民主党政権 失敗の検証 - 日本政治は何を活かすか (中公新書 2233)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022332

感想・レビュー・書評

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  • 2009年8月の衆院選の勝利から、3年と3ヶ月の間政権与党を務めた民主党の功罪を問うた本。大変興味深い内容だった。

    党内対立、浮動層に依存した支持基盤、マニュフェストの挫折などに見られるように、民主党には政権与党となった場合の具体的な構想が備わっていなかった。結局のところ、時代に恵まれて運良く選挙で勝てたという感じだろうか。

    終章で述べられているように、野党時代は改革だ、改革だと言ってるだけで済むが、政権についたら実務に焦点をあてる必要に迫られる。その意識が民主党には足りていなかった。

    本書の指摘は当時の民主党議員には鋭く刺さっただろう。周知の通り、民主党は内部崩壊し、立憲民主党と国民民主党となっている。今の彼らにはその意識が共有されているのだろうか。

    第2時安倍政権が発足してから、しばらく経つが、政権交代は行われていない。ただ、今の岸田政権はかつての民主党のように、消費税増税をめぐる論争で支持率は急降下している。評者にはいつ、政権交代の時期がくるかは分からない。野党には自民党を攻撃するばかりでなく、自らが政権党になった場合のビジョンももっていてほしいと願う。

  • ガバナンスの格好の教科書

  • 3年3ヶ月に渡って民主党は政権を運営したが、それは誰もが認めるように失敗に終わった。現在の自民党第2次安倍政権でも未だ民主党員として活動している議員を中心にインタビューし、民主党の失敗を検証する。鳩山、管、小沢ら元重鎮や落選議員にインタビューをしていないのは残念だが、恨み辛みや自己防衛の言葉ばかり並べられるから、その選択はしょうがないか。

    党首のリーダーシップのなさや小沢派と半小沢派の対立、官僚を使いこなせなかったこと、東日本大震災など、失敗の原因は様々にあげられるが、結局はマニフェストに書いていることを実行せず、書いていないことにやたら力を注いだことが問題だったように思う。

    普天間基地移設、消費増税、TPPなどマニフェストに書いていないことに力を注ぎすぎて、書いていることを疎かにしてしまった。マニフェストの達成をアピールし、達成できなかったことを謝る。それだけで、民主党政権ももうちょっと違った目で見られたのではないだろうか。やはり有限実行って大事なことだ。

  • 私は民主党のリベラル思想には馴染めないが(したがってこれまで一度も民主党に投票したことはない)、船橋洋一氏は元朝日新聞であり、民主党にシンパシーをまだ持っている様子。

    そういった方がまとめた本ではあるが、中身は、客観的に、公正に民主党政権の何がダメだったのかを検証している。各章の担当者は船橋氏ほど民主党ラブではなく、この「失敗」の教訓は国民すべてが共有してこそ、日本の将来のためになる、という考えを共通して持っているようだ(民主党が復活しようが消滅しようがそれ自体はどうでもいい)。

    そういった視点から書かれているので、非常に興味深く、かつ有意義な本になっていると思う。

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