悪の引用句辞典 - マキアヴェリ、シェイクスピア、吉本隆明かく語りき (中公新書)

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  • 中央公論新社
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レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022264

作品紹介・あらすじ

古今東西の名句・名言を集めた「引用句辞典」は、スピーチなどで実用的に役立つだけでなく、人間の知恵や真理、処世訓の宝庫でもある。本書ではマキアヴェリ、シェイクスピア、タレーラン、夏目漱石、吉本隆明ら69人、71の名句・名言を紹介。あわせて、政治・経済から少子化、いじめ問題に至るまで、近年の時事的な話題を切り口に、引用句を生かして社会の深層と人間の本性を見抜くコツを伝授する。

感想・レビュー・書評

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  • ”教養”の重要性を再認識できる。過去の名著からの引用から現代の世相を鋭く斬る、頭の体操に良い一冊。

    辞典というよりコラム。毎日新聞の連載コラムをまためたものらしい。

    過去の名著からの引用句を基に、現代の世相にグイグイと踏み込んでいく。教養があることがこれだけ世の中を見る目を養うのかという好例。感動すら覚える。

    読書=人生に役立つ知識、というわけではないのだが、身に付いた教養が役立つのは、逆説的だが役立てようと思わずに身に付けたものなのだろう。

    生活スタイルこそ大きく変われども、人の思考回路は大きくは変わらない。

    教養を武器に世渡りをしていくこともできる、近年廃れ気味な教養の重要性を本書で再認識することができた。

  •  古今東西の引用句を用いた時事エッセイ集。本書は様々な引用句を紹介しつつ、著者が昨今の時事問題(政治・経済・教育など)を解説するという形式をとる。
     紹介されている引用句の中には興味を惹かれるものがいくつかあった。例えば、デュルケムの教育に関する言葉は、教職に就く者であれば引用する機会は一度や二度では済まないだろう。自身の考えを1~2行の言葉で端的に表現し、その言葉の重みを発言者の経歴や業績で裏付けてくれる「引用句」というのは便利なものであると感じさせられる。
     ただ、本書の内容を見た場合は中途半端な感じが否めない。即ち、多種多様な引用句の手引きとして位置付けるのであれば、その解説(発言者のプロフィールや発言の文脈など)が不十分である。一方で、引用句を用いた時事問題の解説書として位置付けるのであれば、著者の解説が紋切り型で、節ごとの内容に重複も少なくない。確かに、新聞で連載されたコラムとしては、各記事(引用句)の分量や内容の深さはこれで良かったのだろうが、一冊の本としてまとめた場合、どうしても解説の行き届かなさや内容の浅さが目立ってしまったというのが正直な感想である。

  • 100分de名著 で 面白い人だったので 図書館で借りてみました。やはり面白い。

    鹿島茂 「 悪の引用句辞典 」文学を研究している著者が選んでいるだけあって 人間の本性を現した引用句が多い。特に インパクト強かったのは、頭山満の天皇を祖先とする日本論、トクヴィルとジャックアタリの債務超過国家、パスカルの非合法賭博にはまる理由

    カミュ「ペスト」と サルトル「嘔吐」の読み方に納得
    *ペスト=不条理→ 3.11 の不条理
    *嘔吐の世界=3.11前の日本=文明の発展→暇つぶし、無菌的環境への吐き気

    アナトールフランス 「エピクロスの園〜大衆は断言を求めるので、証拠は求めない」
    タレーラン「彼らは何一つ学ばず、何一つ忘れなかった」

    ユゴー「第一の問題、富を生み出すこと。第二の問題、富を分配すること〜上手な配分とは公正な配分」

    トクヴィル「税金は知識の普及につれて高くなる」
    ジャックアタリ「国債は国家の〜弱さを計測するモノサシ」

    パスカル「彼にただで賭事をやらせてみよ〜退屈してしまうだろう」なぜ非合法賭博にはまるのか?非合法だから

    頭山満「西洋の道徳で自分の身体も魂も自分のもの〜それでは人間ではない、獣と同じである」日本社会は 天皇家を共通祖先とする巨大部族集団

    シェイクスピア「無から生じるものは無だけ」
    アラン「つまらぬ仕事などない。いったん やり出したなら」どんな仕事も いきなり 面白いことはない

  • 斜に構えて世の中わかった気になっている中二病の若造どもは必読の書。

  • 同じ言葉でも異なった並べ方をすると別種の思想が生まれるのと同様に、同じ思想であっても、それが異なった並べ方をされると、別の論旨がかたちづくられるものだからだ。  (パスカル 『パンセ』拙訳、飛鳥新社)

    じっくり待つことと、変わらないこと、この二つは我々の時代には負担なのだ。
    『精神の危機』 ポール・ヴァレリー

  • 他の人のレビュから題名を覚えていた。まえがきの引用ということについてが気になって借りたのだが、新聞に連載されていた『世相を斬る』コラムをまとめたものだそうだ。2007年ぐらいのものらしい。まえがきだけ読んで返す。いろいろ言いたいが、こういう本はもう飽きてるんで。

    メモ:欧米の教育で引用というものを学ばせるのは聖書読解の伝統の影響だという。

  • 引用に絡めて現代社会を論じる。この時点で私の期待した「引用句辞典」ではなかったのだが、またその論調も私に合わない。新聞連載の書籍化ときいて、ようやっと腑に落ちた。

  • 限りなく、5つに近いのですが、いくつかは、なんとなく自分と共感できない部分が感じられて(一冊の本が人生を変える?)その部分でちょっと-です。でもよい本がたっぷり挙げられていますので、いくつか読んでみたい本を見つけられました。とてもよいブックガイドです。

  • 手軽で面白かった!ただなんとなく著者の言説の自己矛盾がいろいろなところに出ているので半分ぐらいに読むとちょうどいいと思う。主に著者がいうところの自己中心的な人がマジョリティで生きている世の中で果たして利他的に生きることは可能か?というところだ。たいていの場合、仕方なく自己中心的に生きざるを得ないことになっていてそれが連鎖している。

    いずれにせよ、諦めがつくまでがんばらせることを許すというのは非常に大切だ。

    欧米人にとって言葉はすべて他人の言葉であり、人間のオリジナリティは言葉の運用部分にしかないという認識がある。

  • 「悪の」とついているのは、引用されているのが悪人という意味ではなく、「善は変数だが、悪は常数」という著者の理念によるらしい。

    内容は、古典や論文の一節を引用し、それと現代社会とを照らし合わせた著者の考察が記述されている。約70の著者・作品が紹介されていて、それぞれについて概略がつかめるのも良い。またテーマが政治・経済・教育などに分類されていて、それぞれについて多用な視点も得られる。
    毎日新聞の連載の書籍化ということで、特に政治について時事ネタが魅力を失っているのが残念。

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著者プロフィール

1949年生まれ。東京大学仏文学科卒。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。フランス文学者。1991年『馬車が買いたい!』(白水社)でサントリー学芸賞、1996年『子供より古書が大事と思いたい』(青土社)で講談社エッセイ賞、2000年本書『職業別 パリ風俗』(白水社)で読売文学賞評論・伝記賞受賞。著作は他に『「レ・ミゼラブル」百六景』(文藝春秋)、『パサージュ論 熟読玩味』(青土社)、『情念戦争』(集英社)、『渋沢栄一』(文藝春秋)、『失われたパリの復元 バルザックの時代の街を歩く』(新潮社)など多数。書評アーカイブWEBサイトALL REVIEWS主宰。

「2020年 『職業別 パリ風俗』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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