カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩 地形篇 (中公新書 2227)
- 中央公論新社 (2013年7月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121022271
作品紹介・あらすじ
東京の街は、意外と複雑な地形の上にできている。海に突き出した前方後円墳、谷底の渋谷駅、人工的に作られた御茶ノ水の渓谷、川を埋めて生まれた戸越銀座、消えた日暮里の坂など、山と坂、濠と川に彩られた東京の姿を古地図で紹介。さらに、「城南五山」をはじめ、麻布や高輪、本郷や目白など、あちこちの山の上に存在した華族や富豪の邸宅の移り変わりを解説する。一八〇以上の「都心の「山」のお屋敷」リストを収載。
感想・レビュー・書評
-
シリーズ第三弾は地形編。東京の川と山と(そしてそれらに挟まれた崖と)を中心に。土地の高低が水の流れを決め、流れが川をつくり、川が土地を削り崖を作り出す。そして、山手には富裕な人々が屋敷を構え、谷には庶民が暮らす。山と川とが都市を作り出す。現代は高層建築が立ち並び視覚的にはそうした姿が見えにくいが、改めて歩いてみれば東京は山と川の都市であることが実感できる。
二次元の平面だけでなく、三次元の高低を加えたことでとても良くなった。地図では高低はあまり意識されることはないが、街歩きとなると上がり下りの道はとても重要な要素。これがちゃんと意識されたことでリアリティが増した。
本文は二部構成となっていて、第1部は山と川とが生み出した東京の特徴的な地形をたどり、第2部では山の手に建てられた様々な邸宅の名残りを追う。面白いのはやはり高低を直接扱う第1部。第2部はちょっと羅列感が強きて退屈だが、これだけ東京のお屋敷跡を纏めたものは珍しいので、資料的な価値は高い気がする。都内を歩く時はこれでチェックしておけば楽しみが増えそう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2021年1月期の展示本です。
最新の所在はOPACを確認してください。
TEA-OPACへのリンクはこちら↓
https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00494989 -
地図や地形に興味が出て来て、何冊か読んだが、地図やカラーページがあると分かりやすい。前半は面白かったのだが、後半のお屋敷の話は、あまり自分には馴染みのない名前が羅列している感じがして退屈だった。
-
地形編、ねぇ。前半は確かに東京の地形で面白い場所を取り上げてましたけど……。
後半は戦前のお屋敷を所有者の身分ごとに取り上げているだけで、それのどこが地形編なんで?せめて、屋敷のあった場所ごとに取り上げて、その地区の地形を説明しているのならともかく。結局のところ、戦前の屋敷は水道の普及で高台まで水が供給できるようになったから、高台の先端の展望の良さそうなところに林立したってことだけが、地形の話として読み取れたことでした……。
後半は気合で読み切りましたが、かったるかったわ。 -
残念ながら読了断念。前半は既視感のある内容ばかり、後半に至っては地形はほぼ関係ない。
処分日2014/09/20 -
第一部は興味深く読み進められた。江戸城外濠の「赤坂のドンドン」を不思議に思っていたが、半蔵濠と日比谷濠の標高差が15mと解説されて疑問が解けた。第二部のお屋敷と山の話は正直なところ完全には理解できなかった。幕藩体制から明治になり、旗本・大名屋敷は維新の功労者達が占拠していった。その入れ替りが激しく、そこにデベロッパーの走りの堤康次郎などがそれらの土地を入手・分譲したりとややこしい。また、もし戦争がなかったら都心に広大が大名庭園が残っていたかも……と思うと残念な気もする。
-
三部作の中では一番読み応えがあり、楽しく読めました。
-
14/11/28、ブックオフで購入
-
タイトル通り。二部に別れており「東京の不思議な地形を歩く」「東京お屋敷山物語」である。東京の地形は良く分からないので非常になった。
-
140503 中央図書館
東京にはやたらと坂が多い。愛宕山は、なぜこんなところに?と思うし、上野の崖には最初びっくりした。神田の駿河台の山の上ホテルに登るのは息が切れる。神田川の早稲田付近の切れ込みも結構するどい。地下鉄ばっかり乗ってるとこういうのがなかなかわからない。 -
面白かったが、さすがにディープな内容だったかな。
-
東京の地理に伴う歴史を知るにはおもしろい。
けど、地理に入り込みすぎていてそこまで興味が追いつかない。
ただ、こういったアプローチは読んでいて興味深い。
地理以外のアプローチでもこういう本でないかな。
例えば、
「交通手段の変遷における東京歴史」
「建築物における東京歴史」
とか時代ごとの考え方などが追えておもしろそう。 -
面白かった。
全部のお屋敷のことについて書いてくれてたらよかったのに。
省略しすぎ&書かなすぎ。 -
東海古道にある公園の外壁から以前は誰かのお屋敷だったとは想像できたが、華頂宮邸跡であることを初めて知った。同じく、東海道が崖上から崖下に付け替えられたのは、江戸の軍事戦略であったことも興味深い。
お屋敷街のの話。東京西郊への進展。三浦展の著作参照。 -
なぜみんな判で押したように「堤康次郎の箱根土地に邸地を売却する」なんだろう。他の不動産会社は?
-
地図を手に街をほっつき歩く趣味をもつおいらにとって、とても面白いご本でした。またこの本の読者さんにはジオキャッシングをオススメしておきますね、
-
シリーズ第三弾。華族様のお屋敷が広がっていた戦前の東京。タイムマシンに乗ってちょっと見てみたい。
-
地図好きにはたまらない。江戸明治の富の偏在には驚く。
-
≪目次≫
第1部 東京の不思議な地形を歩く
第1章 皇居の山と谷、都心の聖と俗
第2章 水と崖の生みだした町
第3章 渋谷は地形の見本市
第4章 水にも尾根筋と谷筋がある
第5章 鉄道地形論序説
第6章 不思議な窪地と消えた坂
第7章 川を埋めて造成した商店街
第2部 東京お屋敷山物語
第8章 元老・元勲の山
第9章 宮さまの山
第10章 華族の山
第11章 富豪の山
≪内容≫
タイトルの通り、明治期の地図と現在の地図を合わせながら、江戸期の様子と明治期からの土地の動き(造成や売買という視点から)を説明している。
第1部は、谷(川)と尾根の話を中心に、使われ方、地形的変化などを詳細している。
第2部のお屋敷は多くのケース、現在はマンションや分譲により消滅しているのだが、読んでいると明治時代にワープして、壮観な風景を見てみたいと思った。最後にお屋敷のリストが載っており(もともと江戸期は大名屋敷なのだが)、これはかなりの資料的価値がある。