2012年に「遺訓政治」のもと出発した金正恩は、どこへ向かうのか-。北朝鮮は大国に囲まれた分断国家として、自らを変化させ続けることで国際環境に対応してきた。その建国から現在まで、三代の軌跡から実像に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 金正恩政権初期までの北朝鮮現代史。
    北朝鮮を見る上での枠組みというか、基礎をくれる本。

  • 北朝鮮の建国から金正恩体制までの変遷を、ソ中日米との国際関係の変化に伴う先軍・遺訓といった体制の変容として捉える好著。ラングーンや大韓航空機爆破の意味って何だったのかと思っている人にぜひ読んで欲しい。

  • 同書は、絶えず変質を繰り返す北朝鮮は「その時々の国際社会を写す鏡」であるとして、国際社会の中の北朝鮮とその動きについて記述している。
    北朝鮮の政治体制を既定しているものは「南北関係、国際関係である」として、北朝鮮は様々な国内情勢、国際情勢の中で絶えず「変態」しながらその姿を変えてきた、と説明する。
    もはや北朝鮮を既定するものは、マルクス・レーニン主義ではない。国際社会は北朝鮮の「変態」に関与し、北朝鮮の動きを変化させることができる、という視点を与えてくれる。

  • 情報が多いにも関わらず依然として北朝鮮の行動が予測困難であるのは、情報を精査する分析の枠組み、基準が整っていないから。
    安全保障を外国に依存してしまえば、対外政策でも大きな制限を受ける。
    東欧が革命で社会主義が崩壊した後、北朝鮮は思想の強化で体制を強化しようとした。

  •  拉致問題が焦点をあつめてから日本における「北朝鮮」のイメージはとにかく最悪である。
     マスコミで流される情報のほとんどがマイナス情報といえるような現在、本書は、北朝鮮の歴史と、その社会思想を冷静に分析・紹介しているが、あまり新しい知見はみあたらないように思えた。
     「金正日の先軍政治」「金正恩体制の核とミサイル」にしても経緯を詳細に紹介してはいるが、内部に踏み込んだ考察は不透明さが目立つ。
     確かに、外部からは理解しにくい国ではあるが、「北朝鮮研究」書としての新書ならばもう少し踏み込んだ本を期待したいものだと思った。

  • 建国から冷戦の終結ぐらいまでは、だから考えてみれば金日成の時代はだいたい知っているし、分かるのだけど、それ以降の金正日の時代になると、なんだかよく分からない。
    この本自体は、手短でわかりやすく、それでいて端折るところがなく、好著だと思うけど、読んでますます分からなくなった。

    最初に読んだ「北朝鮮本」は「凍土の共和国」だった。北朝鮮本というよりも、大人の読み物としては最初だったと思う。それだけに未だにインパクトがある。たぶんあれが私の原点なのだろう。
    北朝鮮ってところは、「暴力の文化史」というように書かなくちゃしょうがないのではないかという気がする。

  • 1945年から現代までの北朝鮮をスタンダードに描いている。参考文献リストには日本語の定番書が並ぶ。ただ、単なる通史ではなく、サブタイトル「変貌を続ける独裁国家」にあるように、メタモルフォーゼを繰り返してきたという視覚が全体を貫いている。

    時系列的には以下のとおり。
    ・中ソ及び両者の対立から距離を置き、国内でもソ連派や延安派と闘って権力基盤を確立するための主体思想の誕生
    ・国内ライバルとイデオロギー論争が消滅したことから、金日成と金正日への忠誠を求める統治イデオロギーとしての主体思想への変貌
    ・天安門事件とチャウシェスク政権崩壊で軍の重要性が認識されたことから先軍政治が前提の体制へ
    ・金正日の健康悪化を受け金正恩への後継準備として党の再整備、党と軍とのバランス

    またこれとは別に、90年代初頭と2000年代初頭にそれぞれ北朝鮮は関係国との改善を図ったが、前者は中韓国交正常化、後者はブッシュ(子)政権誕生と拉致問題で頓挫したことが指摘されている。これらのチャンス(?)がうまく行っていれば北朝鮮は少しは異なる道を歩んでいたのだろうか。

  • 平岩俊司氏は、北朝鮮で何かが起こったとき、声のかかる一番手ではないだろうか。学者系でいえば、小此木、伊豆見の流れが彼に来ているのは間違いなさそうである。
    この本は北朝鮮、金日成と金正日が、主体思想をどのように変容させながら統治をしていったかを、書いた本である。解放後の北朝鮮史といってもいい。その意味では歴史の整理にも役だった。
    主体思想は権力闘争や中ソの影響力排除などあわせて変容していった。結構使える「統治トゥール」だったようである。金日成まではそれでも通じていたようだが…。

  • 302.21||Hi

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